梶尾真治のレビュー一覧
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怨讐星域シリーズの3作目(完結編)。結末は予想通りと言えば予想通り。その結末に至る描写が老人の講演による回想とすることで、いい感じでまとまった。
この作品(シリーズとして)は、SFマガジンに連載されていたものをベースにしている。そのため、各エピソードが独立していて、それぞれを楽しめる。そして、全体を通して大河的な物語の展開を楽しめる。シリーズを通して感じたのは、数百年の物語を各エピソードに分解することで、リアリティーを損なうことなく読者に長い時間が流れたのを想像させた。本作品を読んでしまって残念なのは、連載で読んだ方がより楽しめたのだろうなと思ってしまうこと。連載だと雑誌が発行されるまでの時 -
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これは登場人物が、だからではないけど
また大人の仕打ちや思惑はえげつないように
思えるけど、まぁ仕方ないかぐらいの
真実を用意してあり、少年(少女)向きだなと思う。
全体的にあっさりしているものの、
その中に、ちょっと切ない脇役のストーリーは
短くも用意されており、
しかしあまり本筋には関係なく、これは期待外れか?
でも、猫たちとこういう形で接することができたら
と思うところが一番。猫が好きなら読むといい。
大人の猫はそれらしく、子猫もそれらしく
しっかり登場人物しているので。
人がペットに餌を与える。
犬:私に食事を持ってきてくれる、
この人は神様かもしれない。
猫:私に食事を持ってきてく -
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全3巻中の2巻である今巻は、新天地エデンで文明を取り戻した世代から始まり、ノアズ・アーク号が着陸のためのスペースシャトルを製造するところまで。
転送装置を発明したイアンがエデンで見つかったり、何代も世代が変わったノアズ・アーク号に宇宙船を作る技術が残ってたりと、全体的に楽観主義というかうまくいきすぎていると感じる。1巻のジャンプ直後の原始的な生活からたかだか数世代で、文明的な生活ができるほどに技術は復活するの?
ラストの青年と幼女の話など、恋愛的にも運命なり一目惚れなりが主流で、人と人とがすれ違ったり誤解をしたりと試行錯誤しながら繋がりを深めていく過程が感じられない。
文明開化前の新天地だっ -
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ネタバレうーむ、他の人も言っていたことではありますが、これの連載を10年追って読むのと3巻イッキで読むのでは大きく感じ方が異なると思います。
ちなみに私はジャケ買でのイッキ読みです(笑)
一つ一つのお話は面白かったです。各話のカップルの在り方にホッコリしたり、各話のラストでガッカリしたりと楽しませてもらいました。
ただ全体を通すとどうしても設定のスケール感を活かしきれてないような気がして物足りなさを感じてしまいました。
世代を重ねるという魅力や新天地での開拓、人々の対立等魅力的な要素はあったんですが、どうにも一話一話完結してしまい、大きな一つの物語という視点を抱けませんでした(泣)
でもこれは連 -
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最終巻。これ、私は一日、二日で読んでしまいましたが連載で10年ぐらいかかっているんですか?それをずっと読んでい人とは感想が違うだろうなあと思いました。が、とりあえず一挙に読んでしまった者の感想という事で。
読書でその本の世界にどれだけ深くはまり込むことができるのかっていうのが自分の読んでよかった、面白かったというバロメーターになっています。ノンフィクションでは知らない世界をのぞかせてもらった、こんな新しい事を知ったという楽しさがそれだし、フィクションではどれだけ作り物の世界を肌で感じることができ、登場人物をリアルに感じ取ることができるのか、というのが自分の中の評価ポイントになっています。勿論 -
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2013年に刊行された「怪獣文藝」の続編として、怪獣と怪獣が跋扈する世界をこよなく愛する映像作家(監督)と小説家による持ち前のセンスを生かして書き上げた怪獣短編小説で構成したアンソロジー集の第二弾。
前作が怪異な世界観をメインテーマに据えて構成したミステリー、ホラー色の強い怪奇小説作品集としての仕上がりは≪怪獣小説≫を期待した読者の評価が二分した結果を踏まえ、今回はより具体的に怪獣の暴れまわる事件に焦点を当てたビジュアル的なストーリー展開の作品で構成されている。映像でストーリーを読ませる映画監督による文章表現と、文章を用いてビジュアルをイメージさせる小説家の双方が「怪獣」をテーマにした競作は≪ -
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ジャンルとしたら一応SFかな。何せタイムトラベルものですから。
とは言え、タイムパラドックスの扱いもかなりいい加減だし、所謂ハードSFではなく、SF的背景を使ったハートウォーミングもの。そういう意味では『黄泉がえり』を思わせる600ページを超える分厚い文庫です。
辻村深月さんの解説をチラ見して購入を決めました。
それぞれが単独に雑誌掲載された7章、600ページを超える長い作品ですが、最後はチョッと疲れました。特に最後の2編はスピンアウトものと言える作品で、スケールが小さくなりますし。一番最後に締めになる作品を置くか、出来の良い何編かに絞ったほうが良かった気がします。 -
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ネタバレへえ、黄泉がえりの人なんだ…って、読んだことは無いけれど。タイトルが気になって手に取ったところ、妻を亡くして意気消沈している男の社会復帰がてらに不意に舞い込んだ人捜しの依頼。この主人公が少し特殊なのは背後霊が視えること。地道だけど何の手がかりもない中、ど素人丸出しでマイペースに行方不明者の足跡を辿る主人公に不思議と苛立ちや嫌悪感はない。しかもその特殊能力は少し面白いし、ぶっとびSFながらも続きが気になったり、ハラハラさせられる場面もある。
しかし、後半に進むにつれ何でもありの感が漂ってくる。鵺の存在と縄文土器に繋がりはあるのか?そもそも本自体に時代錯誤があると書かれていた気がする。そして、鵺は -
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安月給のダメ社員の父、パチンコ依存症の母。
シングルマザーの娘に、登校拒否の息子。
そして祖父は認知症気味。
それぞれが上手くいかない何かを抱える海野家で、愛らしい3歳の孫、穂足だけが唯一の救いだった。
ひさびさの梶尾さん。
現在社会を象徴するとも言える複雑な家庭が登場して、暗いながらも興味深い。
これは、SF小説です。
解説では、「SF」をサイエンス・フィクションと同時に「すこし・ふしぎ」と称していましたが、まさにそんな感じです。
あれよあれよと不思議な出来事が起こって、不思議な気持ちに陥ります。
誰もが一度は自分のコンプレックスが解消されたらいいな、なんて夢を抱いたりすると思いますが、