梶尾真治のレビュー一覧
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主婦として夫と子供の世話をし、パート勤めをしている田村裕美。独身OLとしてバリバリ仕事をこなす中野由巳。何の繋がりもない2人には、共通点があった。朝目覚めると、それまで自分ではない人物として生活していた記憶がある。裕美は由巳として、由巳は裕美として―。この記憶は一体何なのか?そしてやがてその記憶には、共通する人物が登場するようになっていく。
2人は同じ時代を生きているのか、パラレルワールドなのか?と思ったが、時差が存在していた。2年の時のズレがあり、裕美と結婚していたはずの洋平が、やもめとして由巳に紹介される。ということはイコール、何らかの理由で裕美が死ぬ?そして謎の男の正体は?というミステリ要素もあり。オチはなんとなく読めたけど、主人公たちと共に不思議な世界観が味わえる小説だった。 -
Posted by ブクログ
もしも過去に戻ることができたとしたら、私はやり直したいことがあるだろうか?
もしもすごく後悔しているある出来事をやり直せたとしても、それによってその後の人生が想像を超える変化をしてしまったら…
私たちの日常は小さな出来事の連鎖の総体としてカタチづくられている。
この作品に描かれたエピソードには、20年前に戻った人物の行動の結果として変わった未来も変わらなかった未来もある。
でも、変わった未来はすべてしあわせなものへと変化を遂げていた。
この小説のような出来事があればいいのに…
そう思って幸福な「変わった今」を思い描くことが一番幸せなのかもしれない。
読んでいてとても温かい気持ちになったのに、そんなことを思う私はひねくれているのだろうか。。 -
Posted by ブクログ
タイトルの『ダブルトーン』を、初めて書籍広告で目にした時は
「二重の音ってことは、重音?」と勝手に想像していたのだけれど、
なんと、1枚の原画から2つのネガを作って版を起こし、
それを刷り重ねて作品として仕上げるという、印刷の手法なんですね!
以前の作品『この胸いっぱいの愛を』が、
タイムトラベルものとして私の中ではかなり上位を占める作品なのに
タイトルがあまりに昔の少女漫画みたいで
なかなか人に薦められないというジレンマに陥ったりしたのに較べると、
この『ダブルトーン』は、物語とタイトルがぴったりと寄り添っていて
梶尾さん、ナイス!と思わず呟いてしまったりして。
朝、目を醒ましたときに、自分の隣に誰かの気配を感じるか否かで
「今日は自分が誰なのか」わかる、田村裕美と中野由巳。
夫の洋平と娘の亜美の世話を焼き、週に何日か税理士事務所で働くという
判で押したような生活に密かな淋しさを抱いている主婦の裕美と
老舗の小さな広告代理店で事務からイベントのMCやクライアントの接待まで
臨機応変に対応して、充実した日々を送る独身の由巳が
記憶を共有しながら、眠りを境にスイッチする、という設定がおもしろい。
由巳が結婚前の裕美なのかと思ったら、そうではなくて完全に別人格で、
しかもふたりが生きる世界には数年のタイムラグがあったり、
数年後を生きる由巳の前に、妻を亡くした洋平が現れたりして
このふたりに、どうして記憶の共有が?と一気に作品世界に引き込まれます。
ミステリとして見ると、犯人の目星がすぐについてしまって物足りないかもしれませんが
ふたりの女性の心理に寄り添って読むと、かなりハラハラドキドキを味わえます♪
それにしても、大変な目に遭った由巳に、この先ちゃんと幸せが訪れますように!
と願わずにいられません。。。