梶尾真治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ事故で妻を喪った主人公。
ぼんやりとした世界で死人のように生きる彼の目には「背後霊」が見える。
彼の唯一の社会との接点は喫茶「そめちめ」。
そして「そめちめ」の縁をきっかけに人探しの依頼を引き受けたことで、密接に絡み合う不可解な事件に足を踏み入れることとなった。
背後霊が見えるという特殊能力で人を救い、少しずつ社会との繋がりを取り戻す主人公。しかし捜査をする中で、手がかりの1つである不可解な「カード」の存在が徐々に闇を帯びてくる。物語前半は主人公の特殊能力が活きる展開であり、繋がらない解決の糸口が面白い。
後半はテイストが変わり、SF?ミステリ?いや、ホラーのような印象を受けた。
鵺が人間に -
Posted by ブクログ
表紙とタイトルでハズレかな?と思ったけど、読み始めて初読の作家ではないことに気づいた「ちほう・の・じだい」の作家か。星新一みたいなやんわりとした文体で進む長編。
妻を事故で亡くし、呆然自若となった主人公は、他人の背後霊を見たり話したり出来る能力を身につける。その能力を使って、失踪した女性を探し始めるが、手がかりがほとんど無く…。
SFってほどSFでもないけれども、因果関係や弱点など、対応させるように書かれているあたりが、ポッと出のハズレ本作家とは一線を画していて、読んでいて非常に安心感が伴う、良い文章である。
ただし、時々ほころびが見られるんだよなあ。この作者の本には、今回同様SFという -
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樋口真嗣『怪獣二十六号』(25年前に書いた)怪獣映画の企画書。建設技師や自衛隊員が協力して土木機械で怪獣に立ち向かったり、インテリ美人が出てくるあたり…、いや、表紙の「怪獣は常に人間にとって恐怖の存在でなくてはならない」とか「この映画は人間の前に怪獣が現われ、人間は自らの身を守る為に智慧と勇気で闘う、ただそれだけの映画」「我々がこだわりたいのは、「ただそれだけ」にする事なのです。」とか…うん、シン・ゴジラを思い出す。
大倉崇裕『怪獣チェイサー』怪獣対策が進んだ日本。ヒロインの怪獣省の怪獣予報官・岩戸正美は、封鎖区域で怪獣の動画を撮影する違法行為を行う「怪獣チェイサー」と予期せず協力することにな -
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この惑星の支配者は猫?
少年と猫が冒険するファンタジーSF。
イクオは、シテンという閉ざされた場所で、大勢の子供たちと暮らしているという設定。
ある種の素質を持った子供が集められ、超能力の訓練を受けて、いずれは卒業?してどこかへ行く。
ふだんは「ママ」たちが世話をしてくれている。
シテンの長は「パパ」で、すべてはパパの指示にしたがって行われる。
離れたところに普通の町もあるらしい。
イクオは、中庭で猫を眺めるのが好きだった。
いつしか、その中のボス的な存在のウリという猫と、テレパシーが通じるようになる。
ある事件が起きて、シテンを脱出することになったイクオは出会う人たちを助け、助けられなが -
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時を司る神の名を持った「クロノス・ジョウンター」を巡る短編集。神様というのは気まぐれというイメージ通りこのクロノス・ジョウンターも使用するには致命的な欠陥を持っていた。それを知っていてもなお使おうとする人々。それも自分の為ではなく大事な人に為に。他人の為に動けるか?自分だったらどうだろう?やっぱり躊躇するし、使わないと思う。特に吹原和彦みたいにはなれない。何度も何度も挑戦し、諦めない。例え自分が何処に飛ばされるかわからなくても。全編「タイムトラベル」を扱ったラブストーリーだった。解説の辻村さんと同じく私も舞台(初演)で知った。おかげで脳内では吹原も野方も樹理・ひー兄ちゃんも里志も初演キャストで