あらすじ
小森谷芭子29歳、江口綾香41歳。ふたりにはそれぞれ暗い過去があった。絶対に人に知られてはならない過去。ふたりは下町の谷中で新しい人生を歩み始めた。息詰まる緊張の日々の中、仕事を覚え、人情に触れ、少しずつ喜びや笑いが出はじめた頃──。綾香が魚屋さんに恋してしまった! 心理描写・人物造形の達人が女の友情に斬り込んだ大注目の新シリーズ。ズッコケ新米巡査のアイツも登場。
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Posted by ブクログ
この作品を読む度に感じるのは、作者からの作品に対する愛情。必死に生きる芭子に地の文や登場人物たちを通して常に励まし、温かく見守っているように思える。芭子の俯きがちな人生観は共感する部分も多い。だからこそ、繰り返し読みたいと思ってしまうのかもしれない。
このタイトルもたまらなく素敵!
Posted by ブクログ
傷ついた人、傷つけた人、見守る人、裏切る人。
いろいろな人間の心の中。でも自分の心の傷と妙に共鳴してしまう。読みながら、自分の生き方を見直させてもらいました。
Posted by ブクログ
中学生だか高校生だかで読んだ時もそれなりに泣いたような記憶があるけど、改めて、芭子ちゃんが道を違えた時の年齢になって読み返すと、嗚咽するほど泣いた。
家族にも縁を切られ、唯一の社会との繋がりであった仕事も辞めた芭子も、「独り」ではなくて。
お向かいのおじいちゃん、おばあちゃんが仕事を辞めたことに気がつき、気にかけてくれていたこと。
絶縁を申し出された弟から、これからの芭子の人生を想う手紙が送られたこと。
もちろんずっと支え合ってきた綾香の存在も、全てが温かくて、苦しくて。
ひとりでは生きられないことが、時に苦しくもあるけれど、やっぱり救いなんだなあと改めて感じた。
こんなにも芭子に共感して泣いたのは、私が芭子ちゃんと同じ年齢だからか、同じ3つ下の弟がいるからか、はたまた同じゴールデンレトリバーを飼っているからか。
なにがトリガーになったのかわからないけれど、一番はやっぱりわたしも「夢がわからない」ことかなあとおもう。
「普通のCDショップなどでは売られていないCDや、名前も聞いたことのない歌手が世の中にはあんなにも多いということを、芭子は、綾香から聞いた店を訪ねて初めて知った。スポットライトを浴びることなどなくても、好きな道を歩んでいる人が、こんなに多いのかと思うと、何となく胸のあたりがざわついたほどだ。」
テレビで自分よりうんと若いスポーツ選手やアイドルやらの活躍を目にしたりして、なんとなくちくっとしたり。
親戚やら身近な人が夢に向かって頑張っている噂を聞いて、ちょっぴり惨めになったり。
そんな経験はきっと誰しも少なからずあると思っていて。
まして7年間孤独に罪と向き合っていたら、「夢を見る方法を忘れちゃう」ことへも深い共感が持てた
けれどそんな芭子が、誰かに頼りにされたい、支えたい、そのためにしっかりしよう。と決めたように、とりあえずはわたしも「1人で立てること」を目指してゆっくり生きようかな。
このシリーズはこの1作しか読んでいないから、この先の芭子と綾香の人生が、きっと2人の満足のいくものであることを願って、また残り2作も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
芭子と綾香という大人の女性のほのぼのしたやりとりに、親近感がもてた。
一方で実刑を受けた過去を持つことが、こんなにも生きる場所に影を落とし、生きるための自身の行動すら冷たくかたくしてしまう事に、なるほどと思いつつ、可哀想な仕方ない様な気持ちになった。
これでは更生なんて生半可な覚悟では出来るはずもないだろう。
あと2冊…いつか陽の当たる場所で 2人が明るく生活出来ている事を希望して読み進めたい。
それにしても…聖大のイメージが変わった笑
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刑務所で一緒だった芭子と綾香。
罪は償ったといっても前科があるということはこんなに生活に神経を使うものなんだなあ。
読んでいてなんだか切なくもなった。
根っからの悪というわけではなく、罪を犯してしまった2人。胸をはって生きられるようにこれから幸せになってほしいな。
