乃南アサのレビュー一覧
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富山市の郊外で、非行、不登校、引きこもりなどの問題を抱えた子どもたちを育てる「ピースフルハウス・はぐれ雲」を経営する川又直(かわまた・なおし)、佳子夫妻と、「はぐれ雲」にやってくる子どもたちの心の交流を描いたノン・フィクション作品です。
この作品の中心に位置しているのは、中井恵という少女です。彼女は一度は非行から立ちなおり、だれもが無理だと思っていた高校に合格を果たしながらも、周囲に流されやすい自分を変えなければならないと思い詰めて四か月に渡ってはぐれ雲から姿をくらましてしまいます。そんな彼女を川又たちは温かく迎え入れ、やがて恵は川又と同じように誰かのために寄り添う仕事をしたいと考えるまでに -
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ふと友達の話だったかな。
と、思ってしまいそうになるほどに身近に感じるこの2人。あれ?昨日電話で話たんだっけ?とか、あーあそこに住んでるはこちゃんね。
と、つい近所の人の話のような気分にさせられるほどに、何とも言えずやたら身近なんだ。この2人。
どうしてなんだろう。
小説として楽しむんじゃなくて、久々に会った友達の近況を聞いてるような、いやいやそうじゃなくて、股聞きなんだけどやたらよく知ってる人ーみたいな感じ?
昨日もすれ違ったんだけど元気なかったなーとか。
ホントそのくらいに身近に感じてしまう。この筆者。どうしてかな。なんでかな。不思議なんだ。まるで近所の出来事くらい視点が一緒にな -
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面白い。
ハコ29歳と、綾香41歳。刑務所からでてからの2人の暮らし。
後ろ暗い過去がある2人が刑務所で知り合いその後を懸命に生きていく2人。
暖かいような冷たいような近所や世間にもまれつつ、なんとか普通の生活に戻ろうとする中で、刑務所の生活を思い出したり、やっぱりわたしは幸せになんてなれないと思ったり。
家族との葛藤だったり、隣近所に知られまいとするのに必死だったり、仕方なかった犯罪だったのかもしれないし、誰でも起こしうる犯罪だったんだけど、捕まってしまった2人のその後。
性格も正反対で持ちつ持たれつの2人の生活がよんでいて、まるで私もその仲間に入れたような、隣の家の人を覗き見るよ -
Posted by ブクログ
戦後の女性たちを描いた小説。
実際にあったとされる、進駐軍に向けた特殊慰安施設で働かざるをえなかった女性たち。
他に働く当てもなく、食べていく、生きていくためには仕方なかった。
そんな慰安施設での通訳の仕事を紹介してもらった鈴子の母は、英語が話せたことが幸いした。
ただ、そんな母を鈴子は受け入れられなくなる。
14才の鈴子にとって、戦争に負けたからといってアメリカ人と仲良くしたり、愛想を振り撒く母を信じられなくなる。
鈴子にとっては、自分たちの家族や友達を殺した憎き敵でしかない。
そんな鈴子の気持ちも、生きていくために娘を守るために強くならざるをえなかった母の気持ちもわかるだけに、辛くなる。