梶尾真治のレビュー一覧
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梶尾真治の久々のショート・ショート集全40作品。もったいないので一日一作品のペースで読もうと初めの頃は思っていたが、だんだん我慢できず、ある日を境に一気に一日で読みきってしまった。中山七里でよく使われる「どんでん返し」と帯で謳っているものの、星新一ほどドライなオチではなく、どちらかと言うとほのぼのとした意外性という感じ。
ショート・ショートを書き続けると、質の良いアイディアが枯渇する、以前に書いたアイディアを無意識に再掲してしまう等の弊害が多発し、中編・長編作品向けのアイディアにも影響を与えてしまうのではと危惧している。実際、いくつかの作品では駄洒落を使ったものもあり、アイディアの厳しい台所事情があるのかもしれない。
「白岳」や「しろ」の米焼酎で有名な高橋酒造のHP(楽しむ>カジシンエッセイ)で梶尾真治のショート・ショートの新作が毎月アップされている。2022/9時点で第215回目の連載とのことで、こんな偉業を現在も進めている作家って他にいるのかな。高橋酒造は本社が熊本県人吉市にあり、梶尾真治と同郷ということもあり長年の付き合いもあるのだろう。それにしてもこのシリーズは息の長い共同作品とも言える。多分今回の本は200作品以上の中から選りすぐった40作品なのかもしれないが、惜しくも僅差で選外になった作品と今後の新作とを組み合わせて第二弾、第三弾が今後出版されても不思議ではない。エマノンシリーズの様に今後注目されることを願っている。
来月は「クロノス・ジョウンターの黎明」が発売される。こちらも久々のクロノスなので今からワクワクドキドキしている。出版に当たっては大分修正が加えられたと聞いているが、そうであれば修正前version・修正後version両方見てみたいな。 -
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面白かった
映画化されたSFファンタジーの物語
感涙とまではいきませんでした。
こういう話だったのね。っていうのが正直な感想..
ストーリとしては
熊本のみで「黄泉がえり」現象が発生。
死んだ当時の姿でよみがえった人々。とはいえ、全員がよみがえってくるわけではありません。そんな現象に混乱する行政、対応に追われるといった展開が前半続きます。
黄泉がえりのからくりは「彼」と言われるエネルギー体ですが、この辺はあまり語られず、この現象に遭遇した人々の群像劇が悲しく、時には面白く語られていきます。
しかし、蘇った人々にもリミットが..
そして、その日が訪れます。
愛し合う二人がどうなるとか、家族がどうなるとかいうパターンを期待していましたが、そこまでべたではありませんでした(笑)
映画見てみたい! -
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太陽フレアの影響で滅亡の危機に瀕する地球。遥か彼方の「約束の星=エデン」目指して宇宙船ノアズ•アークで旅立つ人々と、死に行く運命に抗う人、運命を受け入れる人、そして新たに発明された転送装置を使ってエデンに先回りした人々を襲う過酷な運命。置き去りにされた人々が抱いた怨讐は、第ニの故郷となる星で人々を支え続ける希望となり得るのか?
梶尾真治さんの提示するSF上の命題は、国家間の争いや、人類の生存に対する根源的な問題を含み、現実的な世界が如何に大切なのかという至極真っ当な思いを持たせてくれます。
…そう、例えばイスラエルとパレスチナとか。どちらの国でも翻訳•出版すれば良いのに。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前知識もなく初読みの作家さんで、あらすじの『ちょっと不思議でほんわか切ないスピリチュアル・ミステリー』のフレーズに惹かれて読みました。
交通事故で奥さんを亡くして茫然自失の男性が主人公なのでスロースタートで始まります。
テンポ的に、あんまり合わない作家さんかも……と思いつつ、前半を半ば惰性で読み続けてたら、中盤から後半と、もうどこに着地するのかサッパリわからないくらい振り回された挙句、大どんでんを迎えましたw
古代の遺物まではまだ良かったんですけど、SFはあんまり得意ではないので、前もって知って起きたかった。
後半にある一文で、『異獣の存在が、妖怪的なものからだんだん滑稽なものに存在を変えつつあるような気がした』ってのがあったのですが
これ読んだ時、いや異獣っていうか、この小説自体がコメディに転がってるしっ!と胸の中でツッコミが入れてしまいました。
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Posted by ブクログ
大まかに言えば、約束の地にどうやって降りるかを検討するノアズ・アークの人たち
それに対する、ニューエデンの人たちの先祖代々の「アジソン一味に復讐を!」をどうするのかのお話
エデンの辺境で農業を営む兄妹
発見される不審な機械
それは果たしてノアズ・アークが放った大量殺戮兵器なのか?
