乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ罪を犯し、前科持ちになってしまった主人公と、同じく前科のある友人の話。読んでいる間ずっと、辛い気持ちでいっぱいだった。
刑期を終えても過去は消えない。いつか自分のことが世間にバレるのではないかと怯え、静かにひっそりと生活している。救いは自分のことを分かってくれる友人だけ。
あー、誠実に生きよう。人に後ろ指を刺されるようなことは絶対しない、とつくづく思わせられた。
それと同時に前科のある人への偏見を持ってはいけない、誠実に生きようともがき苦しんでいる人も大勢いるのだ、と思う。
とても考えさせられる本だったが、いつか主人公たちの前科のことがバレてしまうのではないかと、読んでいる間ずっと気が気ではな -
Posted by ブクログ
5話の短編集。
視点の違うそれぞれの立場からの母親を描いていた。
(「ビースト」はどっちだろう、、母本人かな、母となった娘を見たその母かな、、)
「セメタリー」なんか、題名だけで不穏だし不安感を誘うし、この息子の頭の花畑をどうひっくり返すのか、予想はできたもののきっちり落とす最後を読めたのはよかった。
この息子や、ほかの作品に出てくる娘は善良だとは思うけど、あまりに呑気。
気づかせないよう、“いい子”に育つようにしたのはその母親なんだから、なんとも皮肉。
こういう、“家族神話”がとっくに崩壊してる小説、このところ多くなったと思う。
いつもそうそう、そうだよなんで気づかないの?と思いながら -
Posted by ブクログ
この小説、平成3年刊の文庫化なんですが、こんなに面白いんだからもっと早くに文庫にして欲しかったなあ。などというと読者のわがまま?文庫化までの間隔って2~3年くらいだろうと思っているんだけれど。
結婚式まであと5日の花嫁が記憶を失って見知らぬ場所で目覚めるっていう「お約束」な始まり方ですが、そこからは一味もふた味も違う。主人公の心理描写が細やかで良いなあ。ミステリとしてもすばらしいと思う。
ただ、ひとつだけ文句をつけておきましょう。いえ本編ではなく解説になのですが。解説にいろいろと書きすぎです。まあ、ミステリファンが解説を最初に目に通すとは思いませんが。みなさん、本編から先に読みましょう。(あた -
Posted by ブクログ
ネタバレ初作家さん
「マザー」という題名に 芦田愛菜ちゃんが小さくて、泣いているイメージが浮かんだのだが・・・・
母親だけど老親の娘として葛藤したり、
子を宿して妻の座を勝ち取ったのに子にうけいられなかったり、
我が家はいい家庭と子供は信じてたけど それは母の我慢のもとに作られていたり。
「母親として」とひとくくりにされてはたまったもんじゃない ブラックな立場
様々な母の有り様と事情が重すぎて ちょっと咀嚼できない話もあるけど
短編集なので乗り切れる。
元気な時に読んだ方がイイかも。
直木賞作家さんなので、次は受賞作の「凍える牙」読もうかな。