萩尾望都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
えーと、「残酷な神が支配する」から後、この「バルバラ異界」は、購入はしていたけれど、ずっと未読のままでした。
まあ、1番の理由は、萩尾望都は、読むのに体力と根性がいるからなのでした。
そのくせ、泥沼のように(?)一気に読ませようとするからねぇ。そして、一気に読みたいたぐいのお話だし。
ということで、夏で仕事も一段落した今の体力のある時期に、読んで置こうということで読み始めました。
えーと、凄い。
これは、あんまりにも陳腐な表現ですねぇ。
前作の「残酷な神が支配する」は、リアルな理解しやすい物語だったと思います。まあ、劇的なドラマの連続が、リアルといっていいのかどうかという問題はありますが。
エンターテイメントと人物の心の動きを両方バランス良くかいた物語でした。
それ以前の物語は、どっちかというとSF以外は、心理面にウェイトがおかれていたと思います*1。
それが、変化してきたのが、多分わたしは、「あぶない丘の家」あたりだった気がします。
この作品は、日本舞台で、エンターテイメントで、登場人物がどう見たって日本人に見えなくて、でも面白くて、いろんな意味で「凄い」作品でした。
萩尾望都のターニングポイントだったかも。
でも、ウケたかどうかはわからないので、
それから、一連のバレエシリーズがあったのかな。バレエシリーズあたりは、そのまま「残酷な神が支配する」の流れに続いている気がします。
短編なので、あれほどドラマチックではないけれど。
で、今回の「バルバラ異界」なのですが、近未来設定のSFです。そして、舞台は、日本です。
そうなんか、「あぶない丘の家」の流れを感じる。
というよりも、萩尾望都の今までの作品の総決算な感じがします。
全4巻。
どんな話になっていくんでしょう? -
Posted by ブクログ
この物語は、登場人物が多すぎる。人物間の関係が一度読んだだけでは、掴めない。というわけで、第2巻では、章の終わりに人物間の関係が説明してある。
映画、マトリックスでは、現実とサイバースペースの関係を論理的に考えようとすると、納得のいく筋道がつかめるわけもなく、物語の中に入り込めず楽しめなかった。
バルバラ異界でも、現実世界と、キリヤの作り上げた仮想世界に青羽が住み着き、そこに渡会時夫が入り込みタカに引きずられていくうちに、バルバラにいたパインがこちらの世界に来て、キリヤのことをタカだという。現実とバルバラが交錯してきた。
バルバラでは、死者がでると心臓を取り出してみんなで食べる儀式が行われる。死者の心臓を食べると永遠の命が約束されるという。(青羽が、眠りに入り込んだのは、両親を殺して心臓を食べたため、という噂もあるのでそれと関係した儀式なのか)渡会も弔いに参加し、心臓を口にしたら、現実世界の渡会の心臓が停止してしまった。現実世界と仮想世界のはずのバルバラが密接に関係しているというところが、バルバラ異界の新鮮味というところと思うが今後どう展開するか楽しみだ。
●第2巻の内容
若返りの試薬を飲んだ青羽の祖母、十条菜々実は、若返り、若返った姿でマリエンバートと名乗り渡会時夫に近づき愛を告白し、一夜を共にする。若返った菜々実は、渡会の子供を生むというが、試薬の実験者は、卵細胞は、すでに子供を生める状態ではないという。
キリヤは、母親からの電話で、時夫には会うなという。なぜ時夫と結婚したのかと聞くとあなたが出来ちゃったから仕方なくという。生まなきゃよかったのにというと、赤ん坊に罪はないからという。(望まれずに生まれたときかされた子供は、一体どう生きればいいんだ。)父親の時夫は、もっと君に会いに言って君の成長に関わればよかった、後悔しているという。キリヤとしては、ずっと孤独に悩んできたのに、いまさら父親として関わろうとするのが許せない。
