あらすじ
文明開化の横浜で時代の最先端にいた女性は、未開の大地でいかに生きたか。
私たちの代が、捨て石になるつもりでやっていかなければ、
十勝は、私たちを容易に受け入れてはくれない。
信仰心に支えられながら晩成社の仲間をともに厳しい北の日常を生き抜く若き女性カネの肖像。
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Posted by ブクログ
明治時代、北海道十勝地方帯広を開拓に入った「晩成社」、没落士族一家の娘「カネ」は女学校を卒業するような、当時としては最高の教育を受けたにもかかわらず、晩成社の幹部を兄に持ち、もう一人の幹部と結婚して、開拓団として北海道後に立つ。
襲い掛かる自然の驚異、夏は暑く、冬は凍え、イナゴが襲い掛かり、霜が降りる。その度ごとに生育しかけた作物はヤラれる。それでもたくましく生きる開拓団。
「地の果てから」を描いた作者、北海道を描かせると抜群の筆の冴えでさすが。開拓団同士の団結、アイヌとの交流や、時折見せる自然の美しさ…それでもずっと最後まで開拓できた実りの美しさは描かれず、苦悩のままで終わったのは、息詰まったままで残念。
個人的に響いたのは、カネの夫、勝の酒癖。依存症なんだよなぁ…、歳をとっていくほどに酒量が増え、悪い酔い方をして、信頼を無くし、最後の最後に酒が原因で死ぬ…。これだから酒はアカン。