あらすじ
ペットの洋服作りの仕事が軌道に乗ってきた芭子と、パン職人の道を邁進する綾香。暗い場所で出会い、暗い過去を抱えながら、支え合って生きてきた。小さな喜びを大切にし、地に足のついた日々を過ごしていた二人だったが、あの大きな出来事がそれぞれの人生を静かに変えていく。彼女たちはどんな幸せをつかまえるのだろうか――。心を優しく包み込む人気シリーズ、感動の完結編。
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Posted by ブクログ
気に入ったシリーズ物だったから買った一冊。
マエ持ち2人組の話
残念ながらシリーズ最後の小説だった。
今まで支え合って生きてきた2人だが、地震をきっかけにそれぞれの道を進んでいく内容
あらすじを読んでなんだか残念な感じで2人は離れて行くのかなとかいろいろ思ったが、今までの様な関係ではなくなるが、2人の繋がりはそのままって感じだったので良かった。
この小説では地震の事が描かれていて、それが大きな出来事だったが、それ以外はそんなに大きな出来事もなく、2人の日常が描かれていてそれが実際にいる2人を描いている様感じがしてそれが良かった。
地震の事は作者が体験した事をそのまま組み入れているのでリアルでした。
今は北陸地方が地震の被害にあり改めて地震の怖さを感じた。
このシリーズをもう少し読みたかったので終わるのは残念な気持ちもあるが、このラストで良かったとも思った小説でした。
Posted by ブクログ
ものすごく良かった。まさに完結編だった。
途中で休むとかあり得ない一気読みだった。
芭子と南くんが、仙台からの脱出する所を読んでると、体の中から重い気持ちの悪さがせり上がってきた。また震災の事を色々思い出した。やっぱり未だに私の中にドッカリと重く居座ってるんだな。と思う。
震災を通して芭子も綾香もそれぞれが変わったから、二人の関わり方も変わってしまう。綾香の胸の内を語る場面…綾香が切なくてウルッときた。
どうか芭子と綾香と南くんと…幸せになりますように。
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三部作の完結編。下町での二人の再生と人とのふれあいをもう少し見続けていたかったな。居心地が良くてもずっと同じ場所にとどまってはいられないのかな。芭子と綾香の家族も大変な思いをして、たくさん傷ついて、大切な家族を失ってしまったんだとわかってはいても、過去と向き合いながら健気に生きる二人の姿に幸せになってと思わずにはいられなかった。被災地にボランティアに行き過酷な現実を見た綾香の、みんな人間だからすべての人たちが善良なわけではないけれど、だからってあんな死に方をしなきゃいけないなんていうことはなかった。この言葉に綾香の取り返しのつかない過去や失ってしまったものの大きさをおもって苦しくもなった。過去を変えることはできないけれど、小さくても希望を見つけて歩き続ける二人には、いつかきっと幸せになってほしい。
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あやかと、はこの付き合いが微妙に変わって行く様が切ない
一度犯してしまった罪の重さ、その本当の重さは、あやかのように未曾有の出来事が自分の身にふりかからないと気づかないものなのだろうか。あやかが、決して人を殺してはいけない、逃げればよかったという言葉・・現実にあやかの様な状況にいる人はどう受け止めるのだろうか。罪をとりあげた小説は数あるが、リアルに感じた一冊
Posted by ブクログ
震災のことが書かれていることは事前にネタバレしていたが、ここまでリアルとは思わなかった。
それは、作者自身が2011年の3月11日、取材のために仙台に足を運んでいたことからくるもので、あそこで芭子が経験したことは、ほぼ作者の体験談だという。
あの日、東京で地震に遭った自分ですらそれなりには大変な目に遭い、辛い思いや多少のトラウマもあったが、仙台で被災して、でも向こうに生活の拠点があるわけではない作者と、そして芭子はどれほどのものを抱えているのだろうか。
あの地震が、全ての人々の人生を大きく変えてしまったと書かれていたが、人生だけではなく、この小説の結末さえもあの地震が変えてしまったような気がした。
Posted by ブクログ
前作とは雰囲気が打って変わって、今まで通りだと思って読んでいたらびっくり。かなり衝撃のラスト。
やっぱりわたしは、ふたりにはずっとこの距離感を保って、お互いに足りないところを補い合って生きていってほしかった。けど、今までもチラホラと芭子の綾香に対する意識と、綾香の芭子に対する意識の違いっていうものが見え隠れしてきたし、その違いがついにここまで来てしまったのも不思議じゃない。このラストを迎えるための伏線はあったんだよなあ。
芭子が東日本大震災を被災するシーンが生々しく、被災経験のないわたしが言うのもおかしいが、なんというか本物の、3.11の空気感があったように思えた。目の前で起きてるのになんだか夢物語のように感じたり、自分が被災者だということを認識できなかったり、起きてしまった出来事が大きすぎて対応できていないというのが伝わってきて、実際の被災者の方もこんな思いだったんだと自然に思えた。
なんでここまで詳細に描写できるんだと思ってたら、作者自身が取材のために東北に出向いた日が奇しくも3.11で、そのときの被災体験をもとに描いたらしい。そのときの被災体験が彼女の価値観など全てを揺さぶるものだったので、その結果このシリーズの路線に大きな影響を与えたようだ。
芭子と綾香がこんなラストを迎えることになったのは、神の導きだったのかなあ。
Posted by ブクログ
前科持ちシリーズ3作目。
まさか東日本大震災も絡めてきたとは!
