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安定の読みやすさ
ロスジェネの逆襲、下町ロケット以来の池井戸作品でしたが、やはり物語の読みやすさは一級品です。スカッとしない結末なのは今回は仕方ないですが、八角の風貌がどんどん良くなっていくのを感じれて心地良く読了できました。映画を観るのも楽しみです。
Posted by ブクログ
最近映画化もされた作品
映画はまだ見ていないですが、誰が誰をやるのか興味がありますね
作品はやはり池井戸先生という感じの作品
登場人物が多く、誰が主人公なのかよく分からないが、最後は意外な人が主人公だったのではないかと思わせる
構成は短編がいくつかみたいな構成ではありつつ、各章の関わりというか、登場人物の関わりはある
そして、全体で一つの作品になるという感じ
各章を線と考えると、線がすぅっと引かれ、次の線がまた別の位置から引かれる
時折、線同士が交錯しつつ、最後はそれらの線が一つの点にキレイに収まるという感じ
たまに見る作風だが、やはり作家さんというのは天才というのか、、、どうやったらこういうストーリーを紡ぎ出せるのだろう
ある会社、、、典型的な昭和の古い体質の会社が舞台
こういうと昭和が悪い時代だったかのようですが、そうではなく昭和の終わりの一つのステレオタイプ
変化を嫌う、社内政治、そのあたりの表現です
その会社は電化製品を作っている会社のようでしたが、椅子なども作るという何の会社かはよく分からない感じだったですね
ただ、関西のソニックという会社の子会社という位置づけで、親会社はパナソニックさんを意識していそうかな
営業の報告会議から始まる
当初、主人公的に描かれるのは営業2課の課長
1課は花形、2課は日陰という感じで、やはり成績もパッとしない
そのため、報告会議はイヤで仕方ない
一方1課の課長はかなり年下だが仕事がよくできる人間
課長補佐は会議でも寝ているような人間だが、そんな事は気にもせずにしっかりと報告
部長からも「この調子で頼む」の一言
しかしこの会議終了後に異変
1課長が補佐に対して「なんで寝てんだよ」とキレる
1課長は補佐をよく思っていなかったのか、会議後も事あるごとに責め始める
他人からしても目に余るような状況だったが、逆に補佐が1課長をパワハラで社内に報告
パワハラ委員会で状況を確認する事になる
目に余る状態ではあったが、これまでの実績から1課長をどうこうするというのは考えられないというのが皆の印象であったが、なんと1課長は処罰、降格対象となり、更になんと2課長が花形の1課長になるという急転直下
2課長はなにかあると見て、1課長になった後1課補佐、パワハラで前1課長を訴えた人物に確認
知らないほうが良いぞ的な事を言われつつも全体を聞いてしまう
ここでは内容は明らかにされないが、ただのパワハラではなかった事だけが伺えた
ネジ工場に舞台が変わる
零細企業で常に汲々としている
前述の会社の下請けとしてネジを受注して作っていたが、これは前1課長のときの話で、急に「別の会社に頼むから」という事で切られてしまう
下請けの悲哀
逼迫状態は変わらないが、社長はなんとか他の会社からの受注を目指して活動
しばらく時間が経過した後、偶然(を装っただけ?)に新1課長に出会う
これは課長交代直後の事と思われる
そこで「ネジを作ってくれ」と言われる
「前に断られたのに?」という思いや、工場をフル操業させないと間に合わないというのもありつつ、仕事が受注できれば会社の状況も一気に改善される
という事で受注する
この章の最後が印象的だったが、新1課長から受け取ったサンプルネジを強度調査の機械にセットしたところ破壊されてしまう
「このサンプルは強度不足だ」と思いつつ、工場社長は無視して自分たちは正しい強度のネジを作れば良いと
読者としてはここで偽装関連だなというのは見えた
また舞台は昭和会社に戻る
この章はある女性社員目線
不倫の恋をしていたが、別れを切り出され、ヤケになってか会社を辞める
辞める前になんかやろうという唐突な流れで社内に無人ドーナツの仕組みを作る
結論、不倫相手は昭和会社の経理のイヤーな感じの若手社員
そしてこの女性は退社後にドーナツ屋さんと結婚してハッピーエンド
ギスギスしがちな展開の中でここはホッコリ
次は不倫の経理社員目線
甘えた考えの若造というような描かれ方の人物
この人物だけでなくキャラにエッジが効いている
新1課長とトラブル気味という事もあり、1課の状況を確認したときに気付いたコスト高の件を調べ始める
例のネジ屋さんに頼んだ事で以前よりもコストが嵩んでいたのだ
だが、彼は真実にはたどり着かず
その前に転勤を言い渡されてしまう
読者的には、偽装は会社として隠蔽しようとしていて、それを調べているので飛ばされたという印象は感じた
次は苦情係の目線
もとは営業職でそれなりの成績を出していたが、上司に嫌われて飛ばされたクチ
多く来る苦情の中からある椅子の強度不足に気づく
あのネジが使われた製品だ
つまり、流れとしては前1課長がネジ屋に発注を決めたが、その後にもっと安い会社が現れそちらに発注変更
それが社内の一部で判明して前1課長は降格
新1課長は強度不足のネジをもとのネジ屋に戻したという流れ
苦情係はこの事実を会社に報告すると言い出すが、部長からは「社長も知っている」というような事や「判明したら会社がなくなる」と言われ放心状態
もう何もできなくなる
が、強度偽装の怪文書が副社長の目にとまる
副社長は親会社のソニックから出向している人物で、この昭和の会社からすると煩型というか、腹を割って話せる相手ではなかったので、この事実を知らなかったのだ
ここから親会社もひっくるめた大騒動に展開していく
当初は親会社も偽装継続でいこうとしたが隠しきれず
処理を行う事になる
このあたりからあのグータラ1課長補佐が主役に
課長補佐も若い頃からグータラだったわけではなく、偽装まがいの事までやって結果を出し昇進していく同期を見て、商品は売っても魂までは売らないと
若い頃に見た偽装まがいが今度は完全な偽装として発生した
若い頃にはそれを見て見ないふり、グータラ社員に堕してしまったが、それは正義感の裏返しというか
ずっと刺さったトゲだったのだと思う
この偽装は正常化しようと
そもそも、怪文書なども明らかにはならないもののおそらくこの課長補佐が流しており、この不正行為を正すために動いていたのだ
この課長補佐が主役なのでしょうね
この問題の後処理をする中でも、偉い人におもねる事もなく、自分だけ得をしてしまうような事には乗らず
多分、この人が野村萬斎さんじゃないかな
やっぱり課題や問題から逃げてはいけない
愚直である事が日本人の美徳なんだと
下町ロケットなどにも通じる池井戸ロジックが感じられて良いですね
映画もみたいすね
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