乃南アサのレビュー一覧

  • 涙(下)

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    久しぶりに泣いた本。

    自分の生まれる前の日本の様子に驚きながら、登場人物の心境に頷いたりしながら、結末が早く知りたくてぐいぐいと引き込まれるように読みました。

    萄子が真実を求める気持ちに共感しつつも人はあれほど強く変わっていけるのだろうか、と妙に感心したりもしました。

    事件そのものは、かなり惨いものだったけど最後は本当に切なくて色々なことを考えさせられました。

    それにしても、のぶ子は…。

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    2022年11月09日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    戦後のRAAについて、史実をもとにした小説。
    主人公は14歳の少女。
    元は7人家族だったが、兄は戦死、姉は空爆で爆死。
    まだ小さかった妹は、空襲から逃げる最中、行方不明になってしまった。
    主人公は、残された母と2人で、戦後の混乱期を生き抜いていく。

    母は、RAAに通訳として雇われる。
    RAAの施設に居住するから、嫌でもRAAの事情を間近に見てしまう。
    空襲の被害にあい、たくさんの悲惨な死体を見てきた主人公は、これ以上、心が傷つくことはないと思っていたが、RAAの悲劇、理不尽さに心が少しずつ蝕まれていく。
    特に母が、アメリカ人の将校と付き合い出したことには強く反発する。
    ついこの前まで敵だった国の人、家族を死に追いやった国の人となぜ付き合えるのか、主人公は理解できない。
    そうでもしないと生きていけない時代だったということは、14歳の主人公にはまだ理解できない。
    特に戦争が始まる前までは、わりと裕福な家だったから、どんどん変わっていく母に戸惑うのだろうと思う。
    しかし、価値観も生活スタイルも何もかも変わっていかないと、こんな混乱期に生き抜いていくのは難しかったのだろうと思う。

    幕末から明治への変革期、そして、戦後の混乱期、時代に合わせて素早く変わっていくことは日本人に身についている賢さなのかもしれない。

    生きていくたために、家族のために、アメリカ兵と付き合い出した主人公の母、RAAでアメリカ人を相手に身体を売る女性、パンパンになった女性。
    誰が彼女たちを責めることができるだろうか。
    全ては戦争、国家、激しく移り変わる時代の混乱期の犠牲になった女性たち。
    そして、そういう女性たちの悲しみの上に、今日の平和が成り立っている。

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    2022年11月08日
  • すれ違う背中を

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    暗い過去、罪を背負っていた過去をもつ芭子と綾香の物部、短編集。東京の片隅でひっそりと、恐る恐るかもしれない、歩き始めた二人。どこか物悲しい。

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    2022年11月08日
  • いつか陽のあたる場所で

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    マエ持ち女二人組シリーズの第一弾。
    小森谷 芭子、29歳、裕福な家庭で育ったが、ホストに入れ上げて、強盗剤で7年服役して出所。
    江口 綾香、41歳、夫からのドメスティック暴力に耐えかね、幼い子供を守るために夫を殺害、殺人罪で5年服役して出所。
    このでこぼこコンビが、東京の下町・谷中でひっそりと暮らし始める。
    自らが蒔いた事であるが、世間の冷たい風を真正面から受けながら、懸命に生きていく二人。切ないが、やはり一筋の光はある。

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    2022年10月11日
  • 殺意・鬼哭 <新装版>

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    ひたすら回想やら独白やらでとめどないので、苦手な人には厳しい。ていうか得意な人なんているのか。マンガで回想シーンで一冊終わった!みたいなんもあるけど、こっちはその上を行くぜ。

    と言ってもけっこう好きだったのよ。なんか好き勝手言うタイプと、それを受け流すタイプ、みたいな。でもって溜め込んだものが崩壊して、、これはイジメとかなんとか、よくあるイメージで、そこまではある意味かもだけど、ラストへ向かって自己啓発した結果がなかなかに、痺れる。いや、なんかちょっと分からんでもないというのが怖い。誰しもこうやって抱え込んだものがあって、それがどうなるか分かりませんよ、と訴えるのであって。