今までの話の雰囲気ががらっと重く変わってびっくりした。綾香が今までの明るい雰囲気から一変、地震をきっかけに自分の犯した事件に対しても考え方が変わっていったり。
2人の物理的な距離は離れてしまったけど、お互い前向きに自立していい関係になったということなのかな。
Posted by ブクログ
シリーズ3部の最後 長い夜って震災のことかと。
色々な事が細かく書かれているからすごく取材とかしたのかなと思っていたらなんと実体験‼️私も福島県人としてあの時会社で被災しました。本当に怖かった
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前科持ちという設定がとても興味深く、なるべく穏やかな日々を過ごしてほしいと願うように読み進めていました。
特に後半の球場のシーンからは一気に急展開し、通勤時間に電車の中で、人目をはばからず涙しながら読みました。
震災のシーンは実体験というだけあってものすごくリアルで読み応えたっぷりでした。
全体的に、なんでもないような穏やかな時間も無駄な描写がなく、磨き上げられたような印象の作品でした。
Posted by ブクログ
前科持ちの女性二人の物語。
自分の素性がバレないようにビクビク、しかし温かく生きる姿を描いている。
最初はその調子で物語が終わると思いきや、3.11に巻き込まれて、人生が変わるという急展開。
人生いろいろあると思い出させる本だった
Posted by ブクログ
何故か東北地震のときだけすごくリアルな書き方なので驚いたけど、本当に経験されたとは。
新しく彼氏で来たりあやさんと距離ができたり。かなり動きの多い内容だった。
Posted by ブクログ
ハコちゃん綾さんシリーズ3弾。
読み進めるにつれて、面白くなった。
1冊目は、なんかはこれという展開もなく、淡々と読んだ感じだったけど、2冊目は、地味ながらもいろんな事件?が起こって引き込まれた。
それで3冊目は、震災の話が出てくるなんて予想外でら、しかも超リアルだと思ったら、実体験を元にかかれていたかとは…
説得力の違う表現に引き込まれたのも、もちろんだけど、それでも、そこからの南くんの登場がなんとも言えず切なさが増して、良かったなぁ。
綾さんの最後の告白や、ニコイチだった2人が
それぞれに想い合いながらも、別の人生を辿っていく結末だけど、なんとも暖かな読後感だった。
Posted by ブクログ
マエ持ち女二人組シリーズ最終巻。連作短編集。
過去に背負ってしまった罪を背負い、二人は本当の意味で再生に向けて、それぞれの道を歩き始める。
それにしても、罪を償うということ、命の重さを強く感じました。まさか、あの大きなイベントが関係するとは。
Posted by ブクログ
刑務所から出てきた二人の女性。一人はペットの服を作り一人はパン屋で働く。ある日東日本大震災に巻き込まれそこから運命が変わっていく。これは乃南アサが実際に原稿を書くために仙台へ向かった時に偶然に体験した事を書いたそう。
Posted by ブクログ
元々、乃南アサさんの作品は小説でありながら、ノンフィクションに近いリアリティある内容が多いので、毎回感情移入して読ませて頂いていますが、今回は著者自ら経験された事なども織り交ぜながら、描かれていますので、より一層、リアルでした。
前科を持つ芭子と綾香の行く末が気になって、読み続けた作品ですが、最後、読後感の良い完結でホッとしました。
いつもながらの、丁寧な文章と巧みな人物描写 そして今回は震災の様子も解り易く丁寧に描かれていて、絶えず脳内映像で風景が流れました。
Posted by ブクログ
マエ持ち女二人組シリーズ最終巻
犯罪を犯した過去を持ちながら
よりそって前へ進もうとしていた1,2巻から
大きな展開が
きかっけは3.11の大震災
ふたりの運命はこの日を境に変わり始める
このまま穏やかに前へ進んでいくのかと思っていたら
最終巻でまさかの結末へ
進む道は分かれても、ふたりの心はずっとつながっていると思うけど。
Posted by ブクログ
いつか陽のあたる場所で』
『すれ違う背中を』
に続く第三弾
第一と第二は軽い感じですぐ読め
何だかんだあったがようやく主人公の2人の就職が落ちついて来た‥
第三弾の前半はハラハラで目が離せ無かった
後半から東日本大地震がきっかけで
大きく状況が変わって
切ないフィクションの様になった。
作者が偶数取材に遭遇した経験もあったのか
作風が違う方向が変わった様な気がして
読む側として戸惑った。
Posted by ブクログ
この作品に、東日本大震災が出てくるのは意外だった。それにより、なんか想定外の終わり方になった。もう少し、心を打つようなエンディングになって欲しかったな。
