梶尾真治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ事故で妻を喪った主人公。
ぼんやりとした世界で死人のように生きる彼の目には「背後霊」が見える。
彼の唯一の社会との接点は喫茶「そめちめ」。
そして「そめちめ」の縁をきっかけに人探しの依頼を引き受けたことで、密接に絡み合う不可解な事件に足を踏み入れることとなった。
背後霊が見えるという特殊能力で人を救い、少しずつ社会との繋がりを取り戻す主人公。しかし捜査をする中で、手がかりの1つである不可解な「カード」の存在が徐々に闇を帯びてくる。物語前半は主人公の特殊能力が活きる展開であり、繋がらない解決の糸口が面白い。
後半はテイストが変わり、SF?ミステリ?いや、ホラーのような印象を受けた。
鵺が人間に憑依し支配しようとした理由として語った、思考や行動が多様な人間は効率が悪く、鵺と共生する方が幸福になれるという主張は少し陳腐な気がして残念だった。テレビ局を巻き込んだことや、にんにくや虫除けの下りはもっと別の展開でも良かったのでは…。
終盤、主人公自身が背後霊だったことには素直に驚きを感じた。
だが最後の最後、モヤっとした終わり方だったなぁ…。
全体的にテンポよく一気に読み進められた。特に前半が面白い。☆3。 -
Posted by ブクログ
表紙とタイトルでハズレかな?と思ったけど、読み始めて初読の作家ではないことに気づいた「ちほう・の・じだい」の作家か。星新一みたいなやんわりとした文体で進む長編。
妻を事故で亡くし、呆然自若となった主人公は、他人の背後霊を見たり話したり出来る能力を身につける。その能力を使って、失踪した女性を探し始めるが、手がかりがほとんど無く…。
SFってほどSFでもないけれども、因果関係や弱点など、対応させるように書かれているあたりが、ポッと出のハズレ本作家とは一線を画していて、読んでいて非常に安心感が伴う、良い文章である。
ただし、時々ほころびが見られるんだよなあ。この作者の本には、今回同様SFというよりも霊魂だとかをテーマにしたものが多いようだけど、その原点部分が危うく見えることがある。
たとえば、人には人の背後霊が付くというような話かと思えば、急に昆虫が付いていたり、霊には塩という図式が万能だったり万能でなかったりと言う点である。万能でない方は良いのだが、万能なときは万能すぎるんで違和感を感じるよね。
また、オチもなあ。
縄文よりは弥生のほうが良かったのでは?とか、過去の人間(?)が苦労して閉じ込めたものの弱点がそれ?とか、クライマックスのドタバタの中途半端さ(これは仕方ないか…)など。
眉村卓あたりのジュブナイルもののような楽しく、安定した手法ながら、頭のなかには和田誠のイラストが浮かぶ、ちょっとした気分転換にオススメしたい1冊ではある。