あらすじ
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椿が咲き乱れる「百椿庵」と呼ばれる古屋敷には、若い女性の幽霊が出るとの伝説があった。そこで独り暮らすことになった主人公の作家は、ある日、突然、出現した着物姿の美少女に魅せられる。「つばき」と名のる娘は、なんと江戸時代の人らしい…。一五〇年という時間を超えて、思いを寄せ合う二人。何故、出会ったのか?この時空を駆ける恋は叶うのか?タイムトラベル・ロマンスの名手による究極のラブストーリー。
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Posted by ブクログ
舞台は肥後・熊本、平成に生きる淳、江戸・幕末に生きるつばさ、150年という時空を超えて思いを寄せ合う二人。1947年熊本生まれ、梶尾真治さんの「つばき、時跳び」(2010.6)再読しました。タイムトラベル小説、いろいろありますが、純粋な男女の思いを描いたこの作品が一番好きです。構成、そしてラストへのつながり、見事だと思います。私は若い頃熊本に2年居たので馴染み深さも加わってると思います。
Posted by ブクログ
未知の力の偶然を頼るしかなく、しかも突然に別れが来るという
本来の時間の流れ、座標に逆らうことができない運命、
人の無力を克服できるのか、永遠の喪失が待っているのか
惇さん、つばきさんふたりの交流が限られた時間の中で
もどかしいほどの暖かさと穏やかさを湛えているから
結末がいっそう気になって一気に読み終わる。
冬から春にかけて、椿の花を愛でながらもう一度読みたくなる。
つばきさんは、凛としていながら、あどけなく
はかなげでいて頼りになって
なんとも上手いこと理想的な女性像を
と思うこともあるが、彼女の言動の魅力にやられてしまった。
タイトルは「つばきは百椿庵に」の方が
「ある日どこかで」のタイトル(に対するこたえ)っぽくて
がよかったなぁ。
久びさにいな吉に会いたくなった
本文にもでてきた、大江戸神仙伝へのオマージュなんでしょうか。
つばきの花を思わせる美人が何でひ弱い現代男性に惚れたのか
もうチョット工夫が欲しかったな(丙午生まれの女性というだけではねぇ)
多分読者への配慮何でしょうけど、お国訛り語りではないのが、
せっかく地方を舞台とした物語に水を差していると思う。
誰か教えてもらいたいのですが、行き遅れとはいえ未婚の武家の娘が
裸の背中を異性に見られ平気なんですかねぇ?
とはいえ、上質のラブストーリーでした。
Posted by ブクログ
地元熊本を舞台にしたSF・ファンタジー物が得意な梶尾さんによる時空を超えたラブ・ロマンス。この物語、近々(2010年8月)東京・明治座で舞台化されるという。それにタイミングを合わせたのか、平凡社ライブラリーで文庫化された。(オリジナルは2006年の発表) よく「ストックホルム症候群」という心理学用語を耳にするが、この物語の主人公、惇とつばき、二人のロマンス関係も、ある意味その症候群に似ている気がする。相互に違う時代にタイムスリップする中で、頼るべき相手はただ一人、非日常体験の中での相互依存関係が恋愛感情を引き起こすのではないだろうか。 梶尾作品を読むのは2作目、『メモリーラボへようこそ』以来。この人、本当に地元・熊本を愛しているんだなあと改めて思う。