続編があるようなのでそちらも読んでみようっと。
Posted by ブクログ
マエ持ち女二人組シリーズ
第一弾
刑務所で知り合い服役後
近所に住んでお互い支え合いながら
服役中の止まった時間の
生活を取り戻そうと奮闘する
短編の続く小説
読みやすくあっと言う間に読み終えた。
刑務所!と聞くと想像するに重そうだけど短編の続く小説で明るく書かれてる。
何となく引き込まれながら読み終えた。
Posted by ブクログ
理由あって刑務所で一緒だった二人が
何とか目立たないように生活基盤を
整えようと努力する話
夫の暴力に耐えて生活していた主婦が
子どもにまで暴力が及び殺人を犯す
あるよね殺人は別として
外ではおとなしい人が家では暴力亭主
そういうのに限って
もう二度としないと泣いて謝る
繰り返し繰り返し 負の連鎖
そして
いい所のお嬢様なのにホストに入れ揚げ一千万くらい貢けど
出会い系サイトで知り合った男に
睡眠薬を飲まして金を盗み御用となる
そんな二人が娑婆で目立たないように
何とか生きて行こうとするストーリー
下町で庶民の関係や生活が感じられて
面白い
二人のキャラが違うので
うまくいかない事やその対応や反応にも個性がある
罪を犯した家族への対応も考えさせられる
Posted by ブクログ
心にも経歴にも傷を負った女性二人が前向きに生きていく道を探していく一冊です。
主人公はとある罪で実刑7年、刑務所から出たら浦島太郎のような心地になっている女性。家族からも見放され、近所との付き合いに神経をすり減らし、何かにおびえながら過ごす日々の中で救いになっているのは刑務所で服役していた時に知り合った友人の女性との時間。上手くいったり、いかなかったりしながら、それでも前を向いていくために彼女たちは手を伸ばす。
刑期が明けて出てきた、前科のついてしまった女性たちの友情を感じる一冊です。
生きていくことは大変なことだ、と最近ことさらに感じますが、脛に傷を持つ人たちであればなおさらなのだろうなと思います。トラウマのようになっていることもあるでしょうし、どうしてあのとき、と後悔してしまうこともあるのでしょう。刑務所に入れられた人たちが全員が全員そのような感覚になるわけではないでしょうが、少なくとも主人公の彼女は苦しそうで。友人の彼女も、たくさんのことを飲み込んで明るくふるまっている。健気でいじらしく感じました。
一度は捕まるほどの罪を犯したのだとしても、それでも、誰でも、自分が決めた時には前を向いて、明るい方へ向かって進んだっていいはずだ、と思います。
少しだけ勇気をもらえるような一冊でもありました。
解決しない謎が残る部分もありますが、実際の日常の中では解決されない謎なんてたくさんあります。それならそれで、いいのかもしれない。解決しても、しなくても、それでも日々は続いていくのだと感じさせてくれるお話でした。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読んでみた。
一度罪を犯した人は刑務所でしっかりと罪を償っても簡単には世間に受け入れてもらえない。
前科があることを隠してひっそりと生きる芭子。
危なげで読んでいてハラハラした。
同じ過ちを犯してしまわないかびくびくしながら生きている。
『いつか陽のあたる場所で』何も気にせず思いっきり自分らしく前を向いて生きられたら。
この先どうなっていくのかな。
『すれ違う背中を』と『いちばん長い夜に』。
続編もあるようなので読んでみよう。
Posted by ブクログ
前持ち二人組の第一作目。
読み始めたのは三作目から。三作目で出た警官や家族との関係が明らかになり、バックキャストで読んでも面白い。
整骨院でのバイトや隣人との関係。詐欺に会うなど苦労しながら進んできた事がわかる。でもどこかホッとする作品
Posted by ブクログ
音道貴子シリーズ以来、しばらくぶりでの乃南アサさん小説。
これもシリーズということですが、警察に捕まってしまったほうが主人公の二人とは、意表を突かれます。ひとりは殺人、他は昏睡泥棒の罪!!しかも刑期を全うして社会復帰中という設定。逮捕歴を他人に秘して、谷中という古き良き時代の下町風情での生活。
ぶっちゃけ更生生活…。どうなることか、でも、そんな緊張感ある日々をさらりとまじめかつ、哀愁をこめ、ユーモアぶくみによく描けていますので、二人に感情移入バリバリです。乃南アサさん、ほんとうまいですね。
