森博嗣のレビュー一覧
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「孤独は悪いもの」「寂しいことは避けるべき」と、私たちは無意識のうちに刷り込まれて育ってきたように思う。人との絆や温かさを描いた作品が「良いもの」とされる世の中で、孤独はどこか“欠けている状態”として扱われることが多い。しかし、この本を読み終えて、孤独そのものに深い価値があることを初めて腑に落ちるように理解した。
特に印象に残ったのは、「ブランコ」の比喩。前に揺れるときは楽しく、後ろに揺れるときは孤独。その振り幅があるからこそ、人との関わりや幸福をより鮮やかに感じられる。孤独があるから、愛やつながりを実感できる。つまり、孤独を拒絶していては、本当の意味での「喜び」にすらたどり着けないのではな -
Posted by ブクログ
ネタバレ西之園萌絵と犀川のやりとりが好きなのだが、この物語は過去(回想)であり、犀川が登場しない。
また、笹木の手記で話が進むため、少し寂しさと違和感を感じていた。
物語中盤で笹木が西之園に強引に口づけをしたところは絶句した。そんなシーンは作者は誰も求めていないし、皆が否定したがるだろうと。
また、それと同時に、これは本当に萌絵か?という思いも湧き上がった。
結果として、西之園萌絵ではなく、叔母の睦子の若かりし頃の話だったので安心した。そして、笹木は睦子の夫の佐々木だった。
殺人事件よりもそちらが気になって仕方なかったよ。
密室トリックなども面白かった。
こんな方法で密室を作れる、と作中で語っては、 -
Posted by ブクログ
ミステリとしてフェアかアンフェアか。
著者が読者に対してミスディレクションを仕掛ける以上、どこまで情報を開示されているか、というのは本格ミステリを読む上での楽しみの一つだが、場合によっては、唐突な伏線回収に戸惑うこともある。
多分、本作も唐突な伏線回収に戸惑うかもしれない。しかし、論理的に思考を進めていけば、しっかりと伏線が見抜けるようになっている。自分は見抜けなかったが、それでも納得したし、楽しく読めた。
きっと、本格ミステリーが好きな人ほど本作は楽しく読めるだろうが、ミステリを苦手とする人には、そこまで面白さが見出せないかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初なかなか入り込めないな〜と思ってたけど中盤以降は一気読み!萌絵の悪戯にまんまと騙されて「え!?そんな展開なの?じゃあ今後のシリーズどうなっちゃうの?」と心配してしまった..犀川先生が怒るのも当然。でもこの一件で2人の関係もまた確実に変化したと思うし、今までにないほど動揺する犀川先生が可愛すぎた。
今作の中で一番好きな萌絵のセリフが「私...可哀想な自分って一番嫌いなの。アイスクリームが食べたいときには、どうしたって食べるんです。人の分を取り上げても」というものなんだけどこれが萌絵という人間を本当に的確に表してて最高。
肝心のミステリー部分も動機的なところはすごく哲学的で、抽象的な世界だなぁ