【感想・ネタバレ】11月のギムナジウムのレビュー

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Posted by ブクログ 2016年02月19日

初期短編7作を収録しています。

「11月のギムナジウム」は、『トーマの心臓』の別一つのヴァージョンというべきストーリーで、ヒュールリンのギムナジウムに、トーマ・シューベルとそっくりのエーリク・ニーリッツという少年が転入してくる話です。生き別れになったきょうだいという、著者が繰り返し描くテーマに沿っ...続きを読むて構成されており、『トーマの心臓』に比べると登場人物たちの心情の描写が若干粗い印象もありますが、短編らしくぴりっとまとまった作品です。

「秋の旅」は、ヨハン・シェスターという少年が、両親の離婚によって離れ離れになってしまった父親のモリッツ・クラインの家を訪ねる話。「塔のある家」は、マチルダという少女が、塔のある家でフォーラ、ビビ、デデという3人の妖精に出会う話。

「もうひとつの恋」は、本書の中ではもっともコミカルなストーリーです。明日結婚式をあげるはずのジョゼフィン・ニースは、交通事故で死んでしまいます。しかし、どうしても結婚式に出たいという思いを断ち切れない彼女は、弟のジョンバインの身体に入り込み、結婚式を強行しますが、やがてジョンバインが意識を取り戻し、大騒動となってしまいます。

「かわいそうなママ」は、別れてしまったかつての恋人のことを思い続けていたエスタ・ボストンが死亡し、報せを受けて恋人だったマーティン・シーフレイクが訪ねてきます。そこで彼は、エスタの息子のティモシーから、エスタがどんな毎日を送っていたのかを聞かされることになります。

「白き森白木少年の笛」は、11年前に森の中の井戸に落ちて命を落としたエドワード・フォスターという少年の幽霊が、マリアという少女の前に現われる話です。「セーラ・ヒルの聖夜」は、幼い頃に互いに離れ離れになって育ったキャロン・ダーリングとクリス・ライバーの双子のきょうだいが、セーラ・ヒルで再会する話です。

いずれも短編なので、ストーリーの展開の中で登場人物の心が揺れ動いていくというよりも、初めからキャラクターが設定されているという印象はありますが、それだけにかえって著者の描こうとしているテーマが明確になっているように感じました。

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Posted by ブクログ 2010年11月10日

トーマの心臓のプロト版と聞いて読みました
短編のせいか心理描写は少なくストーリー重視という感じ
他の短編も良かったです

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Posted by ブクログ 2010年04月12日

短編集。トーマの心臓を底本にしたという映画・1999年の夏休みには、実はこちらが底本ではないかと思わせる台詞が多々ある。
収録されているセーラ・ヒルの聖夜も、涙なしには読めない名作。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月10日

以前読んだのは同じ小学館文庫だが旧版(カバーイラストが萩尾望都ではない)で、収録作品も異なる。
今回初読だったのは、「もうひとつの恋」と「セーラ・ヒルの聖夜」。
どういう経緯で前回の文庫化の際に未収録だったかは知らねども、今回躍り出た2作によって、一冊の本として豊かになった。
まずは「もうひとつの恋...続きを読む」、本書で唯一コメディ。
大いに息抜きできる。その上ただの箸休めではなく、「双子」の系列で意義深い。
そして「セーラ・ヒルの聖夜」。
冒頭の表題作と呼応するように、またも「双子」テーマ。
しかも家族を前面に押し出してきて。
一冊の中で何度も「双子」と「家族」が手を変え品を変え現れる。
これが作者にとって切実でなくて何と言うのか、というところまで考え抜かれたセレクト。
この文庫本自体が美しい。

■11月のギムナジウム 45p
既読。
■秋の旅 24p
既読。
■塔のある家 31p
既読。
■もうひとつの恋 40p
初読。
■かわいそうなママ 31p
既読。
■白き森白き少年の笛 32p
既読。
■セーラ・ヒルの聖夜 80p
初読。
◇エッセイ―一九七〇年代の東京パラダイス:羽仁未央(エッセイスト)

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

私が小さな頃親が購入し、気付いたら私のものになっていたこの本。
何十回と読んでるけど、その度に違う感動を覚える。
どの作品も秀逸なものばかりで、全部が全部表題作になってもおかしくないんじゃないかって思う。

いつまでも大切にしたい宝物みたいなお話。


私的オススメは
秋の旅
塔のある家
白き森白き...続きを読む少年の笛

てゆーか全部

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

「トーマの心臓」の元ネタのお話。トーマがまた違った感じで、可愛らしいけれども可哀想で仕方がない。可哀想だなんて、滅多に使いたくない言葉だけれど純粋になぐさめを思うのです。きっと、生きている人間すべてママが大好きなのです。本当は。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

