乃南アサのレビュー一覧
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結婚詐欺師の正体が分かり、警察によって徐々に迫っていく下巻。下巻の主役は元恋人が追いかけていた詐欺師に落ちてしまったことを知った刑事。元恋人を助けたい思いと今手出しすれば犯人に逃げられてしまうという状況の板挟みになった苦悩を描いている。
登場人物の心理描写が丁寧に描かれていて、まるで映像を見ているかのように情景が思い浮かぶ。
詐欺師が人を人と思ってはいないのは現代横行している詐欺にも共通の感覚。お金が欲しいという思いもあるだろうが、それよりも騙し抜くことに快感を覚えるのだろうと思う。一種の依存症状と言ってもいいのかもしれない。そして騙されたほうはそれを認めることがなかなかできない。プライ -
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戦争が終わった終戦の日からの日々を14歳の鈴子の目線で描いた戦後の物語。
読み応えがあった。知らなかったことがたくさんあった。戦争中の悲惨な話は見聞きすることがあったけど、戦後の混乱期にこんなことがあったとは。
もちろん戦時中の鈴子の体験は凄まじく、戦争で母と二人生き残るも焼け野原となった東京同様に鈴子の心もがらんどうになってしまいます。でも母は生き延びるためにたくましく、したたかに新しい生活を始める。英語ができた母は、進駐軍相手の慰安施設というものにかかわる仕事に就く。
多感な年頃の鈴子から見える理不尽と矛盾。防波堤となった女の人たちと自分は何が違ったのか、この間まで鬼畜と教わっていたアメリ -
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ネタバレヴァンサンカン(25歳)までに。
心情描写がリアルなところが面白くて、ドロドロしていたけど読み進めてしまった。
翠は性格悪いな〜と思いつつも、読み進めていくとその背景には育った家庭環境での苦い経験があることが分かって同情した。恋愛の渦中にいる間はボロボロになっていても気付かないものだと痛感させられた。刑務所に入ってしまった恋愛でも幸せだと言っている人もいるので、良い顔ができる恋愛が良い恋愛とは一概に言えないけど、一体何が自分に馴染む幸せかは自分で身をもって確かめていかないと分からないなと思った。
この小説は何を語りたかったんだろう -
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ネタバレRさまオススメ本の下巻。
ようやくちゃんと働くようになったかと思ったら、なぜそのような女に?と思うような女性に入れ込み。
果ては飲酒運転で事故とは。
もうほんと読んでて情けない、歯がゆい思いをさせられるのだけど、思いの外、芯は優しく人に対しても誠実な良い人間なのだと思う。だからなおさら歯がゆいのか。
母親や杏奈にあたり散らしたものの、婆ちゃんのあたたかさには素直になれる。
ようやく落ち着いて母親や姉のことも考えられるようになるなど、やはり根は優しく思いやりがあるのだと思う。
杏奈もそんな部分に救われたのだろうと思う。
最後にはやりたいことを見つけ、希望に溢れる感じが良かったと思う。
しかし、 -
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タイトルにもなっている音道貴子とは、『凍える牙』以来、久しぶりの再会となる。滝沢とのコンビもどうやら健在のようである。
本編は上下巻に分割されているから、上巻だけでは事件の全貌はまだつかめない。むしろ滝沢と音道が、互いに相方をどう感じているのかという描写を楽しませてもらった。互いが相手を評する言葉は、しばしばとても手厳しい。しかし、その厳しい言葉は互いに相方をリスペクトしている、というところが根源的にあり、それゆえの評言だと感じる。そう思わせる書き方は、著者乃南氏の面目躍如たるところであろう。
上巻においては、二人の捜査範囲はまだ限定されているが、物語の進行速度はとてもよい。つまり読みやすいス -
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ネタバレ評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
練習場で橋口に声をかけられた江本美和子は、その強引な誘い方に驚くが、結局デートに応じる。一方、阿久津らの捜査から松川と橋口が同一人物であることが判明した。だが被害者の中にかつての恋人、美和子がいるのを知り、阿久津は愕然とする。あのしっかり者の彼女がなぜ…。橋口と被害女性、そして阿久津の心模様を丹念に追い、現代の結婚観を浮き彫りにした傑作サスペンス。
詐欺師の考えてる事がもうどうしようもなくあかんたれで情けない。だからこそ騙されてる女性に目を覚ませ!と言い続けながら読んだ。カツラだし…。更に阿久津が女々しすぎて違う意味イラついた。