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Posted by ブクログ
高いプライドと野心に嫉妬心が加わり、哀れなほど空回りしているマリオ。育ての母の死をきっかけに打ち明けられた家族の秘密が、スランプへ入り口となりマリオを苦しめる。
押さえられない衝動として恋人のラエラに手を上げるシーンが何度も出てきて、マリオのメンタルの弱さが執拗に描かれる。そうしてターニングポイントとなる「愛を学ばなかった」という台詞。
満を持して登場したマリオの実母に驚いたのは私だけじゃないと思う。老人ホームにいるって言葉から、白髪の老婆かと思えばこざっぱりとした性格のオバサンで。
実の母との再会で愛を知るって、育ての両親の存在ってなんだったんだろう。義両親だって愛情をもって接してきたのに、愛を知れなかったのは当たり前として受け取らなかったマリオ自身の問題なんじゃ?
その家庭から愛を学べずラエラへの暴力に走ってしまったという結論のつけ方は納得できない。
バレエ・コレクションと銘打たれ、バレエ作品のみを掲載したこの一冊ではロットバルトが好き。3作とも人間を丁寧に描いた作品でした。
Posted by ブクログ
萩尾望都のバレエ系。
パリのコンテンポラリーバレエ団に晴れて入団したローマ出身の主人公の男の子とその同期の子たちの群像劇。
モノローグが多くて主人公の心の内がかなり書いてあるのですが、びっくりするぐらい性格が悪い…というか、つまり、リアルということかな。ニコニコしてスマートに対応してるようで、心の内では、同期よりも自分が上とか、あいつがいい役をもらったとか、とにかく妬み嫉み負の感情のオンパレード。ガールフレンドの成功も喜べずイライラをぶつけてしまう。DVまで。そんな人を主人公に置くマンガって珍しい。
でもそこは萩尾望都。バレエマンガもよくあるバレエマンガではなく、どちらかというと心のどろっとした動きにフォーカスを当てたストーリー運び。彼女は内面を主題において環境に反映するような作品が多いですね。とくに、幼少期を受けたトラウマの克服および、克服しきれず一生付き合ってゆくその人のなかの黒いものなど。
「すべての道はローマに通ず」という外国のことわざがあるけど、主人公の心の棘も焦りもすべて、実は彼が幼少期に体験したことが原因であることに、主人公とともに読者も気がつく。過去と向き合い、母と向き合い、そして仲間を認め、バレエ表現に昇華する。
主人公だけを追うとちょっと息苦しいところもあるけれど、周りの仲間のエピソードや造形が癒やし。とくに、背が180センチあってバレエダンサーになることを諦めていた年上の同期の女性が、魅力的だったなぁ。サバサバしていて視野が広い。妬み嫉みで視野が狭くなりがちな主人公の男の子と対極的。
SFのイメージがある萩尾望都は意外にもバレエ漫画を一時期よく描いている。彼女がバレエに惹かれるのはよくわかる。ダンサーの体の動きの絵が美しいから。
表題作のほかに、あと2つバレエをテーマにした短編が入ってる。そちらのほうが好きかもしれない。バレエ団の世界って興味深い。
Posted by ブクログ
バレエ・ダンサーとして成功することを夢見る青年マリオ・キリコの物語です。
ドミ・ド・リールのオーディションに合格したマリオは、おなじく合格したラエラことラファエラ・ロッティと交際をはじめます。しかし、彼のほんとうの両親をめぐる問題のせいで彼の心の安定はうしなわれ、はじめはめだたなかったもののしだいにその才能を開花させていく同期のディディに対して後れをとっていると感じて、しだいに追いつめられていきます。その結果、彼は何度もラエラに手を挙げてしまい、二人の関係も冷え込んでいきます。
『感謝知らずの男』にも登場したレヴィが本作でも重要な役どころを担っており、そちらを読んだことのある読者にとってはより興味深く読めるのではないかと思います。若いマリオとラエラの不安定な心の揺れ動きが巧みに表現されているとは思いますが、両者の関係が若干紋切り型のようにも感じてしまいました。個人的には『感謝知らずの男』のレヴィがメインの話のほうが気に入っています。
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