萩尾望都さんといえば、少女漫画の歴史とも言える伝説的な作家さんだ。
が、残念ながら、自分自身は大人になるまで、ほとんど読んだことがない。
唯一読んだのは『トーマの心臓』くらい。
この本では、イタリアの大学に招かれて行った講演をベースに、少女漫画の歴史を概観し、表現の特質について語られる。
表現論
...続きを読むではコマ割りのことが特に多く取り上げられていた印象がある。
規則的なコマを割って物語を作っていくことがむしろ難しいという話があった。
自分にとってはそれ自体が意外で、興味深かった。
少女漫画の自在なコマ(例えば人物がコマを無視して、画面の前面に出てくるような配置)が読めない人がいるというのも、わかるような気がする。
同時に、むしろ自分はどうして違和感なく読めたような気になっていたのか、改めて不思議に思ったりもする。
萩尾さん自身のことも知ることができた。
お母さんとの関係に苦しんだことが作品に反映したものもあるとの由。
名前だけは知っていた『イグアナの娘』も、そういう作品だったとは。
あとは、SFと少女漫画は親和性があるという指摘も面白かった。
今更ながら、『ポーの一族』を読んでみたい、と思うきっかけになった。