感情タグBEST3
梶尾真治作品、けっこう読んでいますが、実はこれ、未読だったようです。
ただ、リリカルなカジシン節が見事なまでに炸裂している佳品で、鶴田謙二氏の作品も初読でしたが、あっという間に作品に引き込まれました。
私もフェリーの旅は好きですが、2等雑魚寝は利用しませんので、その辺も自分の経験に沁みたのでしょうか...続きを読むね。
アナログタッチの見事な描線で、脱帽の出来でした。素晴らしいです。
Posted by ブクログ 2023年05月08日
とても良い短編だった。どのシーンを切り取っても綺麗で、ストーリーもまた、読み進めるごとに違う良さが姿を表す。
一冊の漫画で、これほど魅力的なヒロインを描くことができるのは凄い。多分、絵柄や造形というだけじゃなくて、それなりに多くの人が胸中に抱く、ヒロインのイデアみたいなものを、ずるずると引き出し...続きを読むてくることで、一層魅力的に見えたんだと思う。誰しも一度くらいは、エマノンみたいな女の子に憧れたことがあるんじゃないだろうか。
序盤の、美人とゆきずりになるような旅情、中盤のSF的な展開による空気の転換、一度あっただけの女の子への慕情を、ずっと持ち続けているラスト、いずれもとても風情があって良かった。(実際に体験してないけど)ノスタルジーを感じさせる舞台も良い。
ラストでエマノンの意識(記憶?)が次世代に引き継がれたことが語られるが、そこで色々な疑問も湧いてくる。
もし、その代のエマノンが子どもを作らなかったら? 彼女はつまり生まれてから子どもを生むまでの記憶しか持たない、(まさしく八百比丘尼のように)ある意味で永遠の少女なんだろうか? かつてエマノンだった女性の記憶は、どこまでが失われるのか? 肉体は次々と乗り換えるものでしかなく、30億年分の記憶の連なり、それによって構築される自意識こそがエマノンの実態と言えるのか?
感情を静かに揺さぶってくるだけでなくて、こちらの妄想も色々と刺激される、凄く良い一冊だった。続きも読みたいなあ。
Posted by ブクログ 2022年01月27日
新海誠作品を観た後のような
この切なさ、読後感。幸福感。
一巻切りの作品で、
鳥肌立ったの初めてに近いかも。
SFと恋の相性ってすごいな。、
傑作、って言いたくなる作品だった。
ありがとうございました。
思っていた以上に、詩的で文学的で、素晴らしい映画の冒頭を観ているかのようでした。謎めいたヒロインに、惹き付けられる気持ちがとても良くわかる!
Posted by ブクログ 2018年01月28日
女系継承で引き継がれる「生命30億年の記憶」を持つエマノン。
何故、「エマノン」は男系継承ではなく女系継承なのか。
それは原始生物はx遺伝子であり、子孫を産めるのは女性だから…であろうか。
Posted by ブクログ 2016年07月15日
鶴田氏の絵がやはり素晴らしい。
「Spirit of Wonder」に続き触れたのは二作目だが、
絵の巧みさだけでなく「構図の取り方」がびっくりするほど秀逸。
ころころ変わるエマノンの表情を追いかけるだけでも楽しい。
梶尾氏は、映画化された「黄泉がえり」の印象で、若い作家なのかと思っていた...続きを読むが、
それなりに高齢でとてもキャリアの長い作家さんだと、今回知った。
いつまでも年をとらず生きる少女、という幻想は多くの人が持つものだろうと思うが、
それを無理のないかたちにまとめ、記憶という観点から見つめなおして、さわやかな印象を残す。
原作小説の文体も想像できるくらいだ。
十三年後に邂逅したエマノンの言う、
数時間一緒にいても
数十年間一緒にいても
好きだったという
思い出は
私にとっては
同じことなんだもの
という台詞は美しく、作品の根幹にかかわっているすばらしい台詞だった。
Posted by ブクログ 2013年02月13日
非常に好物の作品。
生命が誕生してからの記憶をすべて持つエマノン。さんふらわあ号の中でSF好きの男と出会う。
ラストのカタルシスやばい。
原作は知らないが、ぜひ読んでみたい。
Posted by ブクログ 2012年09月09日
SF文学として読める素晴らしい作品です。存在感が火田七瀬っぽいなぁと読んでてずっと気になりました。(小説でも読んでみたいけど、先にコミックで知ったので、スジを通してコミックで読み切ってから原作を読もうと思います)
Posted by ブクログ 2011年11月16日
生命誕生からの記憶をすべて持っているエマノン。
主人公の青年とエマノンが、船旅の船のなかで出会い、語り合い、惹かれあう、ほとんどそれだけの話。
たったそれだけなのだけど、1コマずつ、1ページにあふれる叙情によって、自分の体験であったかのように感じた。
不死ではないが記憶を持ち続けるということは...続きを読む、つまり、数時間も、数十年も、同じことだと彼女は言う。
ちなみにヒロイン「エマノン」の名は、「NO NAME(名無し)」の逆さ読み。
遅筆で、作品を宙吊りにしてしまうことも珍しくない作家さんだそうだけど、こんな世界が見えているのならば、それは因果であると思った。
精読に耐える、素晴らしい漫画作品である。
Posted by ブクログ 2011年07月26日
古き良きSF小説を、鶴田さんがマンガにした物です。ストーリーは、”あまりパっとしない大学生がぶらり旅、船で「エマノン」と名乗る女性に会い・・・”というヒューマンドラマSFです。短い映画を観終わったような、不思議な読後感が在ります。ちなみに自分はこの鶴田さんの古い写真のような絵が大好きで、絵だけでご飯...続きを読むが何杯もいけます。
Posted by ブクログ 2011年03月15日
動きのある漫画、というよりは挿絵のように一コマ一コマゆっくりと展開していく鶴田さんの描写だからこそなのか、それとも逆に原作の刹那的な雰囲気が鶴田さんとマッチしたのか。ともかく最高のコミカライズ!
