乃南アサのレビュー一覧
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音道貴子シリーズ四作目にして、二度目の短編集となる『未練』の概要と感想になります。
概要ですが短編集なので、一編だけ。
前作『鎖』で心身ともに衰弱した音道貴子は、とある場所で古い友人と再会していた。心を休めようと雑用も淡々とこなし、時間が過ぎることだけ願っていた貴子に否応なく事件が迫ってくる。
感想です。
前作『鎖』の後日談を含めて、色んな余韻を残す本作は正に『未練』ですね。個人的に2歳児の身に起こった事件の編は、誰の立場に置き換えても辛く悲しい事件で胸が痛くなります。音道貴子の勇ましさに惹かれて読み始めたら本シリーズですが、次第に重苦しさで潰れてしまいそうな気持ちになっていきます。
それ -
Posted by ブクログ
ネタバレおそらく最初の風景の感じを引っ張りながら読み進めるからなのか、ずっとイメージが灰色だったけど、ほんとに最後の数ページだけ、すこしだけスッキリな感じに変わった様に見えたのはよかった。
時間的には短いのに、ちょっと長かった。どう着地するのか分からなかったので、気になり最後まで読めたけど、終始、葉子さんの似たりよったりな思いが何回も出てくる印象が強かった。
どんなに大変な出来事も、自分以外には誰にも正確な気持ちは計り知れないとは思うけど、さらに葉子さんのフィルター越しで読むので葉子さんの好き嫌いが反映されすぎて、他の人達の心情とかがさらに薄くしか見えない感じがした。
うーん、最後まで読めた、で私は終 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「家裁調査官・庵原かのん」の続編短編連作集。
・幽霊
・待ちわびて
・スケッチブック
・引き金
・再会
・キツネ
・はなむけ
の7編収録。
北九州から横浜家裁川崎中央支部への転属、少年事件専門から家事事件全般担当変更、さらに結婚、コロナと多くな環境変化が一気に訪れるところから始まります。
続編といっても前作を読んでなくても、上述したように全く違う環境になっているので問題ないです。
で、離婚、親権、面会などの家庭崩壊問題と遺産、慰謝料などの金専問題がメインです。
少年係を長年していたためか、家庭問題の中の少年少女中心に考え、より良い落としどころを探る主人公の優しさが心地よいです。
職場のメンバ -
Posted by ブクログ
【2024年93冊目】
智子の同僚の順子は、暗くて大人しい女性だった。けれど誘いもしていない飲み会やランチには顔を出し、周囲を陰気な雰囲気で包み込む。そんな順子の様子が最近おかしいらしい。突如大声を出したり、些細な注意に烈火のごとく怒りだしたりしているのだという。「ひょっとして多重人格なんじゃない?」――表題作を含めた7つの短編集。
乃南アサさんがデビューされてからの間もない作品ということで、あらすじに「サイコ・サスペンス」と書かれている割には比較的優しい内容でした。あえて言うならば「ばら色マニュアル」が一番サイコ感強かったかも。表題作は途中でタネが読めてしまったのがちょっと残念でした。