乃南アサのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
乃南アサさんのエッセイ。小説は多少読んでいたけど、エッセイは初。
「犬棒」とは、「犬も歩けば棒に当たる」を略したようで、乃南アサさんが、外で出会った人達…時に知り合いだったり、完全にゆきずりの人だったり、顔だけは知っている人だったり…そんないろんな人とほんの一瞬すれ違いで見えたものを書いたエッセイだ。
「犬も歩けば棒に当たる」という諺は、どちらかというと、運のいいことに出会った、という意味でとらえてきたが、辞書を引いてみると、棒に当たる=痛い目をみる、という意味の方が先にくるらしい。
そして、このエッセイはその通り、どちらかといえば痛い目寄りの内容になっている。
全てが痛い話ではないにしろ、ど -
Posted by ブクログ
ネタバレこれまであまりなかったテーマなのではないかと思う。戦争モノでは、実際に戦争に駆り出された世代か、その親世代からの目線の物、もしくは、戦時中幼い子供で、戦後苦労した世代の目線の物ならいろいろあった。本作は、戦争が終わった当時多感な思春期(12,3歳?)だった主人公の少女が、戦後、進駐軍相手に体を売って生きた女性たちを目の当たりにして成長してゆく、という設定。
主人公の少女の母は、夫を亡くし、戦後の厳しい状況を、焼きつくされた東京で生きぬかなければならなかった。体を売ることはなかったものの、亡き夫の友人や、そのツテで知り合った進駐軍の中佐を利用しながらしたたかに世を渡る。母のたくましさ、したたかさ