にんげんのはじまりをしらないわからない。
にんげんとはなにでどうでこうなっている。
. . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜ . . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜
ジャケットを見て懐かしいと思った。
後書きを読んだ後なる程なと感じた。
主人公の女性の表情に魅せられ...続きを読むる風。
. . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜ . . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜
不思議な物語
作品自体は短編なのに、永遠の物語を感じさせる。
サンフラワーの上での二人の会話が深くて面白い。
姿を消したエマノンに物悲しさを感じ、
思わぬ形での再会に切なくなる。
なんとも不思議な感じのする話。
原作は1983年発表と古く、当時のSFや超能力ブームの雰囲気を残す。
筒井康隆が原作を書き、後に山崎さやかによってマンガ化された「NANASE」とも少し似た雰囲気を感じた。
また、悠久の時を生きる主人公というのも昔に流行ったテーマであり、「ポーの一族」の...続きを読むようなせつなさも感じる。
今で言えば、「鬼滅の刃」の鬼舞辻無惨や「不滅のあなたへ」も似たような感じだろうか。
ただ、本作の特徴として、本人自身が不老不死ではないというところがあげられる。
ここはなかなか概念が難しく、前半ではよく理解が出来なかったが、後半でようやく理解し、このパターンもありだなと感じた。
かなり短い作品であり、「NANASE」や「ポーの一族」のようにもっと読んでみたいという気もするが、一方でこの1作だけで留めておいた方がより味わいのある作品で終われるような気もする。
もっとも、本作も原作では2017年の「たゆたいエマノン」まで7作も書かれているようではあるが。
Posted by ブクログ 2021年03月07日
【感想】
何度でも読みたい。完成度の高い一冊。原作で感じにくかった空気感がある。この本自体が詩のような。これだけ単独で読めば運命の女、幻の女系の作品かな。
【内容】
コミックス。原作第一作が一冊まるごと使って、ていねいに描かれる。
Posted by ブクログ 2015年02月22日
とても好きな雰囲気と画風だ。前から気になっていたけどやっと読んでみた。これって原作あったんだな
壮大なようでいて至極小規模に展開していく物語がとても良い。つかみどころのないエマノンのキャラクターにも惹かれる。雑多で暇な船内での妄想から産まれたってのが面白いよね。でもすごく同意できるんだ
Posted by ブクログ 2015年01月21日
梶尾新治原作のSF小説をイラストレータの鶴田謙二がコミック化したもの。
地球に生命が誕生してから現在に至るまでの進化の記憶をすべて記憶している謎の少女エマノン。
彼女の旅と出会いを描いた作品。
エマノンというミステリアスで魅力的なキャラクターを鶴田謙二さんが素晴らしい感性によりイラスト化しています...続きを読む。
作品の持つ不思議でノスタルジックな世界観が見事に再現されていて本当に感動しました。
Posted by ブクログ 2014年03月16日
どこか懐かしさを覚えるエマノンシリーズ。
時代がいくら流れ去ってもエマノンだけは
変わらず、ずっと彷徨っているのだろうなと思う。
それが不幸か幸せかは言い表せないけど、
刹那的に生を全うしているエマノンからは
どこか寂しさを感じる。
Posted by ブクログ 2013年05月15日
旅に出た男がフェリーで雑魚寝しているところで出会った不思議な女の子は名前を聞くとエマノン、NO NAMEを逆から読んでEMANON、エマノンだと言う。
男が読んでいた小説からSFが好きだという話になり、彼女は奇妙な話をし始める。
ふと手に取って読んでみたら彼女が語る話に引き込まれ、一冊なのも手伝っ...続きを読むて結局読み終わってしまった。絵が好みがわかれそうだけど最近多い表紙詐欺みたいな漫画とは違って表紙の絵と中身は変わらないからそこで判断出来る。
漫画の評価の仕方はいろいろあると思うけど、また読みたくなる、持っていたくなる一冊。
Posted by ブクログ 2011年11月01日
言葉がなくても周囲の空気がよくわかる画面、SFと謎とロマンスの要素の配分がちょうどいい、話の流れが過不足なくてわかりやすくて読みやすい。
なにより、大きく空間が空いているようで緻密に描き込まれているこの漫画の雰囲気が自分の好みにあっている。
Posted by ブクログ 2011年10月23日
