萩尾望都のレビュー一覧

  • イグアナの娘

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    小学生の頃に人生で初めて読んだ萩尾作品です。
    コドモのときは、母親から愛されない主人公にただただ同情し、理不尽な話だと捉えていました。
    でも今(22歳)は、大嫌いな自分にそっくりなもの(娘)を愛せない母親の心情、何となく分かる気がするのです。
    それはきっと容姿の面だけではありません。
    そっくりな容姿を通じて、娘の中に自分の内面を見ていたのではないでしょうか。

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    2009年10月13日
  • 海のアリア 1

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    嵐に襲われ漂流した兄・アベルらしき男が見つかったとの情報を聞きつけコリンが沖縄に駆けつけると、そこには記憶を失いながらも不自然に音楽的才能を開花させたアベルの姿があった。
    コリンや友人らの助けもあり、なんとか日常生活に馴染もうとするアベルだったが、音楽教師アリアドの登場により自身の「楽器」としての宿命に巻き込まれていく。

    逗子海岸でヨット乗りをする場面から始まる作品だが、壮大なSFへと展開していく。
    主筋は重いのだが、冗談交りの友人との三角関係やディスコミュニケーションのおかしみなんかもあり、読み口は結構軽め。
    登場人物それぞれのコンプレックスも丁寧に書かれており、コンプレックス克服の成長物

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    2009年10月07日
  • スター・レッド

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    昼は女学生、夜は暴走族女リーダーである主人公・レッド星。
    彼女は生まれ故郷の火星に強い憧れを抱くエスパーであった。
    正体不明の美少年・エルグと出会ったことで、彼女の人生が大きく動き出す。

    萩尾望都大先生のSF長編。脇役もちゃんと活躍するのが素敵。
    「主要キャラクターはあれだが、希望は残った…」という感じの終わり方や迫害されるエスパーという設定、溢れんばかりのSFイズムが竹宮惠子『地球へ…』を思わせる。あれも名作。

    しかし、この人の漫画は設定がしっかりしているのにいつも感心させられる。
    一部の登場人物の造型や世界設定が『マージナル』に引き継がれてるように感じた。

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    2009年10月07日
  • 半神

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    あえて表題作「半神」の感想のみ。
    どこでも書かれていることだが、16ページでここまで描ける、というお手本。
    かつて鈴木光明に萩尾が「新人マンガ家に16ページとか32ページとか、投稿作に
    ページ制限を設けるのはいかがなものかしら? 私たちのころはみんなページにとらわれず自由に描いていたでしょ?」と電話をしたとき、鈴木が「近頃の投稿者はページ制限を設けないと、何ページ描けばデビューに有利になるかとか、長いと不利かとかそんなことばかり聞いてくるから、あえて設けている」
    と答えたのを聞いてうーむと考えた、というエピソードがあったのだが、
    そりゃ天才とそうでないものは違うさ、と思わざるを得ない。
    努力で

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    2016年11月15日
  • レオくん

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    個人的な、あまりに個人的な……というと、なんだか男の好みが変わってヒーロー像が固定不変、そのヒーロー像にイマイチ深みがないために作品全体のドライブ感がなくなってしまった(でも絵というかドラマチックなシーンの演出がものすごく好きなので買い続けるのだが)山口美由紀のことを思い出してしまうな。
    自分ちのネコのかわいいようすに、擬人化の度合いの絶妙なセリフを乗せ、子ども大くらいの大きさにし(家の中や、著者本人を思わせる飼い主との絡みでは正常なネコサイズ)冒険させるライトファンタジーマンガ。執筆動機が「ウチのネコちゃんかわいいでしょ」であることは明白なんだが、ファンタジーとエッセイ漫画的な現実描写との混

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    2009年10月04日
  • 訪問者

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    オスカーの過去が分かる話。
    無償の愛って親から子だけでなく、
    子から親にもあるんだな、と思った。
    受け入れてもらえなかった最後の涙が切ない。

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    2009年10月04日
  • 海のアリア 1

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    優等生のアベルが、ヨットで座礁して行方不明になった。
    眉目秀麗、完璧なアベルの死を嘆く通夜に一本の電話がかかってくる。
    「頭のちょっと弱い男の子をこちらで預かってるんですけど」。父親は激怒して話を聞かず通話を切る。

    しかし気になった弟コリンや友人らが沖縄へ行くと、アベルそっくりな少年がいる。
    しかし、「彼」は言葉も話さず、ただ音楽だけが堪能で、生活知識もまったくない状態。以前のアベルとはかけ離れている。
    コリンはそれでも身体的特徴から彼がアベルだと断定し、彼を連れ戻す。
    しかしアベルは学校でも家庭でも問題を起こし、そんな中、新しく学校にやってきたアリアドという音楽教師はアベルを「自分の楽器」

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    2009年10月04日
  • 残酷な神が支配する 1

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    文庫版で全10巻。
    萩尾望都で一番ハマった漫画かも。

    グレッグ(ジェルミの義父)の毒牙にかかって日常的に暴行されるジェルミを見てるのがほんとに辛い・・・。
    殺したときはヤッタ!って思ったけど、人生は残酷だね。

    苦しみや哀しみは人をこんなにも変えてしまう。
    苦しみを与える対象から逃げようともがき、達成しても、一生付きまとうんだよグレッグが。
    だから年末にイアン(グレッグの実子)と漂流する何日間はホントにジェルミにとって必要なものなんだね。

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    2009年10月26日
  • 残酷な神が支配する 2

