乃南アサのレビュー一覧

  • いつか陽のあたる場所で

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    乃南アサの2作品目。
    しっかりとした世界観で描かれていて、読みやすい。しゃぼん玉とこの作品を読んでそう思った。

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    2020年08月03日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    14歳の夏に終戦を迎えた。
    父親を事故で亡くし、長兄は戦死。
    姉は嫁ぎ先の空襲で亡くなり、出征した次兄は帰らない。
    空襲から逃げる中で妹は行方知れずになった。
    母親と二人だけになった二宮鈴子。

    戦時中に教えられてきた価値観が180度変わる渦の中で、
    日本の防波堤となった数千人の女性たち。
    「新日本女性に告ぐ。戦後処理の国家的緊急施設の一端として、
    進駐軍慰安の大事業に参加する新日本女性の率先協力を求む」
    RAA(特殊慰安施設協会)を設立して、敗戦国の日本は、
    進駐軍兵士からの性の防波堤として女たちを差し出すことを決めた。
    勝手に無理な戦争を始めて、そして負けた男たち。
    今度は、女たちの戦いが

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    2020年06月26日
  • 女刑事音道貴子 風の墓碑銘(下)

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     現在のところ、音道貴子シリーズ最終巻。
     相方の滝沢刑事との絶妙のコンビが活躍する。上巻に引き続き、息の長い展開が続くが、事件は最終章で急転直下、突然に解決する。
     犯人像を徐々に絞っていったり、といった展開ではないが、これはこれで楽しめる内容になっている。
     音道刑事のその後が気になるが、現在のところ続編はない。

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    2020年06月24日
  • 女刑事音道貴子 鎖(下)

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     犯人の潜伏先(音道の監禁先)特定から事件解決までを描く下巻。
     タイトル「鎖」には、音道刑事自身が鎖に繋がれて監禁されていたという意味合いがまず読み取れる。しかし、それとは別に、本作では人と人との切っても切れない関係というか、相互依存の関係というか、そのような人間模様が浮き彫りになって描かれているので、その有様がまるで鎖に繋がれているようと思わせる構成になっていると感じる。
     人は誰かに必要とされることで存在価値を認めることができ、生きる希望を見出すことができるということがよくわかる作品である。警察ミステリーではあるが、ミステリー要素よりも、そういった人間模様を如実に表現している印象が強く残

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    2020年06月14日
  • 女刑事音道貴子 鎖(上)

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     女刑事音道貴子シリーズ第3弾。「凍える牙」で音道の相棒として活躍した滝沢刑事も登場する、上下巻合わせて800ページを超えるシリーズ最大長編。
     担当部署は全く異なるのだが、今回は捜査中に音道自身が拉致されるという事件が発生。その結果、滝沢刑事も事件に加わるという設定。
     刑事事件が起きた場合、1組2人で捜査陣は組まれるが、その相方次第で捜査の良し悪しは大きく変わるということがよく分かる。事件解決を優先すべきなのだが、やはり手柄を得て出世するということも組織の中では大切な要素になる。そのためには全ての情報を公開することも憚られる。そこの狭間で揺れる刑事の思いも描かれており、そこも本作の見どころ

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    2020年06月11日
  • ボクの町

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    新米警察官の交番勤務研修でのお話。

    個人的に働き出して半年経ち、いろいろと思うところはある。
    会社の中の規律とかそういうのに疑問を持ったり、
    学生時代はよかったなーと振り返ったり、
    はたまた何のために働いてるんだろう?
    仕事のやりがいって何?幸せなんだろうか?

    とかとか・・・
    負のスパイラルに陥りがちのこの頃でしたが(笑)、
    少し元気をもらいました電球


    「ある意味自分は幸せ」
    ふーん、そういう考え方もあるなぁと思った一冊でした。
    やっぱり仕事することの魅力って、
    いろんな人に会えることなのかなぁ。
    ステキな先輩や上司に会えたらそれだけできっと、
    この仕事やっ

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    2020年05月13日
  • 火のみち(上)

