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Posted by ブクログ 2023年11月21日
乃南アサさん初読みの『凍える牙』の概要と感想になります。
深夜のファミレスで1人の男性客が突然、助けを乞いながら燃え出すという不可解な事件が発生する。機動捜査隊に所属する貴子は、昭和の刑事(デカ)を代表するような滝沢と臨時のコンビを組んで捜査にあたる。2人は相性最悪ながら、事件に絡む謎の「牙」を追...続きを読むい求める中で次第に互いを認め合って「牙」を追い込んでいく。
本作は直木賞受賞作で女刑事 音道貴子シリーズ1作目だそうですが、前半は人間味というか人間臭さを滲み出しながら音道と滝沢の相性の悪さが描かれている一方、後半の怒涛の展開は警察24時や逃走中を観ている時の緊張感を味わえるといった緩急が凄い作品で楽しめました。
結城充考さんのクロハシリーズとは正反対な本シリーズも追いかけたくなりますね。
Posted by ブクログ 2023年05月24日
乃南アサの長編小説。僕がこの作品に出会ったのは、筆者を知り、どうやらこの作品が面白いと言われている様なので手に取ったという経緯だ。なのでシリーズかしている事も知っていたが、「風紋」や「晩鐘」程では無いだろうと軽い気持ちだった。
冒頭からファミレスの焼死体、牙の後、という不穏空気に一気に引き込まれ...続きを読むる。
貴子と滝沢のコンビも魅力的で、滝沢の皮肉な親父感(皇帝ペンギンはピッタリ)は、男社会の嫌な部分を凝縮している。それに負けない貴子の強さ、また素の部分はギャップを感じ魅力的におもう。
彼女はバイクを愛用しており、カーチェイスならぬバイクチェイスはまるで映像を見ているかの様な描写力だ。女性刑事や探偵は数人知っているが、キャラクターとして魅力的な一人になった。
物語が進むにつれ、牙の意味が明かされていく訳だが、物凄く切ない気持ちになる。衝撃度や世界観含めて読んでよかった。面白い作品だった。
Posted by ブクログ 2023年03月12日
何も言うことがないくらいすごい面白かった。
引き込まれて読み終わりました。
最初は、滝沢刑事と音道貴子のコンビで、なんとなくうーん…って感じだったんだけど、中盤からどんどん引き込まれて行った。
さらに疾風が出てくる頃にはもう、どうなる?次はどうなるの??って気になって気になって。
音道貴子シリーズは...続きを読む読もうと決意しました。
凍える牙はけっこう前に発刊されてたんだ。なぜ今まで気づかなかったんだろう。もっと早く飲みたかったー。
Posted by ブクログ 2022年10月28日
初めて乃南アサさんの作品を読んだ。
思ったことを素直を羅列すると、
直木賞を受賞した作品は面白いんだ
90年代のセクハラひど過ぎ、自分が新入社員の頃、こんなにひどかったかと嫌悪
主役は音道刑事だがオオカミ犬にも主演男優賞を!
刑事物は大好きで竜崎伸也と加賀恭一郎に音道刑事を加えよう、シリーズ読んでみ...続きを読むます。
素晴らしい作品だった。
Posted by ブクログ 2022年06月14日
乃南アサさんの「女刑事・音道貴子シリーズ」の再読を楽しんでいます。新鮮な感じがします。今回は、直木賞を受賞した「音道貴子」誕生の作品、「凍える牙」、1996.4刊行、2000.2文庫化。音道の滝沢との出会い、そして、オオカミ犬疾風(はやて)との出会いの2段階構成。この作品のタイトルにあるように、主...続きを読む人公は凛々しく威厳のある「疾風(はやて)」だと思います。でも、疾風が登場するまでの音道貴子と滝沢保の段々と息が合っていく様子もなかなか素晴らしいです(^-^) 納得の直木賞!