時夫は、青羽がキリヤに送ってきたメッセージの意味を探るために、再度、青羽の夢に入り込む。バルバラでは、タカやパインは以前と変わらないが、青羽は成長していた。タカは父親がほしいという。パインは、人工子宮から生まれたので、別に父親は要らないという。タカはバルバラをでて、学校に通いたいという。青羽はここが世界の中心だからここを出たくないという。世界の外では戦争をやっていて、大勢が死んだ。ここでは誰も死なない。雷ジジに聞くと、バルバラの人間も死ぬという。死ぬと遺体を外の世界の人体研究局が引き取り、十条製薬の工場で不老不死の薬にされるという。(なぜ仮想の世界と現実の世界が結びついてしまうのか。)
青羽がキリヤのところに現れ、青羽とキリヤは、かつて、水で満たされた火星の海で、一つの生命体として幸福な日々を送っていたという。地球で再び生まれ変わり、一つの生命体として永遠の命を持つようになる。それが希望であり、来るべき未来であるという。
キリヤが今まで何度も火星の夢を見たのは、火星の記憶が蘇ったからだった。(萩尾望都は火星が好きと見える。「スターレッド」を始めとしてたびたび出てくる)
バルバラで、ヒナコが死んだ。渡会は、ダイヤに連れられてお通夜に出席したら、ヒナコの心臓と浮き袋を取り出しみんなで食べるのだという。(バルバラの住民には浮き袋があって体が空中に浮くらしい。)食べると永遠の命が約束されるのだという。渡会が食べると、現実世界の渡会は、心停止になってしまう。
パインがパリスと名乗って、転校してきて、キリヤのことをタカだという。
時夫は、バルバラの時代を確かめに青羽の夢に入り込んだら、2150年だという。2130年に火星大戦争があり、多くの人が死んだという。
(2004年6月20日・記) -
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「残酷な神が支配する」全17巻、1993.4-2001.9でついていけなくなって、萩尾離れを起こして人が多数いるのではないだろうか。僕は最後まで付き合ったけど、うちのカミさんやカミさんのお友達は、テーマの気持ち悪さについていけず脱落してしまった。
「バルバラ異界」でどれぐらいの望都ファンが戻ってくるだろうか?
この本の主人公はいったい誰なのだろうか?眠り続ける十条青羽、他人の夢に入り込むことの出来る渡会時夫、渡会時夫の息子のキリヤ。物語の時代は、2052年。
瀬戸内海に浮かぶ幻の島バルバラ。右手の形をしている。この島は、キリヤがパソコンの中に作った架空の島だという。
2045年に何者かにより十条勝一、茶菜夫妻が殺害され、その娘青羽9歳は地下のピアノ室で意識不明の状態で見つかった。その事件以来今日まで7年間眠り続けているという。その青羽の眠りの原因を探るため、渡会時夫は、青羽の夢に入り込むことを依頼された。
脳内イメージングスキャナーという機械があって、パソコンに夢を取り込んでみることができるようになっているのだが、青羽の夢は、ノイズが多くてうまく取り込めないのだという。渡会時夫が青羽の夢に入り込むと、青羽は幻の島バルバラで、幼いまま暮らしている。パインとタカちゃんというお兄さんがいる?バルバラでは、養子をもらって育てるというのが一般的らしい。母親は、ダイヤさん。女優さんで、テレビのコマーシャルの出演とかしている。家には、ダイヤの姉さんのマーちゃんがいて子どもたちの面倒を見ている。
この世界では、普通の人は身軽で、空中に浮いてしまう。でも、青羽は浮かばない。浮かないのは死人だけというのだが・・・。
青羽の祖母の十条菜々実に話を聞くと、青羽は父と母を殺害し、心臓を取り出して食べてしまった。それで満足して眠り込んでいるのだという。
十条家は、十条製薬という会社を経営しており、若返りの薬の名前がバルバラシリーズだという。