    後半のおっさんがくだを巻くのは、まぁ普通のオッサンだった。オッサン以外がこれを読まされるのはキツかろう。

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    2022年09月20日
  • チーム・オベリベリ (上)

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    帯広開拓に乗り出した晩成社設立からの5年間を描いた、史実に基づいた長編小説。自然が厳しい蝦夷で、容赦ない苦難の連続に祈りを捧げる日々。江戸から明治への時代の変わり目、男たちに翻弄されながらも、腹に決めたこと、諦めたこと、諦めないこと。一気読み。

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    2022年09月04日
  • 5年目の魔女

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    貴世美までとはいかないもののどうしても引き寄せられる忘れられない友人を思い出した。
    生まれもった魔性の魅力。

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    2022年08月28日
  • チーム・オベリベリ (上)

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    読もうと思ったきっかけは、仕事で久々に帯広に行ったこと。
    物語自体は淡々と進んでゆく。それでいて退屈にならずに読み進めていくことができた。上巻を読んでみて下巻を読むか判断しようと思っていたところ、予想以上に退屈しなかったので、下巻も購入。
    北海道に生まれ育っているからこそ、冬の厳しさも体感してるので、少しでも情景を思い浮かべることができたから、飽きなかったのかも。

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    2022年08月08日
  • チーム・オベリベリ (下)

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    開拓 それも厳しい自然の北の大地。慣れない自然の脅威に心が萎んでいくのも仕方がないと思う。これは無理と逃げ出そうとする人がいれば、来年こそと踏ん張る人もいる。どちらが正しいとはとても言えない。それぞれが自分の判断を信じていくしかないのだろう。
    柔軟に反応することが大切と感じるけれど、それも余裕があればこそとも思う。

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    2022年08月07日
  • チーム・オベリベリ (上)

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    文明開化の横浜。宣教師が興した女学校に通うことになった鈴木カネ。英語も学び、キリスト教も学ぶ。父や兄と共に信者となった彼女の生き方の基本はキリスト教なのだろう。卒業後の進路を選ぶとき、結婚すると決めるとき、夫と共に北海道の開拓に挑むとき、それぞれに自分で決めながら天主様の導きというか見守りも信じている感じがする。時々の選択を経て今があることに納得している様子がみられることに安心する。

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    2022年08月05日
  • 駆けこみ交番

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    久々に乃南アサさんの作品を読み返す。
    新米巡査の聖大が主人公の気軽に読めるこのシリーズもの、もうちょっと読んでみたい。

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    2022年08月01日
  • いっちみち―乃南アサ短編傑作選―(新潮文庫)

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    短編集で、いっちみち以外のお話は他で読んだことのあるお話で、20年近く前に書かれたものが多かったですが、どれも面白かったです。
    いっちみちは、最後に少し幸せな気持ちになれるお話です。その他は不思議なものや、コワッというお話でした。

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    2022年07月30日
  • 水の中のふたつの月

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    内容(ブックデータベースより)

    「忙しい」が口癖のOL亜理子は、幼なじみの恵美から十数年ぶりに電話をもらった。梨紗も誘ってかつての仲良し三人組で会おうと言う。突然の電話に不審を抱きつつ、彼女の心は夢のようなあの夏の日に溯っていった。心の奥底へと封印した、妖しい記憶の中へと-。ありふれた生活、時おり見せる特異な性癖。ありふれた彼女たちの表情の裏に見え隠れする、共通の秘密とは?深層に横たわる恐ろしい原体験が日常に染み出す様を描いた、衝撃のサイコ・サスペンス。

    令和4年7月16日~18日

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    2022年07月18日
  • いつか陽のあたる場所で

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    どこかのサイトで紹介されてたので買ったみた一冊。

    マエ持ち女二人組の話だった。

    刑務所から出てきた女性二人の日常が書かれていた。
    刑務所にいた過去を隠し、地味にいろんなものを捨てて生活していくのは大変だと思う。
    罪を犯してしまったのだからしょうがないどんな思うけど
    それができない人達がまた罪をおかしてしまうんだと思う。

    この二人組の関係はすごく良かった。
    お互い真逆のような性格なのにうまがあっている
    友情を書いた小説じゃないと思うが、この二人の関係はすごく良かった。

    この小説はまだ続きがあるみたい。
    ぜひこの二人組の話を読んでみたいと思った小説でした。

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    2022年07月01日
  • ヴァンサンカンまでに

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    愛人もしつつ彼氏もいるってなんか得した気分なのかもしれないが、そうそううまくいくものではないんだろうな。
    どっちにも同じように気を配れるとも思わないし。どっちつかずな感じ。結局、損をするのでは?