ノアズ・アークの方では約束の地への第一陣をどうするのか?とか
エデンでは憎きアジソン一味を残虐な方法で殺すために少年兵にまで槍術を仕込むよう
よく語られる大東亜戦争のときの竹槍で一人一刹みたいな精神だな
そんな折、ノアズ・アークは船体を菌類に侵され墜落
果たして、2つの集団の接近の結果は?
まぁ、妥当な結末だとは思うんだけど
所々消化不良
イアン・アダムスは結局望みを叶えられなかったのかなーとか
せめて子孫同士が何かなかったのかなーとか
途中でノアズ・アークに転送された少女はどうなったのかなーとか
色々と面白そうな展開にできそうな設定がいくつかあったのに放ったらかしで終わってしまってちょっと残念というか何というか
そもそも、本当に地球は滅んだのか?
フレアに飲み込まれたと描写されているのは大統領への報告だけで、実際に観測した人たちの様子も描かれていない
なので、その情報すらフェイクの可能性もあるんだよな
あと、SFの設定的にそっちの技術があるなら、あれやこれやもできるはずなのになーというツッコミは多々あるけれども、毎度のことながらSFへの感想としては野暮だしな -
Posted by ブクログ
読んだのは1983年刊の単行本。
【感想】
・長年気になっていた作品をようやく手にした。
・鶴田謙二さんのファンなので彼の絵がカバーの文庫本をと思ったのだが最初の形で読みたくもあったので単行本を。カバー絵は新井苑子さん。一九八三年、まだ活版印刷の時代。本って感じがする。
・今となってはちょっぴり古くさい感じはする。
・「キノの旅」の原型って感じもある。
・三十年前に読んでたら耽溺してたかも。
【一行目】一九百六十七年といえばジェミニ計画が一段落した翌年で、まだアポロも月に着陸していなかった。
【内容】
・地球に生命が誕生してから現在までの記憶を持っているエマノンと、彼女に惹かれた男たちのせつないお話。
・不死者譚もののバリエーションのひとつと言える。
・大型フェリーでエマノンと出会った青年。
・事故でケガをしエマノンから輸血を受けた少年。
・記憶を失ったエマノンと結婚した男。
・人類を超えた能力を持つ少年。
・vsコンピュータ異星人。
・超能力者コンビ。
・放送局のアナウンサーと石油備蓄基地建設予定地にはえてきている植物たち。
▼エマノンについての簡単なメモ
【アイオン】エマノンと同じくすべての記憶をもっている植物。「永遠の時」という意。エマノンの知り合い。
【猪部一雄】肥乃国日報文化部芸能欄担当の記者。裏のない性格で飄々としている。
【エド】サンデイの夫、トミーの父。
【エマノン】だいたい粗編みのセーターとジーンズを身に付けナップザックを背負っている若い女。《私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ》「おもいでエマノン」p.18。そして記憶の重みにうんざりしている。昭和二十五年生まれ。最初の話の時点で十七歳。娘が生まれたら記憶は娘に受け継がれ元のエマノンには残らない。
【エマノンの名前】no nameの逆さ読みらしい。
【邑上】九肥放送のVTR編集室勤務。大柄で繊細さとズボラが同居している男。「ワイドおはよう列島」というキー局発信の番組で鉈地英子と組むことになった。
【学生】名前はわからない。最初のエピソードでエマノンと出会った青年。SFが好き。ずっと後にエマノンと再会するが。
【片岡雅子】九肥放送のアナウンザーだったがある日突然マイクの前でしゃべれなくなって今は資料室勤務。
【神月潮一郎】初めてエマノンと会ったときどういう者であるかをを看破した傲慢で酷薄な高校生。わかってしまう能力とケガをしてもすぐ治る肉体を持っている。
【ガリオン】コンピュータ。意志が感じられる。
【記憶の引き継ぎ】娘が生まれたらその娘に記憶は移行してしまい母には残らない。ということは「生命の記憶」そのものがエマノンという存在なのだろう。
【傷つける】《本質的に彼女には、決定的に他人を傷つけることができないのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.119
【サンディ・ペイジ】新しい人生を送ろうとしている女。トミーという息子がいる。
【晶一】セラピーにかかっている瞳の大きな少年。出生前の記憶を持っている。両親が死んだ交通事故のときエマノンから輸血を受けた。《でも、晶一くんはほしになったんだわ。願いがなかったじゃない。》「さかしまエングラム」p.60。
【ダウジング】エマノン特殊能力のひとつ。道具なしでダウジングできる。砂漠で水を見つけるのも簡単!
