乃南アサのレビュー一覧
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『自分は生涯、しゃぼん玉のように、ただ漂って生きていく。そしていつか、どこかでパチンと弾けて消える』
暴れる父と自分を疎む母、そんな家庭に育ち、通り魔や傷害を繰り返して“しゃぼん玉”のように生きていた青年・翔人が、逃げ込んだ山奥でふとしたことで助けた婆ちゃんのところに転がり込むことになる。
彼を婆ちゃんの孫と勘違いした村のおばちゃんの世話焼き、爺ちゃんとの山仕事、訳あって都会から戻った女性との触れ合い。
『白くふっくらとした銀杏が、山ほど入っているビニール袋を差し出した老婆は、そう言って恥ずかしそうに笑った』、はにかむお婆ちゃんが目に見えるようで、この村の人々のなんと純真無垢なことか。
こうした人に囲まれた翔人の村での生活と、その間に挿まれる過去の家庭環境の中で描かれる翔人の心根。『しょうがねえことも、あるにゃあ、ある。だが、それと、どうでもよくなるっちゅうとは、別もんばい』、ちょいと道徳臭いけどね、そうした人々に囲まれて、翔人はもう一回人生をやり直すことを決意する。
なんのひねりもない話で予定調和的結末と思いながら、ラスト近くは涙が出てきて、電車の中で読んでいてちょっと困った。
こんな話に涙もろくなるっちゅうのも我ながらどうかと思いながら、乃南アサさんって上手だと感服する。 -
Posted by ブクログ
中学の同級生だった栗子と菜摘。
栗子は、ごくごく普通のOL、30才目前の結婚予定なしの
ちょっとふてくされた感じの、どちらかというと、「女女した女」
菜摘は、幼い頃から自分の中の性同一障害に気がついていて
20歳のときに、家族に打ち明け、カミングアウトとともに
家から追い出され。
わりと裕福な家庭に育った菜摘だったけれど、それからは
「一人」で生きていくことに・・
世間からは「オナベ」と呼ばれる世界
レズビアンの世界、水商売で成功していく菜摘。
それとは別に私生活では複雑な恋愛を繰り返し
傷つくことの多かった菜摘。
栗子だけは、女どうしでもなく、恋愛関係でもなく
「友人」として、「幼馴染」として、自然に接することのできる
唯一の人だった。
その栗子は、菜摘の店の常連客だった通販会社の青年実業家社長
古窪に出会い一目ぼれ。
日増しに強くなっていく恋心。
そして偶然の再会からデートに発展。
みるみるうちに恋人に・・・・
ところが、まるで結婚の話は出てこずに焦る栗子。
菜摘も菜摘で、店の常連客だった酒癖の悪いオトコの妻に一目ぼれ。
これが、ヤクザの妻だったりする。
そんな二人の恋愛模様を描きながら、
2つのストーリーが書かれているんだけど。
私は、この菜摘の世界がとても面白かった。 -
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今時の若者高木聖大くんの交番勤務の日々です。派手に活躍することを漠然と夢見ながらも具体的な目標はなく、彼女がいないの先輩がお天気屋だのと不満はこまごま。そんな中地元のお年寄り達「とどろきセブン」と仲良くなって、色々な事件に関わるように・・・。ミステリではあるんだけどある意味青春物語です。それは第二の青春を生きるとどろきセブンにもいえること。世の中にはいろんな人がいて、それぞれいろんな事情があって、正直関わりたくないなと思うこともありますが。付き合っていかなきゃいけないし、その中から大事な出会いがあるかもしれないし。そう思って社会にでられるといいな。
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この小説は「新潮ケータイ文庫」に連載された小説らしい。
携帯でアクセスして読める小説だと解説を読んでなるほど・・と。
短い文章だけ少し読んでも、グググっと引き込まれるのだ。
なんか幽霊っぽいんじゃない?とか
なんかありえなくないか?とか思いながらも
ついつい、次が気になって気になって・・・。
主人公は川島秀明・二浪の予備校生。
東京育ちで、ちゃらちゃらした遊び好きで女好き。
いい加減で軽薄。計算高くずるがしこい。
その上小心者。
そんな秀明の身に、あるときから「気配」を感じるようになるのだ。
誰かが、秀明をじっと見つめている。
しかもその「気配」がわからの秀明に対する気持ちが
一人称でつづられていて、なんだか気味が悪かったりする。
やがて、その「気配」が次々と悪さをしだす。
大学に入るまでは友達には紹介できないから受験ガンバッテ!と
応援するカワイイ彼女の美菜子。
でも、そんな勝手な言い分をする美菜子に対して
Mな気持ちを抱いていく秀明。
美菜子への気持ちの迷いから、別のタイプの女の子と出会い
二浪にもかかわらず二股かける秀明。
それに対して「気配」は、ますますエスカレート。(下巻へ) -
Posted by ブクログ
この「気配」とは何なのか??
最後はどうなってしまうのか?
一気に読めてしまって、このだらしなくて餓鬼っぽい秀明が
また、別のタイプの女性と出会うことからも
心身ともに成長していくところとか、相手の波動によって
自分の波動もキャッチのしかたが変わってくることとか、
自分の心の成長によって、周りも変化していくというのが
とてもとても細部に描かれていて、引き込まれる。
ホラーだと解説があるけど、あまりホラーのイメージはなくて
今のこの便利なネット。携帯、メールなどの言葉のやりとりと
心の言葉、人間の言葉、心理。今失いつつあると思われるものが
実は、一番大切なのは心の内面なのだよと、メッセージが
こめられているのかな〜と思った小説。
上・下巻、あ!っというまに読めるほどテンポがよい
かなり面白かったです^^
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Posted by ブクログ
サラリーマンの城戸崇は、一人息子の渉をつれて絢子と再婚した。年頃の男の子にも関わらず、継母との関係も良好、すべてがうまくいっているような家族だった。そんなある日、崇は満員電車の中で痴漢に勘違いされてしまう。警察にいかなくてすむのならと、示談金を払うことにしたが心は晴れない。帰ると今度は絢子に「妊娠した」と告げられる・・・。渉は渉で、毎日学校で繰り広げられる”ゲーム”に辟易していた。
家族に心配かけないようにと、崇も絢子も渉も、言いたいことを全部閉じ込めるが、同時に何も話さないことでお互いを疑い、家族の溝が広がっていく。ちょっとしたことがきっかけで家庭崩壊が始まっていくこの恐さ。特に絢子の妊娠する前と妊娠した後の少しの言動・思考の違い、その微妙な違いに反応する崇や渉がよく書かれているなぁと思った。ストーリーはものすごく暗いのだけど、最後は以外にもハッピーエンド?「死んでも忘れない」というのはてっきり復讐の言葉だと思っていたけれど、それは間違いだった。