そして、振り返ってみると、主人公のハコはあまり性格のいい女性ではなかったよなあと思った。
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マエ持ち。
前科持ちの事を言うそうだ。
前科持ちの刑務所仲間の2人の女性。芭子と綾香の服役後の人生を描いた物語。
刑務所で知り合った芭子と綾香。服役後はお互い家族に縁を切られ、過去を隠して細々と支え合って生きていく。
震災直後の文面は作者の乃南アサさんの実体験に基づき描かれているそうで、震災後の時系列の状況が臨場感に溢れていた。
綾香は、震災のボランティアをしながら、命の大切さを痛いほど感じ、自分の犯した罪に向き合っていく。
最期には、それぞれ違う道を進んでいくことになるが、ゆっくり前を向きお互い新たな一歩を踏み出す事が出来て良かったのと、芭子の過去を受け入れ、ゆっくりと一緒に歩んでいくことを決意した南さんの懐の大きさ、人間力に救われた気持ちがした。
Posted by ブクログ
1巻目がとても優しい小説で、2巻目もそれを期待して読んだ。その概念は踏襲されているが、東日本大震災の渦に巻かれてしまい、それが非常に細かく描かれているところがなんとも強い印象を残してくれた。
巻末の解説に、それは作者自身の体験であることが綴られているので納得。
ただそれが起こったがゆえで、前半で起こっていたちょっとした事件について少し中途半端になってしまっているかもしれない。
Posted by ブクログ
刑務所暮らしを経験した女2人が、普通の生活に戻る。些細な幸せが落ちている感じで好きです。
終盤は3.11のテーマが続いて、そのとき自分はどうしてたのか思い出させられます。
笆子と南くんが東北から東京に戻ってくるタクシーのシーンは実際に乃南さんが体験された事だと知ってびっくりしました。
Posted by ブクログ
芭子ちゃん子供っぽすぎ。20代の殆どを服役してた設定だからか。すぐ泣くし。だからこそドラマになるのかな。綾さんの心境の変化がよくわからなかったけど、「そしてそれきりになった」辺りとか最後はちょっとうるっと来た。「ずーっと2人で仲良く暮らしました。めでたしめでたし」なんて乃南アサ的じゃないのか。でもハッピーエンドなら良かったな!
Posted by ブクログ
作者から興味を持って、シリーズ3冊を一気に購入。
完結に向かう「あの大きな出来事」。本当に何も知らずに「知っている土地が物語に出てきたぞ~」と少々浮かれて読み進めていたので、思わず息苦しくなり本を閉じてしまいました。自分もあの時そこにいた当事者であったという事実を改めて感じました。作者の実体験に基づいているということで、あの時そんなことも起こっていたのだと知ることができました。
ハコさんと綾香さんの物語も良かったのですが、「あの大きな出来事」の描写に動揺してしまい、感想が…
Posted by ブクログ
完結編は3.11を絡めた人の生き死に、罪の重さ、消せない過去を考えさせられずにはいられない…。
ラストの芭子、綾香、南との対話は、人の再生に必要なプロセスと明るみにされない、避けて通りたい、見たくない事実も詳らかに訴えかけてくる。もっと彼女たちの世界に触れてみたくもあるが、そうそういつまでも見守り、伴走できるものではないし、万能でもないので、完結してホッとしている自分に気がついた。
Posted by ブクログ
読んでいて東日本大震災の頃に戻ったみたいな心境になった。緊急地震速報とかCMとか、当時の記憶や空気が蘇るようだった。全体的に、前二巻の方が何気なさの中の良さがあって好みだった。
Posted by ブクログ
刑務所で出会った二人、綾香と芭子の完結編。
自分達の犯した罪を隠しながら、身内に助けを求めることもできず、助け合って生きてきた二人。
互いにやりたいことを見つけ、将来を夢見ていた。
そんな中、綾香の息子の消息を掴むために芭子は綾香の故郷の仙台へ向かった。
そこで遭遇した大きな地震と新たな出会いは、少し二人を遠ざけてしまう。
また、二人の将来を少し変えてしまう。
取材に訪れた仙台で作者が経験した東北大震災発生時の状況が、芭子によって再現されている貴重な作品。
2017.6.27
Posted by ブクログ
三部作の最終編です。前科持ちの女性2人が肩寄せあって下町でひっそりと生きていたのですが、今回は3.11の震災が大きな影を落としております。色々な事が有りましたが収まるところに収まったという感じでしょうか。書く前は違う構想だったようですが、実際に綾香のエピソードを書く為に仙台に行っている最中に筆者が被災したという事で、今回震災を大きく盛り込む事になったようです。
評価はそれなりですが、なんとなくボディーブローのように長く残るような気がするそんな本です。