乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦後、高度成長期の日本。婚約者の刑事である勝が突然失踪し、勝の先輩の娘が無惨な形で殺害される。萄子は、容疑者としての疑いをかけられた勝をどうしても諦められず川崎、熱海、焼津、田川、、と小さな手掛かりを手繰って捜し求め彷徨う。
結末は、正義感と自らを顧みず人のために自己犠牲を惜しまない勝の人格と、刑事特有の逆恨みに対する輩からの制裁に巻き込まれた凄惨な事件。
事件の展開が非常にゆっくりであるが、最終章である「涙」はやっと再会出来た勝と萄子の抗うことができない嵐と人生を絡めた壮大なクライマックス!
結末が気になり上下一気読みした物語だった。
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Posted by ブクログ
雑に括れば女刑事もの。
面白かった、けど、なんとなく評価しにくい作品。
作中では、
・不可解な2種類の犯行方法の謎
・殺人の動機となった過去についての謎
・男性社会における女性主人公の抵抗
・女性主人公と男性のチーム成長譚
・ウルフドッグと人間の生の躍動の対比
といった複数の要素の絡み合いがある。
ポジティブに言えば、それが物語を面白くしている。
ただ、ネガティヴに言えば、それが物語のピントをぼやかしてしまっている気がした。
けど、それは言い方を変えれば「上下巻にして倍くらいのボリュームで読み応え倍増して欲しかった」という、ポジティブな感想でもある。
女性主人公が、職場でも家庭でも、理解されなかったり犠牲にされたり、女性が男性的社会の中でもがいている姿が描かれ。けれど男性も実はもがきながら生きている(中年男性としては滝沢への感情移入を禁じ得ない)ことを知り。対比としてウルフドッグは、人間に作られ飼われた存在でありつつも自らの意思で飼主の遺志を継ぎ、かつ、自分の命を余すことなく燃やし躍動する。自分もそのようになれそうな気がしたが、それはかなわず、ひと時の高揚を残してまた日常に帰っていく。
そのような人間ドラマを主軸としつつ、車輪の軸を回す駆動力として、事件解決/トリック謎解きものが組合されている。
笑子のエピソードと、滝沢と子供達のエピソードを膨らませて、滝沢の笠原に対する共感と葛藤まで描かれたバージョンを読んでみたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
マエ持ち。
前科持ちの事を言うそうだ。
前科持ちの刑務所仲間の2人の女性。芭子と綾香の服役後の人生を描いた物語。
刑務所で知り合った芭子と綾香。服役後はお互い家族に縁を切られ、過去を隠して細々と支え合って生きていく。
震災直後の文面は作者の乃南アサさんの実体験に基づき描かれているそうで、震災後の時系列の状況が臨場感に溢れていた。
綾香は、震災のボランティアをしながら、命の大切さを痛いほど感じ、自分の犯した罪に向き合っていく。
最期には、それぞれ違う道を進んでいくことになるが、ゆっくり前を向きお互い新たな一歩を踏み出す事が出来て良かったのと、芭子の過去を受け入れ、ゆっくりと一緒に歩んでいくことを決意した南さんの懐の大きさ、人間力に救われた気持ちがした。 -
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。
昭和の話かと思ったら平成(1996年)の話だった。警察官が特にガラが悪いのか、他の職種はもっとひどいのか知らないが、ひどい時代。
セクハラは当たり前。女性というより、他人に対してのリスペクトとまではいかなくても、礼儀やらはなかったのか。で、男が女性に対して少し思いやりでも出そうものなら、いきなりいい人認定。
今の女性警察官が「女のくせに」と、差別も理不尽な扱いもされていないことを願うばかり。
ストーリーはそれなりに面白かった。ものすごく面白かったわけじゃない。2つの事件の種明かしがいまいちだった。動機も、もっと深い意味があるのかと期待してたのとは違った。
疾風(はやて)は幸せだったのかな。もはやそう思うしかない。