乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦後、満州から引き揚げてきた次郎一家。父も兄も戦死、残されたのは病気の母と子どもだけという境遇。以前読んだ「秋好英明事件」を思出だしました。
貧しく無学である故、次郎は殺人を犯してしまいます。塀の中ではじめて、次郎は自らの人生を注ぐべき対象となる陶器作りに出会い、目標をもって生きていくことになります。
そんな次郎とは対照的に、塀の外では戦後復興で著しく経済成長していく日本と、それに並走するように妹の君子が女優として活躍していきます。昭和の移り変わりが随所に描かれ、実体験はなくとも懐かしいと感じられました。
出所後、次郎は自分をとりこにした汝窯を追い求め、苦しみ、最後に彼なりに昇華して亡くなっていくのですが、その執念に息苦しくなりました。芸術の追及に完全はないのでしょう。
気がかりだったのは、出稼ぎに出た姉の行方が最後までわからなかったことです。戦後間もなく、若い女性が家族に仕送りできるような仕事と言えば、米兵相手のものだったでしょう。
戦後史の影の部分ですが、当時は姉のような境遇の女性も多かったことと思われます。姉の人生についても触れてほしかったです。 -
Posted by ブクログ
めっちゃ面白い。最高。主人公の女が計算高くて自尊心高くて泥臭くて最高。聖人君子が出てくるとすぐに「こんな人現実には~」ってへそを曲げちゃう永遠の反抗期な自分にとって、良い子の表面化にヘドロが渦巻くような主人公、大好きです。「自分に似てるからじゃん」と言われましたが、滅相もない。私はあそこまで計算して行動できませんし、イケメンのためにお酒タバコを我慢できませんわ。
そういえば、一人称で語るのは主人公の翠と不倫相手の荻原だけだから、メインは二人だったのか。翠の印象が強烈すぎて荻原は霞んでしまった感じがする。と言うか、若い弾けるエネルギーと老いて萎みゆく人間だから、必然的に翠のほうが印象に残るわな。
最後も結局荻原は左遷、イケメンは新彼女をゲットするも翠にチクリと釘を差されるっていう、あんなにビッチな翠が何も不幸を被ってないエンディングだけど、なんも不満なし。自分に自信を持って人生突っ走っていくタイプの人間は、不幸も寄りつけないのよっ!ソウダソウダ!!
10/13/2012