乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
深夜のファミレスで起きた人間発火事件と、遺体に残された謎の獣の咬傷。警視庁機動捜査隊の音道貴子が、前時代的で粗暴な中年デカ・滝沢とコンビを組み、不可解な連続咬殺事件に挑む警察小説。
最初は最悪の相性に見えたバディ関係だが、滝沢の泥臭い捜査や長年のカンなど、彼の手腕を認めざるを得なくなっていく展開や、ふたりの内面描写が交互に描かれることで、少しずつ「心のバディ」へと距離が縮まる過程は見事だった。
一方で、読み進めるほどに深まる違和感も強く残る。貴子、滝沢、笠原と、登場人物の誰もが家庭崩壊を抱える展開は「刑事=家庭破綻」というテンプレートに頼りすぎている印象を受ける。
さらに、事件の真相が開かれるにつれ増すのは、個人的なエゴによる惨劇への疑問や怒りだった。
何より最も心が痛むのは、邪心のない犬を「殺人マシン」へと仕立て上げた犯人の勝手さであり、ただ純粋に人を信じようとした命を利用する姿には強い疑問と憤りを禁じえない。
あの遠吠え。疾風(はやて)の無垢な命の叫びには強く胸を打たれた。
そしてラスト、オオカミ犬の誇りを見事に描いてあり、そこでやっと気持ちが昇華できたのでした。
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Posted by ブクログ
アンソロジー作品『戸惑いの捜査線 警察小説アンソロジー』を読みました。
警察小説ばかりを収録したアンソロジー作品です。
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今を時めく警察小説の書き手が紡ぐ、傑作短篇集第2弾!
入れ墨の男とのトラブルが呼ぶ悲劇、若き警官が追う連続窃盗犯、動機のつかめない放火魔、30年前に解決したはずの事件に自首してきた男、突然駐在所勤務を希望した警官の真意、若き警視が挑む滅多刺し死体遺棄事件、スパイ容疑のかかったロシア人武官の追跡。人気作家7名が、それぞれに趣向を凝らした珠玉の警察ミステリー。
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2024年(令和6年)に刊行された作品です。
■弁解すれば 佐々木譲
■青い背広で 乃南アサ
■刑事ヤギノメ 松嶋智左
■三十年目の自首 大山誠一郎
■噛みついた沼 長岡弘樹
■ルームシェア警視の事件簿 櫛木理宇
■ケースオフィサー 今野敏
作家7名がそれぞれに趣向を凝らした珠玉の警察小説短編のアンソロジーです……人気シリーズのスピンオフから、最新書下ろし新作まで、警察小説の面白さがギュギュっと1冊に詰まっております、、、
療養明けの刑事、新人警官、公安警察……それぞれの警察官たちが、戸惑いながらも事件解決へと奔走していく姿は必見です。
バリエーション豊かな警察小説が収録されており飽きずに読めました……そんな中で特に印象的だったのは、
急性膵炎で長期入院していた巡査部長・弓木瞳が凶悪犯担当の刑事課一係に復職……一見弱々しい風貌の瞳だが、実は優れた観察眼から「ヤギノメ」という異名をもって市民の生活を脅かす連続放火を解決に導く松嶋智左の刑事ヤギノメ・シリーズの『刑事ヤギノメ』、
既に時効となっている30年前の殺人事件の犯人が自首……しかし、彼には当時鉄壁のアリバイがあった! 犯人が自首しようとした理由の意外性が愉しめる大山誠一郎の赤い博物館シリーズの『三十年目の自首』、
留置場管理課の巡査長である夫・雄吾が、山間部の滝場駐在所へ異動……夫は閑静な土地での生活にすぐ馴染み、休日は沼でボートに乗り釣りをして過ごしていたが、ある日、ボートから沼に落ちて溺死しそうになる! ベテラン交番相談員・百目鬼巴(どうめき ともえ)が関わる、異色の設定とカミツキガメの活躍?が印象的な長岡弘樹の百目鬼シリーズの『噛みついた沼』、
の3篇ですね……大山誠一郎の赤い博物館シリーズ以外は未読なので、他のシリーズ作品を読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
乃南アサの作品は初めて読んだ気がする。
読みたくて読んだわけではなく、都合があり手に取った作品。
この作品は96年に書かれたらしく、世界観が前時代的で古さしか感じなかった。その時代に20代を過ごした訳でもない私はノスタルジーも感じなかったし、逆にこういう時代を知らない世代からの方がウケがいいのかもしれない。
著者の作風かもしれないが、女性でありながら女性の嫌な部分を描く事にリアリティがあると評価されがちなのは根本的にこの世界そのものがミソジニーで回っているからなのかもしれない。
勿論このようなその場にいない友達の悪口を言う女子グループは存在するが、それは男性も同じだと思う。
それを大人になってまで続けて、憎しみ合いながら表面上仲良くする滑稽さ。そしてそんな企みを知ってか知らずか自分の思うままに徹頭徹尾生きるだけの彼女。
どうせなら殺人事件が起こるような話にしてほしかった。 -
Posted by ブクログ
女性関係のイヤ〜な部分が凝縮されている感じで結構ドロドロ。なんとなく昼ドラ感あるなあと思ったけと解説によるとこちらの作品は火曜サスペンスで映像化されたこともあるらしい。
わたしの感想として思い浮かんだキーワードは
「ドッペルゲンガー」だった。
主人公である人形使いの志穂子はかつて女優を目指していたものの、先にアイドルとして人気を博したマリ子と瓜二つ故に思うような活躍が出来ず影の存在として生きてきた。
終盤にマリ子と対峙した場面が"死の前兆"を強く感じさせる展開だったから、「ドッペルゲンガーに会うと死ぬ」という伝承を思い出した。
しかしお互いの存在を知らない方が幸せだったのかも知れない、とは言いきれないようだ。
志穂子が狂っていく過程が本当に恐ろしいけど、
作品が出た頃の時代背景を考えると女性の生きにくい社会だったのだろうと同情心も湧く。
自分から辛い選択ばかりして失くしたものが多すぎたような感じもするけど結果オーライにはなった?のかな?
結末は一応丸く収まったのかな?という感じだった。面白かったけどちょっと前置きが長い印象だった。
26/08/28 評点見直し 自分の理解度が浅かった感じがするのでレビュー本文の見直しも必要そう