乃南アサのレビュー一覧
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ネタバレとわは12歳で小樽で洋品、雑貨、小物を卸す大きな商家の子守として奉公に出されるが、商売が傾き、16の時、実家に帰される。とわは三吉への思いを秘め、親の勧めるままに結婚するが、戦争に向かう不穏な時代が始まる。
アイヌの青年三吉との淡い恋と、その後の再会には胸がつぶれそうになる。これが現実。でも、三吉と結ばれていたとしても、幸せであったとは限らない。
戦争が、いかに人々の人生を翻弄してきたか、それに加えて北海道の自然の厳しさ。ときに自然は人々に恵みを与えてくれた。それを使って生きる術を教えてくれたのは、アイヌの人々だった。「地の果て」での暮らしは、人々が支え合わなければ生きて行けない、極限の環境 -
Posted by ブクログ
うちにあった本を再読。でも内容をすっかり忘れていたので、引き込まれて読みました。上下巻のけっこうなボリュームの長編。
東京オリンピックの年、結婚を控えていた萄子の前から「もう会えない」という電話一本で突然姿を消した刑事の奥田。
何があったのか、奥田はどこにいったのか、失意の中で奥田を追う萄子。川崎、熱海、焼津、田川。あちこちであと少しというところで会えない。
そして最後にたどり着くのが宮古島。驚愕の真実が明かされる。
萄子の気持ちが丁寧に描かれていて、引き込まれる。
結末はつらい。どうしようもなかったのか、奥田の正義感が招いたことなのか、萄子も奥田も悪くないのに。刑事の韮山も印象的。萄子も奥田 -
Posted by ブクログ
萄子よ、いや勝よ、日本中いろんなとこ行くなあと思いましたが、きっと乃南さんは、この当時の色んな日本を描きたかった、見せたかったのかな。
まさに萄子と同世代の人なら懐かしさを感じるだろうし、知らない人なら賑わっていた熱海とか、パスポートが必要だった沖縄に旅行するとこんな感じだったんだということがわかるし。
この当時の沖縄のことが書かれた本とか読みたくなりました。
勝の話でなぜ姿を消したのかはわかったど、やっぱり誠意がなかったよなあ、という気持ちは拭えません。
でも別れのシーンは切なくなりました。
ここに出てくる中で誰の役をやりたいかといえば、断然淳です。性別違うけど。一番おいしい。