乃南アサのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
結婚詐欺師の正体が分かり、警察によって徐々に迫っていく下巻。下巻の主役は元恋人が追いかけていた詐欺師に落ちてしまったことを知った刑事。元恋人を助けたい思いと今手出しすれば犯人に逃げられてしまうという状況の板挟みになった苦悩を描いている。
登場人物の心理描写が丁寧に描かれていて、まるで映像を見ているかのように情景が思い浮かぶ。
詐欺師が人を人と思ってはいないのは現代横行している詐欺にも共通の感覚。お金が欲しいという思いもあるだろうが、それよりも騙し抜くことに快感を覚えるのだろうと思う。一種の依存症状と言ってもいいのかもしれない。そして騙されたほうはそれを認めることがなかなかできない。プライドなのか意地なのか、自分だけは特別な存在だと思っているのか、そのあたりのことはよくわからないが、そうした思いも詐欺師にとっては格好の標的になっているような気がする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレヴァンサンカン(25歳)までに。
心情描写がリアルなところが面白くて、ドロドロしていたけど読み進めてしまった。
翠は性格悪いな〜と思いつつも、読み進めていくとその背景には育った家庭環境での苦い経験があることが分かって同情した。恋愛の渦中にいる間はボロボロになっていても気付かないものだと痛感させられた。刑務所に入ってしまった恋愛でも幸せだと言っている人もいるので、良い顔ができる恋愛が良い恋愛とは一概に言えないけど、一体何が自分に馴染む幸せかは自分で身をもって確かめていかないと分からないなと思った。
この小説は何を語りたかったんだろう -
Posted by ブクログ
ネタバレRさまオススメ本の下巻。
ようやくちゃんと働くようになったかと思ったら、なぜそのような女に?と思うような女性に入れ込み。
果ては飲酒運転で事故とは。
もうほんと読んでて情けない、歯がゆい思いをさせられるのだけど、思いの外、芯は優しく人に対しても誠実な良い人間なのだと思う。だからなおさら歯がゆいのか。
母親や杏奈にあたり散らしたものの、婆ちゃんのあたたかさには素直になれる。
ようやく落ち着いて母親や姉のことも考えられるようになるなど、やはり根は優しく思いやりがあるのだと思う。
杏奈もそんな部分に救われたのだろうと思う。
最後にはやりたいことを見つけ、希望に溢れる感じが良かったと思う。
しかし、就職難や借金地獄、家族の問題から民族の問題などなかなかに痛烈な内容を孕んでいて、これでもかと主人公が転がり落ちて行くのはしんどかった。
何が悪かったのかと考えるとき、まず自分を振り返るよりも前に周りのせいにする。なんかここまでではなくても、自分でもそんなふうに考えてしまいそうなときがありそうで尚更しんどく感じたのかも。 -
Posted by ブクログ
タイトルにもなっている音道貴子とは、『凍える牙』以来、久しぶりの再会となる。滝沢とのコンビもどうやら健在のようである。
本編は上下巻に分割されているから、上巻だけでは事件の全貌はまだつかめない。むしろ滝沢と音道が、互いに相方をどう感じているのかという描写を楽しませてもらった。互いが相手を評する言葉は、しばしばとても手厳しい。しかし、その厳しい言葉は互いに相方をリスペクトしている、というところが根源的にあり、それゆえの評言だと感じる。そう思わせる書き方は、著者乃南氏の面目躍如たるところであろう。
上巻においては、二人の捜査範囲はまだ限定されているが、物語の進行速度はとてもよい。つまり読みやすいスピード感で、つい物語に引き込まれる。音道と滝沢の心理描写と本筋である事件を巡る物語の量的バランスもいい。
乃南氏は人間を描くのがとてもうまい。登場人物は、主人公の刑事のみならず、一人とて手抜かりなく、緻密に描かれる。読み手は、おのずと自身もその場にいるかのような臨場感を持って読み進めることができるだろう。
滝沢にせよ、音道にせよ、互いに男あるいは女であることを意識しすぎているきらいはあるが、そのキャラクターが二人の掛け合いを、さらには音道シリーズの一連の物語を成立させている要因であるともいえる。下巻に続く二人の掛け合いを楽しみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
練習場で橋口に声をかけられた江本美和子は、その強引な誘い方に驚くが、結局デートに応じる。一方、阿久津らの捜査から松川と橋口が同一人物であることが判明した。だが被害者の中にかつての恋人、美和子がいるのを知り、阿久津は愕然とする。あのしっかり者の彼女がなぜ…。橋口と被害女性、そして阿久津の心模様を丹念に追い、現代の結婚観を浮き彫りにした傑作サスペンス。
詐欺師の考えてる事がもうどうしようもなくあかんたれで情けない。だからこそ騙されてる女性に目を覚ませ!と言い続けながら読んだ。カツラだし…。更に阿久津が女々しすぎて違う意味イラついた。 -
Posted by ブクログ
「家族とは、ひとつの宗教である。」
かつてこんなにも的確な解説文があったかね?
言わばこの全国至る所にある宗教団体に人は知らない間に属してて、信仰して崇めてこれがあたかも当たり前のように生きていくんですよね
「本当の家族になる」「立派な家族の一員になる」読み終えたらこの言葉たちが途端に鳥肌立つくらいには気持ち悪くて気味が悪くて綺麗な言葉なのに不気味。というのもこれは私がまだ結婚なんてしていなくて、無宗教だと思って今日まで生きていたからなのでしょうか。あらやだ「本当の家族」になれてないんだわ。
でもそうだよね、彼氏と結婚を考えている友人が言ってたんです「結婚って当人じゃなくて家族と家族が妥協して一緒になるもんだよね」って。それを思わず思い出しました。たった一枚の紙切れに名前を書く。それだけで知らずにこの宗教団体に入ることになるんですよ、今までは全く違った世界にいたのに。そうなったらもう親御さんだって「お相手のご両親はどんな人なの?」って聞くよね、違う宗教なんだもん。当たり前だ。そんなとこに自分の大事な子どもぶち込むんだもんね、そりゃ怖いし気になるよ。
やられたこともないけど洗脳ってこうやって少しずつじわじわとじわじわと進められていくんだろうし、それにすら気付かずに自分が幸せだと思って生きていくんでしょうね。それは多分本人にとって幸せなんですよ。でもね、でも私はどうももう「きっと、素晴らしいことがあるわ」って言葉が恐怖だよ
そうかこれが疑心暗鬼の始まりだったのかーーーーーー。 -
購入済み
のぞき見🎵
ちょっと、噂話をドキドキしながら、実態を聞いてる気分。リアルだったり、リアルじゃなかったり、私なら引っ掛からないわと思いながらも、とても楽しく一気読みでした。
-
Posted by ブクログ
旅の情景と主婦の心模様を描いた短編12作。
・姑の写真(秋田・男鹿)
・一粒の真珠(熊本・天草)
・微笑む女(北海道・斜里町)
・最後の嘘(大阪・富田林)
・青年のお礼(新潟・佐渡)
・母の家出(山梨・上九一色村)
・湯飲み茶椀(岡山・備前)
・姉と妹(福島・三春)
・Eメール(山口・柳井)
・越前海岸(福井・越前町)
・泣き虫(三重・熊野)
・春の便り(高知・高知市)
・解説 立松和平
全て主婦が主人公で、妬み、嫉み、後悔、悲壮、喜び、怒りと様々な感情を抱え、その地を訪れ、情景に癒され、あるいは改心し、情を深くする。
旅の一面を切り取った作品。