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    一巻でトラウマで一年以上続きに手が出せなかったけど、最近重たい話が読みたくって再チャレンジ。笑 したら、二巻も更に凄いことになってる。
    ジェルミが狂わされていく様が本当に壮絶としか言いようがない。グレッグの狂気に巻き込まれて…ポーの「黒猫」を引用したモノローグはたまらない。震えるほどにやりきれない。
    残酷な神、って、一巻ではグレッグのことだと思ったけれど、二巻を読むと、イアンやサンドラの「無知の残酷さ」を凄く感じた。グレッグとジェルミの関係という事実に対する無知だけでなく、どこか理想的なものにこだわるがために生まれる、本質的な無知、っていうのかな…、残酷。
    最後道が開けそうな展開になって、これ

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    2010年09月08日
  • 海のアリア 1

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    ヨットの遭難で海に消えた少年アベルは、記憶も常識も喪失して還ってきます。
    彼の体内には、宇宙生命体である楽器ベリンモンが宿り、その楽器を追い求めてエイリアンが現れます。
    こんなふうにあらすじを書くと、???がとびかうような突飛な話のようにみえますが、さすが、萩尾望都先生。美しい抒情詩のような仕上がりになっています。でも作品群の中では比較的軽い感じでさらっと読めるほうです。

    話はそれますが、この一巻の最後に恩田陸さんがエッセイを書かれています。
    その中で、恩田陸さんのあらゆる作品の根っこになっているものが萩尾望都先生の作品だと。「精霊狩り」シリーズが「光の帝国」シリーズへ。「トーマの心臓」が「

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    2012年03月21日
  • 海のアリア 1

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    アベルとアリアドの人格がいったりきたりするのが好きなんだ。アリアドはヘタレに収束していったのは好ましいと思う…。

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    2009年10月04日
  • バルバラ異界 4

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    夢と現実の入り混じった世界は萩尾望都ワールド炸裂。複雑でいったいどうなるの?というほど絡み合った物語、最後は納得させる終わり方。さすが萩尾望都・・・。一気に全4巻読まないと話が分からなくなります。

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    2009年10月04日
  • 残酷な神が支配する 10

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    続きが読みたくて続きが読みたくて電車を途中で降りて買いに走ったことがあります。簡単には救われなくて苦しくて苦しいこのお話が大好きです。何度も読んでしまう。そのたびに消耗します。

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    2009年10月04日
  • マージナル 1

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    図書の話とか、岩屋の話とか、導入部分から好きなシーンが多過ぎる。「図書の家の夜鳴鳥」の一話だけで一冊買ってもいい。

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    2009年10月04日
  • 11月のギムナジウム

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    ギムナジウムって言葉につまってる魔力ってすさまじい。なんてきゅんとするんだろう。収録作「かわいそうなママ」が衝撃でした。

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    2009年10月04日
  • HOLY ホラーコミック傑作選第1集

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    <収録作品>
    手塚治虫「バイパスの夜」、美内すずえ「白い影法師」、諸星大二郎「小人怪」、日野日出志「はつかねずみ」、丸尾末広「電気蟻」、内田春菊「雨の日は嫌い」、花輪和一「怨焰」、永井豪「霧の扉」、萩尾望都「かわいそうなママ」

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    2009年10月04日
  • バルバラ異界 3

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    どうも、エズラに端を発しているみたいですが、まだまだ、全体像は、見えてこない。
    本当に、次の4巻目で完結するのだろうか?

    SFは、かなりきっちりまとめてくるとは思うのですが、けっこう、投げ出して終わっちゃうかも。

    火星が、どうからんでくるのかが、1番、わからん……。

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    2011年07月01日
  • バルバラ異界 1

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    えーと、「残酷な神が支配する」から後、この「バルバラ異界」は、購入はしていたけれど、ずっと未読のままでした。
    まあ、1番の理由は、萩尾望都は、読むのに体力と根性がいるからなのでした。
    そのくせ、泥沼のように(?)一気に読ませようとするからねぇ。そして、一気に読みたいたぐいのお話だし。

    ということで、夏で仕事も一段落した今の体力のある時期に、読んで置こうということで読み始めました。

    えーと、凄い。

    これは、あんまりにも陳腐な表現ですねぇ。

    前作の「残酷な神が支配する」は、リアルな理解しやすい物語だったと思います。まあ、劇的なドラマの連続が、リアルといっていいのかどうかという問題はあります

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    2009年10月07日
  • バルバラ異界 2

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    この物語は、登場人物が多すぎる。人物間の関係が一度読んだだけでは、掴めない。というわけで、第2巻では、章の終わりに人物間の関係が説明してある。
    映画、マトリックスでは、現実とサイバースペースの関係を論理的に考えようとすると、納得のいく筋道がつかめるわけもなく、物語の中に入り込めず楽しめなかった。
    バルバラ異界でも、現実世界と、キリヤの作り上げた仮想世界に青羽が住み着き、そこに渡会時夫が入り込みタカに引きずられていくうちに、バルバラにいたパインがこちらの世界に来て、キリヤのことをタカだという。現実とバルバラが交錯してきた。
    バルバラでは、死者がでると心臓を取り出してみんなで食べる儀式が行われる。

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    2012年04月20日
  • バルバラ異界 1

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    「残酷な神が支配する」全17巻、1993.4-2001.9でついていけなくなって、萩尾離れを起こして人が多数いるのではないだろうか。僕は最後まで付き合ったけど、うちのカミさんやカミさんのお友達は、テーマの気持ち悪さについていけず脱落してしまった。
    「バルバラ異界」でどれぐらいの望都ファンが戻ってくるだろうか?

    この本の主人公はいったい誰なのだろうか?眠り続ける十条青羽、他人の夢に入り込むことの出来る渡会時夫、渡会時夫の息子のキリヤ。物語の時代は、2052年。
    瀬戸内海に浮かぶ幻の島バルバラ。右手の形をしている。この島は、キリヤがパソコンの中に作った架空の島だという。
    2045年に何者かにより

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    2012年04月20日