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    2022年06月22日
  • 女刑事音道貴子 未練

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    ネタバレ

     音道貴子、恋愛して結婚、離婚。ミニパトから白バイ、そして刑事に。風呂上がり、素っ裸にバスタオルを首にかけ缶ビール。寝るときはTシャツだけ。なんともカッコいい女刑事さんですw。「未練」、2005.2発行、短編6話が収録されています。非番時も含めて、警察の仕事は大変と思います!

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    2022年06月17日
  • ウツボカズラの夢

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    自分がどうしたいのか、どう生きていきたいのかはっきりさせて、それに向かって生きていくのが一番大切なんだろうと思わされた。
    多少周りの人がかわいそうと思ってしまうことがあったとしても、自分の幸せを追求する。そのために、頭を使って…。
    ただ、むりやり自分の思うように積極的に行動するのではなく、とにかく、チャンスを掴むことが大事ですね。

    感想としては、面白かった!
    最初は未芙由に同情してたけど、いつの間にか恐ろしくなった。解説で、本当のウツボカズラは誰か?と最後に書かれていた内容を読んで、またゾッとした。その恐ろしさ、ゾッとする感じの読後感も良い!
    ちなみに怖い話では全く無いです。

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    2022年06月12日
  • 六月の雪

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    こんなに近いのに
    台湾のことを全然知らなかった

    観光地としてではなく、
    台湾の歴史をもっと知りたい

    洪春霞ちゃん
    言葉は乱暴だけど涙もろくて
    一生懸命未來に協力してくれて
    登場人物の中で1番好きでした
    なのに・・・

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    2022年05月28日
  • 涙(上)

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    友人から面白いと勧められた本。

    娘が沖縄の宮古島に旅行に行くと聞き、母親の萄子は封印していた自分の過去を思い出す‥‥。
    警察官の婚約者、奥田勝が、結婚式を控えて準備を進めていたある日、行方不明になってしまう。それは、彼が慕ってきた警察の先輩、韮山の娘の死に関係しているらしく、萄子の元に勝から「自分のことは忘れてくれ」と一本の電話を残して、音信不通になってしまう。

    乃南アサの本は初めて読みました。婚約者のお嬢様暮らしの世間を知らない萄子の心の葛藤や執念、それを目の当たりにする家族の気持ち、娘を殺された韮山の怒りや悲しみ、焦り、親に隠していた娘の本当の姿を知った衝撃や葛藤が、ぐいぐい迫ってまるで映像を見ているような心理描写に長けていて一気に読んでしまいました。

    確かに大好きだとしても、萄子のように、あそこまでは追いかけられないな。納得できないままでも、そのままうやむやになってしまいそう‥‥。

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    2022年05月08日
  • ウツボカズラの夢

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    主人公は19歳の女子。母親が病死後すぐに父親は再婚したことから家を出たいと思っていたところ、母親の遠縁にあたる叔母が気分転換になればと呼び寄せる。長野から東京へ出てきた主人公は叔母の家に居候するが、ほとんど顔を合わせることのない叔父、滅多に家に帰ってこない大学生の長男、常に不機嫌な高校生の長女、そして常に何処かへ外出している叔母と、家族の団欒が全くない家族に驚き、観察し始める。
    そして、家族が崩壊していく一方で主人公は自分の目論みをしたたかに実現していく。

    自分の意思も何もなく、どうしたら良いのかわからないと言うだけの主人公。頭が悪いんじゃないかと思っていたがそんなことはなく、したたかに事を自分の思い通りに誘導していく。居候された家は主人公にいろいろ絡め取られたような感じ。
    こういう女子、いるんだろうなぁと思った。

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    2022年04月14日