シリーズ2~3が楽しみに。こういう時、遅れて読むのは利点があります。すぐ続きを読めますから。
Posted by ブクログ
連作短編だった。主人公が歳上の女性と2人で助け合って生きる話。わりとハートフル。読後感がよい。社会で生きていると、こういうお節介に困惑したり、ご厚意に救われたり、噂話や無意識の差別意識に傷つけられたりするなあと思った。
Posted by ブクログ
マエ持ち女二人組シリーズの第一弾。
小森谷 芭子、29歳、裕福な家庭で育ったが、ホストに入れ上げて、強盗剤で7年服役して出所。
江口 綾香、41歳、夫からのドメスティック暴力に耐えかね、幼い子供を守るために夫を殺害、殺人罪で5年服役して出所。
このでこぼこコンビが、東京の下町・谷中でひっそりと暮らし始める。
自らが蒔いた事であるが、世間の冷たい風を真正面から受けながら、懸命に生きていく二人。切ないが、やはり一筋の光はある。
Posted by ブクログ
どこかのサイトで紹介されてたので買ったみた一冊。
マエ持ち女二人組の話だった。
刑務所から出てきた女性二人の日常が書かれていた。
刑務所にいた過去を隠し、地味にいろんなものを捨てて生活していくのは大変だと思う。
罪を犯してしまったのだからしょうがないどんな思うけど
それができない人達がまた罪をおかしてしまうんだと思う。
この二人組の関係はすごく良かった。
お互い真逆のような性格なのにうまがあっている
友情を書いた小説じゃないと思うが、この二人の関係はすごく良かった。
この小説はまだ続きがあるみたい。
ぜひこの二人組の話を読んでみたいと思った小説でした。
Posted by ブクログ
刑務所からでてきた2人の女性のお話
自分には想像したこともないような世界の話だった。芭子が「多くの人は犯罪を犯す前に踏みとどまる」と言いながら激しい後悔に襲われているのを見て、刑期を終えただけで終わりではないということを痛感させられた。
シリーズものだということ知ったので次を探してみたい。
Posted by ブクログ
芭子と綾香のやり取りがなんともいい。
また、二人の前科の自虐的なやり取り
たまにスリリングな雰囲気になる場面も絶妙で
ただ最後には何気にほっこり終わるところも良かった。谷根千の描写はリアルです。懐かしい。
Posted by ブクログ
面白い。
ハコ29歳と、綾香41歳。刑務所からでてからの2人の暮らし。
後ろ暗い過去がある2人が刑務所で知り合いその後を懸命に生きていく2人。
暖かいような冷たいような近所や世間にもまれつつ、なんとか普通の生活に戻ろうとする中で、刑務所の生活を思い出したり、やっぱりわたしは幸せになんてなれないと思ったり。
家族との葛藤だったり、隣近所に知られまいとするのに必死だったり、仕方なかった犯罪だったのかもしれないし、誰でも起こしうる犯罪だったんだけど、捕まってしまった2人のその後。
性格も正反対で持ちつ持たれつの2人の生活がよんでいて、まるで私もその仲間に入れたような、隣の家の人を覗き見るような、なんとも言えない立体感がある小説でした。
乃南アサ。そこがすごい。
Posted by ブクログ
刑務所で知り合った女性2人の、出所後の生活の話しなので、全体的に暗かった。淡々と話しが進みアッという間に読み終えた感じ。
犯罪を犯した30歳の主人公の家族が、バッサリと縁を切るという冷たさが強く印象に残った。
Posted by ブクログ
罪を犯し、前科持ちになってしまった主人公と、同じく前科のある友人の話。読んでいる間ずっと、辛い気持ちでいっぱいだった。
刑期を終えても過去は消えない。いつか自分のことが世間にバレるのではないかと怯え、静かにひっそりと生活している。救いは自分のことを分かってくれる友人だけ。
あー、誠実に生きよう。人に後ろ指を刺されるようなことは絶対しない、とつくづく思わせられた。
それと同時に前科のある人への偏見を持ってはいけない、誠実に生きようともがき苦しんでいる人も大勢いるのだ、と思う。
とても考えさせられる本だったが、いつか主人公たちの前科のことがバレてしまうのではないかと、読んでいる間ずっと気が気ではなかった。それとお話の終わりが中途半端で、なんだこれ?と思った。もしかしてこの本の続きがあるのだろうか?
