池井戸潤のレビュー一覧
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久しぶりの池井戸作品。ゼネコン業界の"談合"をテーマとした物語です。
一松組に勤める平太は、技術系の職務から入札を担当する業務課への異動を命ぜられ、入札事業における“談合"の存在を目の当たりにすることになります。
談合は悪いことではないのか…という戸惑いを抱きつつも、上司の指示に従い、関係者との調整に懸命に従事する様子が描かれています。
複数の会社の利害や、時には政治家を巻き込んだ“調整"の場では、様々なしがらみにがんじがらめになってしまって自分の意思を通すどころの話ではないのだな…と思いました。
本作では、平太を含めた業務課のメンバーが、あらゆる制 -
Posted by ブクログ
◾️サマリー
・主人公 倉田太一とその家族を取り巻く
ミステリー。
・倉田太一は、銀行から取引先への出向者。
・プライベート、ビジネスの両面で難題が起こる。
・救いは、主人公の近くに助けとなる人がいること。
・半沢直樹ほどのスカッと感はありません。
・勧善懲悪が好きな方にはオススメ。
◾️心に響く部分
・うまく行くときもあれば、そうでないときもある。
それがサラリーマンではないか。そして、それが
人生ではないか。
◾️所感
例えば電車に乗ると、そこには素性も名前も分からない名無しさんの集まりである。
村社会のように⚪︎⚪︎さん家の⚪︎⚪︎君は△△で…と何でもかんでも筒抜けだった昔とは -
購入済み
緊迫した場面の描き方
冒頭部分の試し読みである。たかが冒頭部分の20ページにも満たない試し読みであるが、良い作品はその冒頭部分で読者を惹きつけるということなので、その作品のレベルを図ることができる。よく小説のテーマに取り上げられる駅伝であるが、いきなり緊迫したレースの描写でなかなかに惹きつけられる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ西田みたいな先輩に出会いたい。後輩も絡みやすい性格で、仕事が大好き(かつ優秀)で、上司にも必要に応じて強く発言できて、職場の家族を大切にできて…本作で一番好きなキャラです。
ストーリー自体は、入札・談合という話を非常に分かりやすく書かれており読みやすい。流石池井戸潤。
ただ新工法を見出してコスト大幅ダウンに成功した流れにはやや無理があると感じた。
不正は必ずしも自らの意思で行われるものでなく、巻き込まれていくことも多いのだろう。組織に入ると、その組織風土が当然で、今までの常識が非常識に感じることがある。そこで乗るかそるかを判断できる軸と強い意志を持ちたいと思った。
自分が平太と同じ状況に置かれ -
Posted by ブクログ
安定の銀行ミステリーです。ただ、今回は主人公の友人の不可解な死からスタートします。使途不明金や左遷人事からスタートしがちな池井戸潤のミステリーですが、その意味で今回は所謂定番ミステリーが銀行という舞台で行われている点に違いがありました。
正直、企業間・企業銀行間の取引や資金繰りの仕組みが難しかったです(笑) 登場人物も多く、それぞれの立場や関係がミステリーを解く大きな鍵になっているので、読みながら情報を処理していくのが中々大変な印象でした。
それから、本作では主人公が銀行(組織)にあまりいない、どこかうだつのあがらない人であったこと、主要人物がみな似た孤独を共有していたことも特徴のひとつだ