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    満州から命からがらで故郷に戻った南部家族、9人いた家族が日本の地を踏めたのは7人だったしかし、満州から帰ってきた家族を暖かく迎え入れる場所は無し。
    何とか親戚のボロ小屋で暮らすことに、勿論食べ物もなければ働く場所もない、母親は病気を抱え働くことができない身の時姉は家族の為働きに出が二度と家族と暮らすことはなかった。

    姉の仕送りで家族細々と暮らしていたが母の病気が悪化し帰らぬ人に、、
    母の葬儀は借金してあげたものの返せる見込み無し

    「妹を売っらないか」と言われ妹を守るために人を殺した兄次郎
    それから刑務所生活が始まった、気性の荒かった次郎は刑務所で問題児だったが
    陶芸を作るメンバーとして加わ

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    2020年05月07日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    戦後を生き抜く女性のお話。
    恥ずかしながら、この本を読むまでRAA(特殊慰安施設協会)という存在を知らなかった。
    終戦を迎えたことは1つの区切りではあるけど、それまでの思想や環境が変わっていく中でどう生き抜いていけばよかったのか、深く考えさせられた。
    女性は強いとか、女性はあざといとか、そんな言葉じゃ言い表せないけど、最後はちょっとスカッとした。

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    2020年04月24日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    どうしてこう、いつの時代も男はバカなのか……。

    ごめんなさい、そう思わずにはいられない話でした。

    戦争に負けた日本に、戦勝国のアメリカ人がいっぱいやってくる。
    だから、頼まれもしないのに、慰安所を作った……。
    そういうこと、我慢できねーのかよバカが、と女の私は思う。
    きっと日本男子は、自分たちが我慢できないから、アメリカ人もそうだと思ったんだろう。
    まあ、実際そうだったんだけど。
    ホントバカ。悪いけど。

    色んなことを「ずるい」と思う鈴子の気持ちもわかるし、おそらく日本の男に腹を立てている、という鈴子の母の気持ちも、わかるなあ。

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    2020年04月19日
  • 地のはてから(下)

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    乃南アサの描き方がすごい。

    読んでるうちに感情移入どころか、その本人になってくる。笑笑
    わたしはトワです。って。なる。ホントに。

    とわになって物語に翻弄される。

    知床開拓に来た家族の苦労話、苦戦話なんだけど。わたしが動き出す。夫や家族、バッタ、冷害その他いろんなものに振り回されて、それでも家族を守らんとして必死に生き続けるそのとわやトワのお母さんになってる。読んでる間は完全になっちゃうのよ。わたしを一人ここに残して、完全に『あんにゃは我慢しすぎるけぇ』とか呟いちゃうから。

    もう、本を読んでるこのわたしすらトワでした。笑笑
    人生の落ち込み、浮き、そしてまた落ち込み、それで少しづつ年を重ね

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    2020年04月17日
  • 花盗人

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    実は2度目でした^ - ^

    読み進めるうちにあれ?
    実は2度目でした^ - ^
    ですがやはり面白かった。グロテスクな表現や言葉ではなく文章を読むことで自分なりに自由に思い描けるのでそこも深く楽しめました。まだ読んでない方が羨ましいです。たくさんぞくっとして下さい^ - ^

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    2020年04月13日
  • 風紋 上 新装版

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    重い。心理的負担が凄い。ある日、母が殺された。その事件を巡る家族や警察や報道の物語。こう書けば1行ですむ話だが、上巻だけで2冊分ありそうなビックリの分厚さで、淡々と、延々と、詳細に事件を追っていく。リアリティが過ぎる。遺体の描写など一瞬ウッとなるくらい。もうとにかく母を殺された女子高生、真裕子が悲痛でしょうがない。何度も目が涙で潤む。そして周囲の大人達の身勝手さや口さがないのに腹が立つ。あまり動きのない物語なので、ともすれば退屈になりそうなものだが暗く、深く心を掴んでくる。下巻に救いはあるのだろうか?

