池井戸潤のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ストーカーサスペンス × 経営サスペンス
ひとつの長篇にふたつの物語が進行してゐる。
たがひに絡みあったりはしないが、サスペンスが相乗効果をあげてこんがらがることがない。それだけでも技倆なのに、なほかつこれが相当おもしろい。
ひとつは電車の列にわりこんできた男を注意したことによる、相手の陰湿な復讐劇。それに対抗するサスペンスである。もうひとつは、出向先の融資企業で起こった帳尻の合はない経理。銀行にまつはる営業と総務のバトルサスペンスである。
さすが池井戸潤だと私はおもった。リーダビリティが高いし、ストーカーにしろ銀行にしろ、前者は家族の思ひ出をまじへることでリアリティがついてゐるし、後者はそもそも著者の本丸、くはしいのは当り前なのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公:赤松徳郎の「守る」という執念が強く表現されていました。
この小説のモデルとなった事故のことは今でもよく覚えております。あれは衝撃的でした。この小説は事故の経緯やその後の自動車会社のリコール隠しも書いてあって改めて事故の衝撃を思い出させてくれました。
自分もこれほどではないけど似たような経験があります。学生時代の時ですが、バスを待っているときにそばを走っていたダンプカーのタイヤが突然パンクして、その破片が自分の顔に飛んできたことがあります。怪我はその時はなかったですけど、危ない!と思いました。今現在、自分は国道のそばに住んでいて、トレーラーやダンプカーなどの大型自動車がバンバン行き交っています。万が一にも大型自動車のタイヤがぶつかってきたらって考えた時に怖くなりました。もっと周囲を注意しないとって思いました。
下巻も上巻と同じく、ヒューマンドラマです。で構成されていました。赤松が金沢の運送会社の社長からもらった資料が決め手となって自動車会社のリコール隠しがバレたのですが、「守る」ということはどういうことなのかをこの小説を読んで改めて考えさせられました。事故が起きると、被害者加害者双方の家族、職場の人間、取引先の顧客、融資を受けている銀行に多大な影響が出ることを思い知らされ、「自分はヒーローだ」のような目立ったことはしなくて、地味だが一歩一歩自分の足で動いて行動する重要性を感じました。自分もそうでありたいと思います。
この小説が直木賞候補になったことは素晴らしいのですが、それ以上にこの小説や小説のモチーフとなった事故について改めて自分の人生の中での衝撃の一つだったことを感じさせる話でした。
素晴らしい小説でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの事故は、2002/1/10に起きた「横浜母子死傷事故」を元に描かれたフィクションですが、登場人物やヒューマンドラマがフィクションで事故の概要はノンフィクションです。むごい事故でニュースや新聞記事のトップに取り上げられました。した。自分も印象に残っています。
あらすじ:登場人物は「赤松運送」社長が主人公で、そこの会社が所有しているトレーラーのタイヤが突然はずれ、横浜市の国道の歩道を歩いていた母親とその子供を直撃して、母親が死亡で子供が軽傷という何とも痛ましい事故で、加害者、被害者の人間関係を描いているのですが、特に加害者側の「赤松運送」について深く描いてました。事故の原因が「ハブ」と呼ばれるタイヤの部品の劣化だという報告を受けますが、「赤松運送」は点検・整備をきちんとやっているのにこれはおかしい、と社長がトレーラーの購入先である「東京ホープ自動車」に抗議します。
この小説では特に加害者側の人間関係について書かれていました。「赤松運送」の社員やその社員の家族、購入先の「東京ホープ自動車」の社員やその家族、「東京ホープ自動車」の社内の組織体系、「東京ホープ自動車」が過去にリコール隠しをやらかしたことや、週刊誌の記者が事故に迫ること、取引先の顧客のこと、融資を受けている銀行などなどです。
自分に言えることはいくら犯人捜しをしたところで亡くなった母親は戻ってこないということです。どうして人間は先に犯人探しをしてしまうんだろう、と事故・事件が起きるたびに思ってしまいます。一番知りたいのは、どういういきさつで事故になってしまったのかが大事だと思っています。「本質」が知りたくてゆっくり読みました。下巻もこのペースで読んでいき、事故の全容を理解したいと思っています。まさにヒューマンドラマを読んでる、ていう感じです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ友達から、社会人になる前に読んでおいたほうがいい!ってオススメされたので読みました。ドラマでも観たことはなかったので、評判的に楽しみに読みました。
特に中盤の段々真相に近づいていくところはページをめくる手が止まらない!結末もスッキリするもので、流石の面白さでした。
個人的には、半沢直樹よりも浅野支店長の心理描写がしんどかったです。なんか自分も彼のような閉塞感を感じたことがあったなと思い出してしまいました。家族との描写もしんどかった。結果的には、妻に救ってもらうかたちになりますが…。半沢直樹もそこまで鬼ではなく、情に流されてしまう(駒として有効活用しただけかもしれないが)ところがあるのが安心した反面不思議でした。
と思ったらありました!お父さんとの会話!なるほどなぁ〜。彼の精神の中には父のような人間臭さがちょっとはあったのかなと思いました。
最終章のネジの話が、これから社会人になる自分に刺さりました。この部分は読み返す価値ありかな。