あらすじ
文明開化の横浜で時代の最先端にいた女性は、未開の大地でいかに生きたか。
私たちの代が、捨て石になるつもりでやっていかなければ、
十勝は、私たちを容易に受け入れてはくれない。
信仰心に支えられながら晩成社の仲間をともに厳しい北の日常を生き抜く若き女性カネの肖像。
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Posted by ブクログ
北海道開拓民の苦悩を、その中の1人の女性カネの視点から描いた作品。
フィクションだと思いながら読んでいたので、いつになったら成功への道が開けるのかと思っていたら、とうとう最後まで苦しい展開で終わりビックリした。
でもだからこそリアルだったし、当時の激動の時代も相まっていかに未開の地でゼロから切り開いていくかの大変さがありありと伝わってきた。
主人公カネに対する勝の態度や依田さんの不器用すぎる姿勢に大分イライラした場面も多かったが、カネのひたむきさと逞しさに終始励まされる。しかしあの時代にあれだけの教養をつけた女性が勿体無いという感想もやっぱり捨てきれない。
先が気になって一気読みできた本だった。
Posted by ブクログ
残りページ数的にそろそろ見通しがたってもいいのでは?と心配しながらそのまま読み終わっちゃいました。「赤い人」だとどんどん道やら畑やらできていったかのようなスピード感で語られてますが、実際開拓してた人たちにしてみたらそんな簡単な話ではなかったんでしょうね。
Posted by ブクログ
明治時代、北海道十勝地方帯広を開拓に入った「晩成社」、没落士族一家の娘「カネ」は女学校を卒業するような、当時としては最高の教育を受けたにもかかわらず、晩成社の幹部を兄に持ち、もう一人の幹部と結婚して、開拓団として北海道後に立つ。
襲い掛かる自然の驚異、夏は暑く、冬は凍え、イナゴが襲い掛かり、霜が降りる。その度ごとに生育しかけた作物はヤラれる。それでもたくましく生きる開拓団。
「地の果てから」を描いた作者、北海道を描かせると抜群の筆の冴えでさすが。開拓団同士の団結、アイヌとの交流や、時折見せる自然の美しさ…それでもずっと最後まで開拓できた実りの美しさは描かれず、苦悩のままで終わったのは、息詰まったままで残念。
個人的に響いたのは、カネの夫、勝の酒癖。依存症なんだよなぁ…、歳をとっていくほどに酒量が増え、悪い酔い方をして、信頼を無くし、最後の最後に酒が原因で死ぬ…。これだから酒はアカン。
Posted by ブクログ
身を粉にして働いても、いっこうに作物が実ることのない極寒の地オベリベリ(帯広)。
人の心をわかることができない依田さんや、大酒飲みの勝にいらいらする。横浜にいればカネは一般人以上にハイカラな生活ができていただろうに。
しかし、この晩成社のおかげで、今日の十勝地方があるのであり、長い意味で大器晩成であった。
Posted by ブクログ
開拓 それも厳しい自然の北の大地。慣れない自然の脅威に心が萎んでいくのも仕方がないと思う。これは無理と逃げ出そうとする人がいれば、来年こそと踏ん張る人もいる。どちらが正しいとはとても言えない。それぞれが自分の判断を信じていくしかないのだろう。
柔軟に反応することが大切と感じるけれど、それも余裕があればこそとも思う。
Posted by ブクログ
過酷だし苦労も絶えない状況が続くけど、それでも日々の暮らしの中で自然の偉大さや美しさに目を向けられる主人公は、しなやかで強い女性なんだなぁと思った。
Posted by ブクログ
表紙が気に入って購入。開拓の険しさにフォーカスした話は、なかなか読ませるが、3人の男たちのそれぞれの人生、開拓の顛末がエピローグでそっと触れられて終わっており、そこが読みたいんやんと思った。