Posted by ブクログ 2021年05月16日
疾風が、最初は残忍で恐ろしい印象がついて好感度が低かったが、話が進んでいくにつれどんどん好きになってしまいました。
また、主人公の貴子と滝沢の仲が徐々に深まっていく過程が、読んでいて微笑ましたかったです。
動物が好きな人にはオススメの本です。
Posted by ブクログ 2024年01月13日
音道貴子と滝沢保のコンビが捜査活動を行い、最終的に検挙に至る物語だが、男社会の刑事組織の中で葛藤する貴子の感情的な様子が巧みに描写されており、非常に楽しめた.原照夫が「発火ベルト」で焼け死に、堀川一樹、吉井知永子、水谷拓が喉を食いちぎられて死ぬという事件が起こり、それぞれの事件の関連性を捜査する過程...続きを読むで、オオカミ犬が登場する.知能の優れたこの犬を訓練していた人物を洗い出したが、大火傷に瀕死の状態.貴子らの努力で高木から動機を聞き出し、次の殺害者を守るべく貴子がオオカミ犬を追跡.手に汗握る迫力ある場面が面白かった.娘の復讐を企てた高木の執念は結果的に殺人を引き起こすことになったが、親として理解できないものではないと感じた.貴子のプライベートな動きも適宜出てくる構成が秀逸だ.
Posted by ブクログ 2023年09月26日
「疾風はの全身は見事に躍動し、輝いていた。背中の中心から尾は黒に近い灰色、腹の方に下がるに従って毛は銀色に見える。自分をお追ってくる者の存在など、まるで眼中にもないように、一点を見つめて走っている。」
走っている姿が目に浮かびます。
Posted by ブクログ 2023年08月15日
冒頭の火災の焼死体に咬傷がのこされていた。テロ的なミステリーかと思いきや大型犬に襲われて命を奪われる事件が勃発する。孤高の女刑事が理不尽な男社会で抗いながら常に前を向いて闘う姿勢は読み手をひきこみます。ドラマ化されて音道貴子役は小池栄子さんが演じているようですがちょっとイメージがわきません。作品は違...続きを読むいますが誉田哲也さんのストロベリーナイトの姫川玲子を演じた竹内結子さんが個人的には適役で、相棒の滝沢刑事はマキタスポーツが適役ではないかと感じます。音道貴子シリーズを読破しようと思います。
Posted by ブクログ 2022年09月15日
バイクを颯爽と乗りこなす女刑事・音道貴子の物語。
意見を言うこともままならない昔気質な男社会の中に生きる音道の孤独感に、何度も胸が締め付けられた。
全てにおいて上から押さえつけられ、うまく感情を出すことも出来ない。
これだから女は、と見下されないために無愛想な仮面を被る音道。そんな音道と今回の事件...続きを読むでコンビを組むことになったのは、叩き上げデカ丸出しの中年男・滝沢。
性格的にも相反する二人。始めこそぎこちなかったけれど、事件を共に追うにつれ徐々に互いの距離を縮めていく様がとても良かった。
一番印象深いのはオオカミ犬・疾風(はやて)と音道が共に走る場面(もちろん音道はバイク)。両者の疾走感がとても心地よい。本物のオオカミ犬が走る姿も見たくなった。オオカミ犬がこんなにも優れているなんて初めて知った。
音道が本来持っている感情も見事に前面に出され、内にためていた全てを吐き出した姿に惚れ惚れした。
多くを語らないクールさがカッコいい音道の今後もぜひ追いかけていきたい。
Posted by ブクログ 2022年08月24日
オーディブルで。乃南さんの話は、はじめて。
登場人物が、少し性格が歪んでいて、終始パートナーの悪口が多いので、あまり爽快感がない。疾風は、本当にかわいそうだが、生き様は侍のようだった。
Posted by ブクログ 2022年08月01日
オオカミ犬?警察ものなのに?
