森博嗣のレビュー一覧
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ネタバレ10作目にしてこのミステリーの主題は密室など殺害方法のトリックにあるのではなくそれを通じて語られる哲学的思考にあるのだと思い至った。(肉体も脳もハードでしかあらず思考こそ本質で唯一自由)
つまりトリックの華麗さを期待して読み進めるべきではない。個人差あるけど全員共犯でした、は単なるミステリーのトリックとしてはかなり御法度な感。
四季先生、次会うときは死んでるとかいうくせに直後めちゃくちゃ生きてるし。
読み甲斐を感じるのはやはり四次元の概念(作中では連続する多面体だったけど個人的にはchが切り替わる空間だった)や、現象を単純化して理解伝達する過程、そしてそれが不要で複雑を複雑のまま理解する天才、 -
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S&Mシリーズ三作目。いわゆる館もの。
一作目二作目と比べると非常に読みやすく、犀川先生と萌絵の関係値を描写するような場面が多く感じた。
これまでの二作と比べて好みの差が出やすいのはこういうところにあるのかもしれない。
トリック自体は非常にシンプルなものかもしれないけれど、普段からミステリを読んでいて頭を使うことが多い人ほど騙されそうという印象。
序盤から予想できたという人が多いように思うが、自分は1つ目のトリックしか当てることができなかったので、まだまだだなと思いました。
笑わない数学者とは一体誰なのか。ラストの展開を読み終えてやっと「そういうことか…!」と理解できた。
悔しいほ -
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ネタバレ非現実的な前作と打って変わって現実的な作品でしたね。
インパクトは前作ほど無いにしても非常に論理的で解決パートは読んでいてスッキリしました。
ただトリックは衝撃的ではなかったかなぁ、と言う印象です。
実験室や防護服の時点で入れ替わりトリックが使われるのかな、教授や助手が別室な辺り疑わしいですし打ち上げの会場の発案者が教授な辺りも怪しい…と言う感じで序盤から大枠は予想できてしまいました。
結婚発表のような細かいところは「あぁ…なるほど…その伏線だったのか…」と予想できなかった点も多々あるのですが…。
ただ幾つも気になる点があったので前作ほどでは無いかなぁ、と言う印象です。
気になる点です。 -
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これまで裏で暗躍している印象が強かった保呂草がガッツリと事件に絡んでいくのが印象的な本作。練無や紫子の過去、紅子の離婚の経緯などが少し見え隠れするのも、シリーズを追っているからこそ気になる要素が万歳で面白かったです。シリーズもいよいよ折り返しですが、まだまだキャラの掘り下げはされると思いますし、まさかの新キャラも登場!ますます目が離せませんね。
※以下、少しネタバレ
まさか別の飛行機に乗って犯行が行われていたとは…。でも今回のトリックや魔剣の在処などはしっかり考えれば気づけたかもって思えるものだったのでちょっとくやしい!いつもは高度なやり取りばかりでサッパリわからないことが多いので、今回気付 -
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「孤独は悪いもの」「寂しいことは避けるべき」と、私たちは無意識のうちに刷り込まれて育ってきたように思う。人との絆や温かさを描いた作品が「良いもの」とされる世の中で、孤独はどこか“欠けている状態”として扱われることが多い。しかし、この本を読み終えて、孤独そのものに深い価値があることを初めて腑に落ちるように理解した。
特に印象に残ったのは、「ブランコ」の比喩。前に揺れるときは楽しく、後ろに揺れるときは孤独。その振り幅があるからこそ、人との関わりや幸福をより鮮やかに感じられる。孤独があるから、愛やつながりを実感できる。つまり、孤独を拒絶していては、本当の意味での「喜び」にすらたどり着けないのではな -
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ネタバレ西之園萌絵と犀川のやりとりが好きなのだが、この物語は過去(回想)であり、犀川が登場しない。
また、笹木の手記で話が進むため、少し寂しさと違和感を感じていた。
物語中盤で笹木が西之園に強引に口づけをしたところは絶句した。そんなシーンは作者は誰も求めていないし、皆が否定したがるだろうと。
また、それと同時に、これは本当に萌絵か?という思いも湧き上がった。
結果として、西之園萌絵ではなく、叔母の睦子の若かりし頃の話だったので安心した。そして、笹木は睦子の夫の佐々木だった。
殺人事件よりもそちらが気になって仕方なかったよ。
密室トリックなども面白かった。
こんな方法で密室を作れる、と作中で語っては、