渡会時夫は、学生結婚し、キリヤが生まれたのだが、妻の明美さんは、夢の中を覗かれるのはいやだといって、離婚してしまったという。ところが明美さんは、衰弱して死にそうになってしまう。前世治療によって判明した、前世の恋人ヨハネの励ましで、元気を取り戻す。キリヤは、「世界は僕を捨てた。世界は僕を愛していない。なのにそんな世界で僕は成長し学校に行き勉強し成人しやがて社会に出て働かねばならない」と悩んでいる。
キリヤの夢に青羽が現れ、父親に私の夢に入ってこないでといってくれ、又は、彼を殺してくれ、そしたら、あなたを捨てた世界をあなたお手に取り戻してあげる、という。
「残酷な神が支配する」を書くことによって、SFも一段とパワーアップしてしまったようだ。恐怖の予感がいっぱいちりばめられている。
(2004年6月17日・記) -
Posted by ブクログ
一気に1〜4巻まで読みました。
ファンタジーな感じで始まりながら、それは親の心臓を食べたあと昏々と眠る少女の夢の世界で、現実の世界で夢の中に入れる渡会が彼女を起そうと夢に干渉しはじめたところから、夢と現実が交錯しあい・・。
いやはや、なんというか4冊で終わるには内容が詰まってます。若返り、不老不死、親と子、遺伝子、試験官ベビー、未来、火星・・・
そして萩尾ファンなら見覚えのある欠片があちこちに・・
4巻ラストで一気に収束していきます。
感じとしてはモザイクラセンを彷彿としましたが、より親と子の関係に重点が。結局、親にとっての「子」子にとっての「親」は、個別の生に対する愛情なのか、それともそれぞれの役割を果たす者への固執なのか。渡会とそのかつての妻にはそんな対比もみえる気がします。
しかし萩尾作品はせつない。
(せつなさでは「モザイクラセン」が私は上なので★4つにしました。) -
Posted by ブクログ
出来のいい兄と、出来の悪い弟はある日、友達と共に海に出て、そしてそこで兄は死んでしまう。
「ずっと思ってたよ/ずっと思ってた/あいつさえいなけりゃって/でも/それは/死んじまえってことじゃなかった・・・・・・」
しかし、兄は宇宙鉱生物に寄生されて、弟の下に戻ってくる。コメディタッチで進みながらも、何もかも完璧なはずの兄のもつ傷・心の闇が、弟の前に立ち現れる。
そして、そこに表れる宇宙人のアリアド。
アリアドは、兄の中に居る宇宙鉱生物と共鳴して音楽を奏でるプレイヤーだった。
やおいの匂いが漂う?と見せかけて、アリアドの深い傷と死者への悼みがまた読者を沈黙させる。
そして奏でられる、兄とアリアドの音楽。
死者への悼みの心、誰かの痛みや傷に共感する心が、二人によって演奏される…。
人々の痛みへの共感、時にやさしく微笑ませてくれるコミカルな表現、音楽の瑞々しい表現(萩尾望都が音楽を表現する絵は、本当に音譜がそのまま一本の線になっているかのようで、一個の画面の中に、壮大なオーケストラが埋め込まれているかのようである)がバランスよく纏まった小品である。
さらっと読めるのに、暖かく心地よい。
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Posted by ブクログ
マージナル=境界の、辺境の、不十分な、わずかな、ほんの少しの
こんな題名をつけるところがすごい。
「マザ」唯一の女性。この国は、マザ以外は男性ばかりだ。
そこへ、「キラ」という、この国にとって異性人とも言える青年(?)がやってくる。
キラを巡り、いろいろな人間(マージナル人、センターの人、キラの産みの両親、別の国のESPなど)が交叉する。
私だったら絶対に思いつかない国、マージナル。
先が見えない面白さ。
いつしか私もマージナル国に魅入られる。
そして、まさかこんなクライマックスを迎えるとは。
予想を裏切るというより前に、予想がつかない。