昭和42年、九州へ向かうフェリーの中で彼女「エマノン」と出会った。
ちょっとした旅の出会いと思えば素敵な思い出。しかし、彼女はこんなことを語り始めた。
「私の精神年齢は…たぶん30億年くらいになるらしいのね」
30億年の記憶を持つエマノンに惹かれ……そして、次の日彼女は消えた。
非常に美...続きを読むしい物語。
梶尾真治さんの作品は女性が力強く、そして美しい。
以前から気になっていた作品だが、どうしても手が伸びず。イラストが素敵な鶴田謙二さんのコミックなら読みやすいかなと購入してみました。
13年後のエマノンとの一瞬の再会がとても素敵で切なくて、うーん、小説買おう……
Posted by ブクログ 2011年09月04日
船旅で出会った不思議な少女エマノンとの交流。梶尾真治のSFをもとにした作品で、テーマは面白いものの、ストーリーとしては中編くらいでページ数の割にやや物足りなさもありました。
だけど、この漫画の一番の魅力はコロコロと変わるエマノンの表情。本当に生き生きとしていて魅力的で、引き込まれてしまいます。
Posted by ブクログ 2011年04月10日
絵があると、文章で勝手に想像しながら描く世界が
パッと目の前に表されてしまうので
細かい描写を端折って会話だけを見てしまう。
物語の感想は何度も読み直さなければならないのだろうなぁ。
「おもいで」「さすらい」「かりそめ」「まろうど」
と探していかなければならないのだろうけど
多分私は先に「ハウザー...続きを読むの記憶」を探すだろう。
入手困難でしょうが、この際英語でもなんでもいいので。
Posted by ブクログ 2011年01月16日
『おもいでエマノン』の鶴田謙二によるコミック版。
徳間デュアル文庫版では挿絵を担当する鶴田謙二です。
その鶴田謙二の描くエマノンが見られるだけでも大満足です。
“SF小説はちょっと……”という人でも、このコミックならエマノンの魅力を満喫できるでしょう。
Posted by ブクログ 2013年05月26日
地球の創世からの記憶を受け継いでいるエマノンと名乗る少女と僕の一夜限りの出会いと語らい。読み切りライトSFで、読後感がとても素敵。こんな熱帯夜に読むと大体どんな本もノスタルジックな要素を帯びるけど、その中でも特に秀逸。
大二病を発症していた時、この鶴田譲二がジャケ絵を書いてたジェッジジョンソンとい...続きを読むうバンドがとても好きだったので、なんとなく絵柄が懐かしくて買ってみたら当たりだった。ただまぁこういうサブカル臭溢れる漫画は30冊に1冊程度でいいな。あんまり多すぎると胸焼けしそうw
Posted by ブクログ 2012年10月03日
エマノンという、ある特別な女性を描いた作品。全1巻。エマノンはemanonで、no nameの逆。
わりとよくあるような、でも面白い切り口の作品だと思いました。淡々としたテンポで進む物語が気持ちいい。
「歴史って、人類や生命全体の思い出に違いないのよ。」
Posted by ブクログ 2012年04月04日
梶尾さんの作品は好きで大体読んでいるつもりなのですが結構抜けガあるなあと実感。でもこのお話はマンガで読んだから小説読まなくてもいいかな、と思いました。
風景と一体化する人物がいいですね。
そういう景色と溶け込める人間になれたらなあと思います。
Posted by ブクログ 2011年11月19日
1967年2月24日っていう時代設定故、見逃しちゃいけない気がして、ひとまず開いてみたら、止まらなかった。
SF好きな青年が九州に向かうフェリーの中で不思議な女性に出会う。地球が誕生してからの記憶をすべて持っているという少女。数時間過ごして消えてしまった彼女が再会を果たしたときに言い放つ台詞に胸を...続きを読む打たれた。
「数時間一緒にいても、数十年間一緒にいても、好きだったという思い出は私にとっては同じことなんだもの」
私は一緒に過ごした「時間」の短さ、長さを大事だと思ってきたんだけど、確かに決してそうとも言い切れないんじゃないかなあって思ってしまった。いとおしい記憶に、優劣なんかないしね。たとえば小学校とか中学生のときに好きな人、そんなに多くの時間を過ごしたわけじゃないよね。でも今でもたまに思い出せば、切なくもなるし、温かい気持ちにもなるじゃないですか。ということで、「現在」や「最近」にとらわれ過ぎてる自分に反省を促す物語で、勇気すら湧いてきたのでした。
2011年11月19日再読。★★★★★
切なくて、やわらかくて、風のつめたさが身に染み入るような気持ちにさせてくれる1冊。はじめて読んだ、あの時よりも、ふかくふかく心にささったような。ああ、こういう本を作りたいんだなあと。
この漫画を読むと、いつも思い出すのはMさんのこと。1967年のMさんと重ねてしまうのです。