あらすじ
ある殺人事件をめぐる家族の物語――。事件後、報道によって明らかになる被害者の姿。それは、近しい人間を殺され、ただでさえ苦しい残された家族をさらに追い詰める。またそれは、加害者側にもいえることだった。真に迫る緻密な心理描写で他の追随を許さない著書の、後世に語り継がれるべき傑作が装いを新たに登場。読みだしたら最後、読み手の心を放さない。
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Posted by ブクログ
東野圭吾の手紙を思い出させる題材。
どんな形であれ、主人公真裕子には幸せになってほしいと願う。
長編ではあったけれど、読み出したら止まらなかった。
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知能犯の容疑者、妻も弁護士も、そして検察官も警察官も翻弄される。三回忌を迎え、加害者妻と被害者の娘との遭遇と話した場面が、何とも虚しいが、『晩鐘』への予兆か?
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様々な目線から描写された真実。
色々と感じる部分があり、被害者、犯人の家族、様々な物が壊れて行く様をありありと見せつけられた様に思う。
通常ミステリーは犯人が誰という部分に注目が集まり、真犯人が捕まれば、被害者の周辺は前向きである事が多い。しかし、実際は永遠に心に蟠るものがあるはずだし、犯人の家族や友人などにも心情的な変化が起こる筈だ。
今作はそういったある意味タブーの部分をフォーカスしたサスペンスが強い作品だったと感じる反面、少し人物や世界観がのっぺりしている様に思ってしまった。
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犯人は別にいるの?と疑いながら、事件に関わるそれぞれの人生の変化がとてもよく描かれてました。真裕子の母に対する感情の動きや、描写が良かったです。
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高校生と浪人生、二人の娘を持つ母親が殺害された。数日後に犯人として、浪人生の元担任教師が逮捕された。不倫の末に、殺害に至ったとされ、一旦は犯行を認めたものの、凶器が発見されないまま裁判が始まる。公判で、被告は犯行を否認、弁護士は冤罪により勝訴できると考えた。
犯罪被害者遺族と加害者家族の心情が切々とリアルに描かれていて胸が苦しくなりました。が、犯人の殺害動機が今ひとつぼやけけて現実感が薄いのが残念な気がしました。
Posted by ブクログ
あらゆる立場から犯罪に関わってしまった人たちの物語。犯人もそうそうに逮捕され、遅々とした展開の上巻に比べダイナミックに読み進めることができた下巻。細かい心情描写は乃南アサの真髄。つらい思いをした人とそうでない傍観者において時間は平等に流れるのか、と疑問を沸かせる。
Posted by ブクログ
ずいぶんあっさり犯人が逮捕されたなと思ったけど、そこからが本番だったんですね。裁判が進むにつれ真実は揺れ動き、被害者家族、加害者家族は人格から崩壊させられていく。真実はどうなのか、残された彼女たちはどうなってしまうのか… その心理描写はさすがですね。後半は一気読みでした。
Posted by ブクログ
下巻は松永の事件公判が主なテーマ。
被害者・加害者関わらず両者の家族が人生を狂わされていき、苦しみながらも人生を歩んでいかなければならない悲哀が表現されている。人の良い部分だけでなく弱い部分も表現されている点にリアリティを感じる
人を愛さないと決めてしまった真裕子、事件以来、家族関係と共に人格まで変わってしまった香織。
両者の悲しみが癒える事はあるのか、このまま辛い人生を歩んでしまうのか。
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癒えることのない心の傷を加害者と被害者双方が抱え、事件から立ち直ることの厳しさと難しさを強く感じました。
ただ、少し長くも感じてしまいました。
Posted by ブクログ
母を殺した犯人とされる教師の裁判が始まる。
公判というのは続けてやるものだとばかり思っていたが、
期間があくものなのだと初めて知る。
犯人の罪が確定しても、被害者とその家族が救われる事があるはずも無く、
読んでいて気持ちがズーンと重くなる。
家族たちはその後どう生きていくのだろうか。
時間が解決してくれるとは到底思えないが、
何とか光を見つけて欲しいと願う。
Posted by ブクログ
流石に長すぎる。上下巻で1131ページ。母を殺された家族とその被疑者の家族をめぐる物語。心情描写、文章はうまいけれど、展開がスローなのは上巻と一緒。下巻では劇的な展開を期待したが、思ったほどでもなかった。話自体は興味深いけれど、これはちょっと集中力が持たなかった。終章が蛇足に思えたのでその前で終わってよかったような。長かったわりに本当に知りたかったことは藪の中なのも消化不良。とはいえ圧倒されるところもあり(特に上巻)読んでよかった。でも再読だったと994ページ目に気づいたときは自分のボケ具合に落ち込む。
Posted by ブクログ
思ったよりあっさり終わった。
被害者の遺族も辛いが、加害者の家族も辛い。結局真相は藪のなかだが、浮気された上、殺人犯の妻になってしまった香織の悲哀はものすごいと思う。
建部はマスコミの良心のように描かれているが、結局自分の興味のために家族をつけ回しているようにしか見えなかった。
Posted by ブクログ
殺人事件が起きたときの、加害者、被疑者の家族 親、兄弟親戚沢山の人んの人性が 一転してしまう
実際そうなんだろうなと 思いました。
7年後の晩鐘も読もうと思います
Posted by ブクログ
上巻は事件が起こってから裁判まで、下巻は公判から判決までを描いている。話は被害者遺族と加害者家族の視点を中心に進んでいき、それに新聞記者、刑事、検事が加わるため、殺害の様子や凶器、殺意を持った経緯など犯人と被害者しか知らないことは最後まで明らかにならない。被害者や遺族が常に置いてけぼり、というのはこういうことなのだとよく分かる。これでは遺族はどこに気持ちをぶつけたらいいのか。加害者の妻は、最初は夫のせいで今までの生活が壊されたのだから、責めるのは仕方ないと思っていたが、あまりにも自分大好き人間でうんざりした。それとも家族が犯罪を犯したら、誰もがこんなふうになってしまうのだろうか。