あ、ファンタジーかあと思った。
いやすみません、そのオオカミ犬が主人公達を凌ぐ存在感となる。
後半の疾走感たるや。
オオカミ犬にとても会いたくなる一冊。
Posted by ブクログ 2022年03月31日
音道貴子シリーズ、機動捜査隊の滝沢とのコンビ。異常な事件を追いかけていく。
滝沢の心情の変化も音道貴子の力によるところだと感じる。
動機、機会、方法が次第に明らかになっていく。オオカミ犬の孤独と追求する信念が音道貴子と重なる。犯罪心理を見事に描いている。
Posted by ブクログ 2021年08月10日
刑事という男性社会に女性が入っていくって、一般人が想像する以上に厳しいことだと思う。世の男性たちよりも、オオカミ犬の疾風の姿にとても魅力を感じた。
Posted by ブクログ 2021年07月30日
先日読んだ『しゃぼん玉』(2004年)が物語構成が巧妙でなかなか良かったので、この乃南アサさんの直木賞を受賞した本作(1996年)を手に取ってみた。
ミステリもので、本作の女刑事音道貴子を主人公としたシリーズが何冊かあるらしい。
『しゃぼん玉』もそうであったが、本作も読み始めてしばらくはあまり面...続きを読む白くもないような感想を抱いていた。探偵ものというより「警察小説」であり、警察の組織などがかなり詳しく書かれている。もの凄く綿密に取材されたのだろう。が、自分は別に警察そのものに興味があるわけではないので、この小説前半に何となく乗り切れないものを感じたわけだ。
刑事たちという典型的に昭和風な男社会で、主人公の30歳付近の女性刑事が出くわすさまざまな軋轢。殊に、今回の事件で相棒となった40代半ばの滝沢刑事は、露骨に男尊女卑の偏見に満ちている。事件捜査の過程で、彼女はたくさんの身に覚えのない屈辱を受けながらも、おおむねクールにやり過ごす。
一般に女性だらけの職場だと内部の人間関係がひどくこじれて苦痛に満ちた地獄に変じやすいというのをよく聞くが、本作を読んでいると、男性だらけの職場では、互いに仲はよいかも知れないが、自分たちの性欲を前提として共有しつつ女性をモノ扱いし哄笑するノリを楽しむ場合が非常に多いのではないかと考えた。だからこそ、男はすぐに「うっかり」セクハラ発言を女性に対してしてしまうのだろう。
しかしジェンダー問題は本書の主要な主題ではない。途中から犯行に関わったらしい「オオカミ犬」の像が主人公を捉える。音道貴子の脳内でしきりに、凛として賢く強靱なオオカミ犬の疾走するイメージが反復される。リアリスティックに警察内部を記述し続ける小説内部ににわかに登場する、神話的なイメージ。
驚いたことに、この神話へのリビドーが結局この小説を貫いて、クライマックスではオートバイに乗った音道刑事がオオカミ犬と共にひたすらランデブーする場面が、素晴らしいエクスタシーに到達する。それは神話ゾーンと主体との合一という、実は宗教的悦楽と軌を一にするものではないかと思われるような、無限の法悦なのである。
この驚くべきクライマックスにより、謎解きなどはもはやどうでもよいような気すらして、本作品を格別なものと感じさせた。
ちゃんと解釈するならば、信念に基づいて自由に力強く疾駆するオオカミ犬のその孤独さのイメージが、男社会との軋轢を経て傷つきながらも邁進する女性主人公の孤独なそれと合致するからこそ実現される合一=エクスタシーなのであろう。
このように、単なるミステリではない文学的イメージがこの小説を抜きん出たものとしているのだと、私は思う。
Posted by ブクログ 2021年05月20日
機動捜査隊の音道貴子が孤独と闘いながら連続殺人犯に挑む。リンダラプラントのロレインペイジが個人的には好きだが女性刑事の孤独は90年代半ば以降良く取り上げられた時代を映すテーマ。それをさすが直木賞受賞作だけによく出来ている。欲を言えば、もっと熱く激しく燃えて欲しかったかも。
Posted by ブクログ 2021年04月24日
【再読】
以前読んだ事があったが、音道貴子シリーズを通読しようと再読した。
オートバイで疾走する貴子と連続咬殺事件に利用されたオオカミ犬疾風との高速道路上でのデッドヒートは何度読んでも爽快だ。
貴子と中年デカ・滝沢のコンビは今ではセクハラの極みでとても受け入れられるものではないだろう。首都高湾岸線が...続きを読むまだ開通直後で交通量が少ないなど、時代を感じさせる記述などが出てきて、興味深かった。
Posted by ブクログ 2023年10月16日
まだまだ警察組織でも
男尊女卑は根強いのか?
これってどの会社でも同じだけど・・・
とは思いながら
やけに女だから舐められる
女だから馬鹿にされている
が強調され過ぎで主人公も意識しすぎ。
もっともココを強調しているから
後々強面の女嫌いの相棒の
ふとした際の優しさに
「よかったじゃん」と思えるのだ...続きを読むろうが・・・・
さて、色々な犯人がいるが
今回はオオカミ犬。
あまりに忠実で
あまりに気高く
あまりに哀しい最後に
犬好きとしては
腹立たしい思いで読み終えた感がある。
こんな事に犬使うな!
