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「時代に真っ向から対立する本である。」
―――古市憲寿氏(「解説」より)
投資ブームが到来する今日、お金の話は日常会話に入り込んでいる。
「新NISAやってる?」「日経平均株価が…」などなど。
お金を増やすことが目標とされ、私たちは投資の本を買い、頭を悩ませている。
ところで、「なぜお金を増やす必要があるのか」と考えたことはあるだろうか。
私たちはいったい何のためにお金を増やすのだろうか?
そもそも「お金」とは何なのか?
『すべてがFになる』や『スカイクロラ』で知られる人気作家・森博嗣が、
自らのお金との付き合い方を振り返りながら、お金の本質を解き明かす。
本書は、お金というレンズを通して、あなたの人生に深く問いかける。
「お金の減らし方」と大胆に銘打った、人生に効き、人生が変わるお金の本である。
投資家やFPでは決して語ることのできない、これからの生き方を考える「お金の哲学」。
・「お金がない」とはどういう意味か
・財布の紐が緩むって、何?
・お金に困る原因は十年まえにある
・必要だから仕方ない、という罠
・人生でたった一度のローンの話
・「なにか買いたい」症候群
・仕事量と賃金は比例していない
・好きなものに敏感だとお金持ちになる etc.
※本書は2020年4月に小社より刊行した『お金の減らし方』(SB新書)に新たに「解説」を付し、加筆・再編集したものです。
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Posted by ブクログ
僕は、自分が楽しめることに、自分のお金を使っている。自分が一番楽しんだ時間、楽しめたことは、人に話さない。たとえば、僕は自分が写っている写真を一切撮らない。作家の仕事をしているため、ブログに載せる写真だけはデジカメで撮影しているけれど、ネットにアップしたあとは、即座に消去している。つまり、写真は僕には価値のないものなのだ(例外として、模型を作るための資料として撮影するものはある)。
写真を撮らなくても、美味しいものは、美味しく食べることができる。その美味しさを人にわかってもらう必要はない。自分が美味しいと感じることが、美味しさのすべてではないか。楽しさも、まったく同じ。自分が楽しいと感じることが、非常に重要なのだ。人に見てもらわないと楽しめないような感覚になっているとしたら、それは、僕からみれば異常である。
一方で、本当にやりたい、どうしてもやりたいと考える人は、「時間」も「お金」もなんとか工面してしまう。自分の好きなことをしている人は、まるで自由人のように傍から見えるけれど、時間とお金が潤沢にあるから、好きなことができるのではない。それは全然違う。かなり苦労して、時間やお金を生み出している。
目的があれば仕事も楽しくなる
自分が楽しめるもの、自分が面白いと思えそうなものを、どんどん試してみることをおすすめする。その経験を積み重ねるうちに、自分は何が好きかが、だんだんわかってくる。一つ楽しいことが見つかると、つぎつぎと関連したものに興味が湧き、もっと大きな楽しみができるはずである。
そういった体験が、自分にとって何が価値があるのか、を理解する元になる。「価値」を知る体験こそが、価値を生むのである。
そうすると、初めて「お金」というものの価値もわかってくるだろう。お金は、働いて稼ぐものだが、もし自分に確かな楽しみがあって、そのために仕事をする場合には、その仕事も楽しみに変わる可能性がある。
憧れの海へ行って、スキューバダイビングをするためには、まず、船に乗らないといけないし、そのまえに飛行機に乗らないといけない、それどころか飛行場まで電車で行かなければならない、切符を買うために並ばなければならない、少々辛くても真面目に働く必要がある、というような想像をすると理解できるだろう。目的が本当に価値があるものならば、そこへ向かうための道程が、すべて嫌なものではなくなる可能性がある。そういう体験をたいていのひとが持っているはずだ。
借金をして、今すぐに手近なものに飛びついてしまうと、あっという間に抱いていた夢は菱んでしまい、自分の将来に大きなツケを残すことになる。借金というのは、金を貸してくれた人の夢を実現するための手法であって、金を借りた人の夢はむしろ小さくなるのが道理だ。そのためにこそ、利子というものがあり、投資という商売が存在するのである。
Posted by ブクログ
逆説的なタイトルの本書。
お金の増やし方ついての本は世の中に数多存在するが、書店のお金関連のコーナーでも本書は異彩を放っていることだろう。
売れっ子作家の森先生の仰る真逆のことをすれば、要はお金が貯まるのではなかろうか。
そんな疑問を呈した時点で、お金を増やしたい人は素直にお金の増やし方の本を読むだろう。
だが、「自分の知らないことを知りたい」という、私の知的好奇心のセンサーに引っかかったので手に取った。
非常に論理的な切り口で、知らず知らずに自分がお金を減らしてしまう愚行に及んでいたと知り、顔を覆いたくなった。
本書を読んで特に衝撃的だったのは、ヘソクリを隠したのを忘れて札束をオーブンで焼いてしまったという、お母様のエピソード。
私はあまり現金をヘソクリするタイプの人間ではないが、考えさせられるものがある。
「お金」と「価値」、「可能性」について独自の価値観で書かれていて、非常に興味深い。
私は庶民なので、お金を減らそうとは到底思えないけれど、お金では買えないもの(健康、家族など)も大切にしよう、と改めて思った。
森先生の著書は、『すべてがFになる』のシリーズを中途半端にしか読めていない私だが、本書と小説に共通して、どこか「悟り」に近いものを覚える。現代人必読の書。
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