、、、と思ったらちゃんと続きがあるではないかー!しかも2冊も。
2. すれ違う背中を
3. いちばん長い夜に
気の休まらない時間がまだまだ続くのかなあ、とは思うが、続きが気になるので読むしかない。
登場人物の警察官、高木聖大が主人公のシリーズも2冊あるらしい。
1. ボクの町
2. 駆け込み交番
Posted by ブクログ
友人から借りで拝読。
特に、大きな事件もなく、
ハコとアヤさんの日常を垣間見ている感じ。
シリーズものみたいだから、読み進めると、なんか違う感じもあるのかな?
Posted by ブクログ
乃南アサさんて、色んなジャンルの小説書くな。
基本読むのは、ミステリーとか、SF多いんやけど…
最近、近くの古本屋が閉店になって、最後は1冊11円になって、その時に、爆買い。あらすじすら見ずに、作者だけで…
失敗しても、この値段なんで(^^;;
さて本題。
マエ持ち女二人組シリーズ第1弾!
前科持ちの女二人が日陰で生きる。
そら、勤めを果たしたとはいえ、刑務所入ってたなんて、言いたくないし、聞いたら線引きする人もいると思う。
「気にするな!」と言われてもね。
それぞれ、支え合いながら生きていく。やはり、人は、自身だけより、誰かと共に生きた方が楽しい。
もう過去は消せないので、前向いて未来に向かって生きてくれ〜!
大きな事件(人死ぬ)が起こって、それを解決みたいなのばっかり読んでるけど、こういうのもたまには良い!
Posted by ブクログ
下町で新しい人生を始める芭子さんの物語。服役期間と同じ期間をかけひっそりと社会に順応しようとしている姿が切ない。一線を越えてしまった「自分」が許せないのでしょうか?「過去」が圧しかかっているのでしょうか?犯罪者という、罪と罰。
ただ、綾香さんとの生活の中で、「一人の人間として、誰に頼ることなく、一方で、地域にとけ込んで生きていくこと考えなさい。良い隣人を持てば、あなたがたの人生だって、きっとやり直しがきく。」その姿に応援している自分を見つける。
ぜひ、続きが見たい。
印象的なフレーズ:
★ほどほどということを知り、誘惑からも、犯罪からもするりと上手に逃げれるものだ。それが出来なかった愚か者だけが、大した決断もないままに一線を越えてしまうのだ
★同じ人間同士と言いながら、ここには明らかに、目に見えない「違い」があるような気がした。意志の弱さか、運の悪さか、誘惑へのもろさか--。
★私、誓ったんだ。やったことは無駄にしない。絶対。私は私の人生を生き直すって。
★刑務所を出るときに言われた言葉を思い出す。一人の人間として、誰に頼ることなく、一方で、地域にとけ込んで生きていくこと考えなさい。良い隣人を持てば、あなたがたの人生だって、きっとやり直しがきく。
★平気なわけ?人殺しと、一つ屋根の下に住んで
★セクハラとか暴力っていうのは、こっちが我慢すればするほど、絶対にエスカレートするものなの。
★もしもあのとき、一人でも想いを寄せてくれる人がいたら、あんなことにはならなかった。
Posted by ブクログ
下町でひっそり生きる女性の話
短編小説なので気軽に読める。
自分がムショ帰りであることが常についてまわっているという心理描写が丁寧。
二人の切っても切れない関係が良いと思った。