(すっかり話に入り込んでいる証拠だが・・・)
しかも、大火事出した犯人の動機が
身勝手過ぎてあきれかえった。
Posted by ブクログ 2023年06月13日
この小説には、読む人が目を離せなくなるような光景が。読者の脳裏にくっきりと浮かび上がり、一気に引き込んでいくようなようなそんなシーンがきっと待ち受けています。
たった今、想像して思い描いても感動を与えてくれるような。
その瞬間を、自分はもうきっと忘れることはできないでしょう。
すごく綺麗で、強く...続きを読む健気で愛おしく、とても哀しい。
そのシーンの為だけにでも読む価値があったと今でも思っています。
Posted by ブクログ 2023年04月11日
深夜のファミレスで ひとりの男性客が突然に発火炎上。死んだ男の身体には、犬に噛まれたような傷が残されていた。その後も同じような咬殺事件が相次ぐ。なかなかインパクトのある書き出しで、機動捜査隊に所属する女性刑事が魅力的でしたので、楽しんで読みました。
ミステリ枠なのかもしれませんが、女性蔑視が色濃い時...続きを読む代に孤高な女性刑事と、小説に出てきそうなデカらしい中年デカとのコンビが徐々に解していくところが面白いかな。
もうひとりの主人公オオカミ犬の存在感が都会の中に魅力的だった。
Posted by ブクログ 2023年02月03日
若い女性刑事と中年のベテラン刑事がタックを組んで連続殺人事件を追うストーリー
殺害された人は何らかの獣に噛まれた跡や噛み殺されている。
獣を操る人は何者かを追っていく
登場人物一人ひとりの描写や考えが細かく丁寧な文章で表現されている。それが、丁寧すぎて読みすすめるのに時間を要した。ちょっとめんどく...続きを読むさいなーとも思いながら読み勧めていく第三章くらいから、ストーリー展開が意外な方向性に進み、スラスラ読めた。犯人の背景を知ると、胸が痛くなる
主人公の音道刑事のキャラクター描写も魅力的でカッコいい。
ドラマにもなっていいるので、ぜひ見てみたいと思った。
乃南アサさん初めて読んだ、別な作品も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ 2022年01月06日
「人間が発火する事件」、「人間が獣に食い殺される事件」の二つの殺人事件を主人公である女性警察官と相方のベテランのおっさん警察官が挑んでくサスペンスミステリー。
事件の内容も手が込んでて面白いんだけど、この小説は事件よりも男社会で奮闘する女性警察官とおっさん警察官の心理を中心にリアリティ溢れる感じで描...続きを読むかれています。素直に男社会で働く女性って大変だなと切に思うと共に、男もまぁやりづらいこともあるだろうなぁと。
大どんでん返しとかそういったのはないけど(見方によっては最後に少しあるかな)、すらすらと読めて男性社会で頑張ってる女性が読んだら共感できる部分も多いのでは。
Posted by ブクログ 2021年11月13日
人が燃えるというインパクトのある冒頭に期待感が高まったが、それ以外は割とあっさりした印象。
犯人の心情があまり描かれていないからかな?
事件よりは、主人公とその周りの刑事との人間模様を楽しめました。
Posted by ブクログ 2021年11月08日
流れとしてはまぁ悪くなかった。
犯罪系の小説によくある犯人の動機、過去を少なくする点は笑子の無垢さや疾風の高潔さに繋がっていて良かったと思う。
負けん気強すぎる女性主人公と最悪おじさん刑事のタッグ(に自分は見えた)なので捜査中の話を読むのがまぁ辛い。
疾風の描写が出てくるとかなり絵的に想像がしやす...続きを読むくなって良かった。
乃南アサの作品は基本どこかしらの暖かさがあるが、今回はその暖かさが出てくるのが後半で前半は対人関係への辛さみたいなものが多かった印象。
Posted by ブクログ 2021年08月29日
ファミリーレストランで客から発火という始まりは良かったけど、その後なかなか進まない状況がちょっと辛かった。
音道と滝沢の男女のコンビが少しずつお互いを理解していく過程や音道の疾風追走のシーンは、どうなっていくかどんどん面白くなっていった。
オオカミ犬に殺させるというのはかなり怖く、笠原が確保され...続きを読むたあとも小川を襲いに行くのは非現実に思ったが、ほんとにそんな能力があるのだろうか。
疾風がかわいそうすぎる。
ポケベルとか使ったことないけど世代だけど、十分わかるし楽しめた。