【田口】セラピスト。晶一を治療している。
【旅】《エマノンは記憶の原初からずっと、旅を続けているのだった。理由など見当たるはずもなかった。そらはエマノンにとって本能なのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.120
【丹下丈二】創業以来九肥放送勤務していたが取材中の事故で退職したらしい老人。今は酒びたりの日々。
【ツチノコ】美郷健が高校教諭をしていたころのアダ名。ツチノコに似ているからとか。今はJ・K・インダストリィ傘下の企業をやっている。
【トミー・ペイジ】サンディの息子。
【鉈地英子】ローカル局、九肥放送報道局のアナウンサー。天草に行く途中のバスでエマノンと出会う。エマノンと同じE・Nというイニシャル。
【ヒデノブ】予知能力者。ヨシフミと組んでいる。未来に起こることが全て書かれている一冊の本を持っている感じで読めばなんでもわかるが、決定された運命を自分がなぞるだけだと悟りヒデノブはなるべく読まないようにしている。エマノンとは真逆の方向の能力者。
【古橋】東阪石油の備蓄基地建設のための駐在員。いろいろ苦労している。
【フレデリック・F・フリードマン】サンデイの父、トミーの祖父。〝狂気の3F(ルナティック・スリーエフ)〟と呼ばれた有名な研究者。宇宙生物学を研究していた。ガリオン・ラボを開いた。
【マクトゥーヴ】「運命づけられたもの」とか「予定されたもの」といった意味。神月潮一郎が自分のことをそう評した。
【ヨシフミ】精神感応力者。元暴走族だがケガをしてオートバイの運転ができなくなり今はヒデノブと組んでいる。
【良三】五十間近の男。フリーのシナリオライター。1973年に記憶を失ったエマノン(荏麻/えま)に会い結婚した。その娘が荏衣子(えいこ)。
【歴史】《歴史って、人類や生命全体の〝おもいで〟に違いないのよ》「おもいでエマノン」p.30
【老人】良三が荏麻と名付けたエマノンの父親。 -
Posted by ブクログ
ネタバレヒロインたるつばきが、あまりにオトコの理想像然としすぎちゃっていて、なんだか、正直、読んでいて、恥ずかしくってw
中二病(昔の?w)なオトコの頭の中の、ぽぁぽぁな妄想を覗いているようで。
というよりは、自分の中にある中二病的部分を、「ほら、オマエだって、こうなんだぜ」と無理やり見させらているようで、読みながら、「ひゃ~、もうカンベンしてくれぇ~!」と頭を抱えたくなった(爆)
これは、ハズレかなーと思って読んでいたんだけど、でも、江戸時代に行ってしまった主人公が否応なく自分の時代に引き戻される瞬間、「キュン!」とくる感じに、あぁこれは、“その一瞬”のための話なんだなー、と。
だから、著者はあえてストーリーを山あり谷ありでなく、どっちかといえば平板に描いたのかな~なんて思った。