乃南アサのレビュー一覧
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「家族とは、ひとつの宗教である。」
かつてこんなにも的確な解説文があったかね?
言わばこの全国至る所にある宗教団体に人は知らない間に属してて、信仰して崇めてこれがあたかも当たり前のように生きていくんですよね
「本当の家族になる」「立派な家族の一員になる」読み終えたらこの言葉たちが途端に鳥肌立つくらいには気持ち悪くて気味が悪くて綺麗な言葉なのに不気味。というのもこれは私がまだ結婚なんてしていなくて、無宗教だと思って今日まで生きていたからなのでしょうか。あらやだ「本当の家族」になれてないんだわ。
でもそうだよね、彼氏と結婚を考えている友人が言ってたんです「結婚って当人じゃなくて家族と家族が -
購入済み
のぞき見🎵
ちょっと、噂話をドキドキしながら、実態を聞いてる気分。リアルだったり、リアルじゃなかったり、私なら引っ掛からないわと思いながらも、とても楽しく一気読みでした。
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旅の情景と主婦の心模様を描いた短編12作。
・姑の写真(秋田・男鹿)
・一粒の真珠(熊本・天草)
・微笑む女(北海道・斜里町)
・最後の嘘(大阪・富田林)
・青年のお礼(新潟・佐渡)
・母の家出(山梨・上九一色村)
・湯飲み茶椀(岡山・備前)
・姉と妹(福島・三春)
・Eメール(山口・柳井)
・越前海岸(福井・越前町)
・泣き虫(三重・熊野)
・春の便り(高知・高知市)
・解説 立松和平
全て主婦が主人公で、妬み、嫉み、後悔、悲壮、喜び、怒りと様々な感情を抱え、その地を訪れ、情景に癒され、あるいは改心し、情を深くする。
旅の一面を切り取った作品。 -
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一つの家族のサスペンス。
東京・小金井の大家族の志藤家に嫁いだ法子。
夫である和人をはじめ、父・武雄、母・公恵、知的障害の弟・健治、妹・綾乃、祖父・松造、祖母・ふみ江、そして98歳になる曾祖母・エイの9人家族の一員となる。
法子は手厚いほど歓待され、順調に新婚生活が2ヶ月が過ぎた頃、志藤家の借家に住む本庄屋家が心中してしまう。
身寄りのなかった本庄屋にかわって、葬儀を取り仕切る志藤家であったが、深夜に法子以外の家族が密談の場に遭遇し、家族が事件に関わっているかもしれないと疑心暗鬼になる。
濃密な接触をする弟妹、不気味な曾祖母、花壇に生える怪しい植物・・・
徐々に狂気な家 -
Posted by ブクログ
R様オススメ本。乃南さんのブラックな短編集。
とにかく最後がうわあと暗澹とした感じのする話が多い。というかそういう話を集めた本か?
読み始めながら、もしかしたらそうかな?と読めてしまうあたりも多かったけど、それにも増して文章が面白いので読み進めてしまう。
愛情弁当などは、クール便を見つけた瞬間にそうだろうと思ってしまったけど、心の内はとうなんだろうとかいろいろ考えてしまって、ページを捲らずにはいられなかった。
留守番電話も、そんなことしてると危ないよと思いながら読み進め、最後はああああ~思った通りだよと思いつつ面白く読んいるという、やっぱり乃南さんすごいなと思わせる本でした。
しかし、この次は -
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ジワジワとくる。途中から止まらなくなり一気に読んだ。
読者に謎解きさせる推理小説ではなく、大きな感動を与えるわけでもない。でも、人の顔をしっかり描き、いたずらに感動エピソードを詰め込まない、最後まで安定感のある小説だった。
今までの音道貴子シリーズは、この長編小説のフィナーレを盛り上るための前座であり、その前座でさえもクオリティーが高かった。待ちに待った貴子と滝沢のコンビは、息はあっても仲は良くならない。最後の最後に恋人と再会するが、感動のシーンはない。こんなに盛り上げておいて、なんともあっさりと現実的に事が片付いていく。読者は全部を知り得ない。だから余計にできることなら知りたいと思う。もう