あらすじ
ヒュールリン・ギムナジウムの転入生エーリク。そこで彼は自分の分身トーマに出会った。2人を結ぶ罪と愛の秘密とは…。名作「トーマの心臓」の原型となる「11月のギムナジウム」、12年の後にめぐりあった双子の兄妹の歌声がイブの夜に流れる「セーラ・ヒルの聖夜」、少女と3人の妖精のメルヘン「塔のある家」など7編を収めた魅惑の初期短編集。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
以前読んだのは同じ小学館文庫だが旧版(カバーイラストが萩尾望都ではない)で、収録作品も異なる。
今回初読だったのは、「もうひとつの恋」と「セーラ・ヒルの聖夜」。
どういう経緯で前回の文庫化の際に未収録だったかは知らねども、今回躍り出た2作によって、一冊の本として豊かになった。
まずは「もうひとつの恋」、本書で唯一コメディ。
大いに息抜きできる。その上ただの箸休めではなく、「双子」の系列で意義深い。
そして「セーラ・ヒルの聖夜」。
冒頭の表題作と呼応するように、またも「双子」テーマ。
しかも家族を前面に押し出してきて。
一冊の中で何度も「双子」と「家族」が手を変え品を変え現れる。
これが作者にとって切実でなくて何と言うのか、というところまで考え抜かれたセレクト。
この文庫本自体が美しい。
■11月のギムナジウム 45p
既読。
■秋の旅 24p
既読。
■塔のある家 31p
既読。
■もうひとつの恋 40p
初読。
■かわいそうなママ 31p
既読。
■白き森白き少年の笛 32p
既読。
■セーラ・ヒルの聖夜 80p
初読。
◇エッセイ―一九七〇年代の東京パラダイス:羽仁未央(エッセイスト)