草地での・・あの一瞬だけが・・
二人だけの世界だった――トーマ・・・

トーマの心臓の原点である作品。
エーリクとトーマが此処では顔を合わせる。
愛って、紙一重で寂しいんだと思った。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

萩尾都望先生の短編集。
トーマと類似した作品が(元ネタ?)印象的です。初期の萩尾望都作品(と自分は読んでいる)が、一気に好きになった作品です。

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購入済み

男子が主人公の少女漫画

匿名 2023年10月09日

「11月のギムナジウム」この作品に出会ったのが十代半ば。とても強烈な印象を受けたのが懐かしくて、半額購入のチャンスで入手した。どうしたら、あの二人に前向きなハッピーエンドが訪れることが出来たのか…と、つい詮無いことを考えてしまう。

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Posted by ブクログ 2021年11月14日

11月になったら読もうと決めていた7編を収めた萩尾望都さんの初期短編集。
表題作は、あの「トーマの心臓」の原型となった作品。50ページ足らずの短編だけどとても魅了させられました。

最後の「セーラ・ヒルの聖夜」には涙。偶然に自分たちが双子と知ってしまった兄妹のお話。子どもの方が断然大人で冷静なのが印...続きを読む象深い。

かつての憧れの中の外国(ヨーロッパ)の雰囲気(お城、妖精、薔薇)が溢れててうっとり。
同年代の羽仁未央さんのあとがきも良かった。
「トーマ」を読んでまた、読み返そうと思う。

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Posted by ブクログ 2012年03月17日

個人的には、後もう一歩ほしかったかなって思ってしまう・・・;;
でもお気に入りの一冊ではあります。

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Posted by ブクログ 2011年09月09日

「トーマの心臓」の原型で、短編なのでストーリーがわかりやすかった。他の話の一つに、自分の家にある塔の妖精たちと仲良しで幸せだったのに両親を失ったばかりか恋人の心も失った少女の話があった。彼女は街に出て数年を暮らすうちふとしたことから虚しさを嘆く。モノローグはほんとに小さなコマなんだけど(文庫なので)...続きを読む、現実から逃げるように故郷を離れたときのまま、何ら変わるところのなかった自分に気づいてつらかったのだと思う。ここは電車の中だったのにもらい泣きしてしまった。お話は家のあった村に帰って幼なじみと再会するというハッピーエンドで、やきもきしていた妖精たちもほっとしたことだろう。

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Posted by ブクログ 2009年11月13日

トーマを掴みたいと思ったけど、やっぱり掴めないままだった。ストーリーが性急すぎる感は否めない、が、ここからあの名作が生まれたことを思うと、キャラクター造形と、それをテーマに合わせて嵌めこんでいくさまの見事さに打たれる。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

ギムナジウムって言葉につまってる魔力ってすさまじい。なんてきゅんとするんだろう。収録作「かわいそうなママ」が衝撃でした。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

トーマの心臓のもととなる11月のギムナジウム。
かなりあっさり目。
一緒に収録されているセーラ・ヒルの聖夜も好き。

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Posted by ブクログ 2016年05月27日

表題作は『トーマの心臓』の原型になった作品を含む初期短編集。時代背景や当時の少女漫画の傾向もあるのだろうけど死別や養子になってるパターンが多い……

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Posted by ブクログ 2010年03月03日

少女と少年の境界は実に曖昧だ。現実に美しい少年もいれば雄々しい少女もいる。女の子2人でおままごとをするにも、男の子2人でたたかいごっこをするにも、状況によって彼らの人間関係に男役・女役が、登場人物としてではなく性分として分かたれながらバランスを取っていたりする。打つ者打たれる者、許す者許される者、裁...続きを読むく者裁かれる者というような具合にだ。そして彼らは似ているものと似て非なるものとを峻別し、心身の生育にしたがって第二次性徴を迎える。幼年期の終わり、それは自らの性にめざめ、自らに内在する異なる性に恥じらいを覚えることでもある。少女マンガは一種の防波堤のように発達をせき止め、過去の曖昧へとこぎ返す波のように、われわれが通り過ぎた神秘の時代へといざなう。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

◆11月のギムナジウム
◆秋の旅
◆塔のある家
◆もうひとつの恋
◆かわいそうなママ
◆白き森白き少年の笛
◆セーラ・ヒルの聖夜

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

短編集

表題作は「トーマの心臓」の原型。
どれも人間愛をテーマにしている感じです。
妖精が出てきたり、メルヘンチック。

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