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    2020年04月10日
  • 不発弾

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    後味悪めが3編、スッキリ系が3編の短編集。一番好きなのは『かくし味』。煮込みが絶品の老舗店に通い詰める男の話。この主人公の気持ち、めっちゃわかる。私もお店の人とは話したいけど、常連客とは絡みたくない。『福の神』も小料理屋の話でじんわりいい話。『幽霊』も良い。『夕立』はオチはイマイチだけど、ポケベルや女子高生のギャルとかが懐かしい。表題作『不発弾』は期待したよりは普通。『夜明け前の道』は印象に残らず。やはり乃南さんは長編の方が好きだけど、たまには短編も良い。

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    2020年03月30日
  • 涙(下)

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    主人公は刑事である婚約者と東京オリンピック後に式を挙げる予定だったが、オリンピック直前に電話で自分のことは忘れるよう言われ姿をくらましてしまう。混乱する主人公に彼が殺人事件の容疑者であるということも知らされる。しかも被害者は婚約者とコンビを組んでいた老刑事の娘だった。
    主人公は婚約者の潔白を信じながら、彼を自力で探し出すことを決意。細い糸をたどりながら川崎、熱海、焼津、筑豊と彼を追うがすんでのところで会えず仕舞いでいた。
    一方、その後の捜査で彼は嵌められただけということがわかる。しかし黒幕を裁くためには何としても彼の証言が必要。そのことを知った主人公はさらに彼の足取りを辿るが、ある偶然から彼の

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    2020年03月04日
  • 結婚詐欺師(上)

    購入済み

    引き込まれる

    昔の小説ではあるが、小説慣れしていなくても読みやすかったです。どうしようもなくクズな主人公とその周りの心の弱った被害者たちが印象的

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    2020年02月11日
  • 女刑事音道貴子 鎖(下)

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    今作での鎖の意味として巻末の解説にもあるように、
    物理的な鎖、運命の意味の鎖、親子の絆の意味の鎖、社会のしがらみの意味の鎖など
    様々な意味で用いられて、最初タイトルを見て重いなと思ったが、読んでみてなるほどと納得がいった。

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    2020年01月31日
  • 女刑事音道貴子 未練

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    同シリーズ物の2冊目の短編集。
    題名の「未練」、
    刑事としては起きてほしくないであろう「館川古物商殺人事件」、
    前作の長編「鎖」での出来事後の貴子の心情を書く「山背吹く」、
    残忍に殺された幼児と犯人の背景を書く「聖夜まで」、など
    読んでいて個人的には全体的に”やるせなさ”や”無力感”のようなものがテーマになっていると思った。

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    2020年01月31日
  • 女刑事音道貴子 花散る頃の殺人

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    警察は男社会
    そしてその中で刑事をやることの厳しさ、
    頑固な女性に対するデリカシーのないむくつけき男、その中で
    音道貴子は頑張る
    悲しいくらい応援する
    一生懸命応援している自分がいる。音道貴子シリーズ好きです。

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    2020年01月12日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    1945年8月15日、日本にとっての第二次世界大戦は幕を下ろす。
    しかし、単純に、「戦争が終わった=平和が戻る」ではなかった。
    敗戦国・日本には占領軍がやってくる。物資は不足している。戦争で失われた人材も数知れぬ。
    人々は「戦後」がどうなるのかをはっきりとは描けぬまま、見えない新時代へと、いわば、ハードランディングせねばならなかった。

    そうした中で、国策として設立された施設があった。
    RAA(Recreation and Amusement Association)。日本語では「特殊慰安施設協会」と呼ばれる(cf:『敗者の贈り物』)。
    占領軍兵士向けの慰安所で、一般の婦女子が兵士たちに襲われ

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    2020年01月01日
  • 水曜日の凱歌(新潮文庫)

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    主人公は14歳の女の子。話は昭和20年の春から始まる。空襲で家を失い兄や妹も失ったが、かろうじて母とは再会し2人で生きていくことになる。そして終戦を迎え、母は英語力を買われある団体に雇われる。それは政府からの要請による、進駐軍を相手にする慰安婦を世話する組織だった。最初は主人公はそれがどういう施設なのかわかっていなかったが、次第に理解し慰安婦たちの状況を耳にすることにより、この施設を性被害を民間人に与えないための防波堤と言っている政府などに疑問を持つようになる。
    一方でかつては良妻賢母だった母が働くようになり、ついこの間までは鬼畜と呼んでいた米兵を相手に愛想を振りまいたりする母のしたたかさにも

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    2019年12月13日