あらすじ
トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
池井戸潤さんの傑作品の一つ!
大手メーカーの不正を暴く物語であり、登場人物の生い立ちと背景が描かれていて、人間味のあるストーリーでした。最終章になるまで、誰が主人公なのかわからないのがとても面白かったです!
池井戸潤さんの本はストーリー展開が面白く、何時間でも読んでいたいです!
八角さん、いい味出していて楽しめました。こういう人物はなかなか描けそうで描けない。
池井戸作品の代表者である半沢直樹と全く違うタイプですが、やはり強烈で、真実に向かって公平に自己を貫く姿勢は圧巻でした。
ミステリアスに続いてゆく連作で、あっという間に読みました。
それぞれの部署の物語が独立しているようで、実は巧妙に絡み合ってリコール隠しという大事件のストーリーが出来上がっていくのがさすが池井戸潤だなぁと思いました。営業職や管理職など自分には経験のない職なのにまるで自分が物語のなかに入り込んだ感覚になって読み進めました。
Posted by ブクログ
各章でそれぞれの所属部署や立場、役職毎のストーリーとなっており、一つ一つが短編集の様に面白い。それらが全て繋がりをもって一企業の組織ぐるみの不祥事による顛末となっていく展開はまさに目が離せない面白さとなっており、さすが、と思う。
全ての人にその人生があり、それぞれに弱さや欲望、信念と闘っている。
読む人誰もが登場人物の誰かやどこかに共感できる部分があるからこそ惹きつけられるのだと思う。
『客を大事にせん商売は滅びる』
『虚飾の繁栄か、真実の清貧か』
常に忘れず心に抱いていきたい。
Posted by ブクログ
企業の偽装がテーマ。空飛ぶタイヤに通ずるものがある。ぐいぐいと物語に引き込まれる。どうしようもない悪人は余り出てこない。群像劇でもあり、登場人物それぞれの生い立ちや人生の背景が丁寧に書き込まれ、立体感がある。半沢のようにスカッとする作風ではないにしろ、その分重厚なドラマがある。
Posted by ブクログ
201906/
企画を実現させるために、面倒なことを後回しにするのではなく、最初にしっかりと説明するべきではないか。後で問題に気付くより、最初に問題として認識し、それに対する理解を得ておく。そして必要な対策を話し合っておく。そういうやり方でないと、仮に企画が実現してもすぐにとん挫してしまう気がした/
安定の読みやすさ
ロスジェネの逆襲、下町ロケット以来の池井戸作品でしたが、やはり物語の読みやすさは一級品です。スカッとしない結末なのは今回は仕方ないですが、八角の風貌がどんどん良くなっていくのを感じれて心地良く読了できました。映画を観るのも楽しみです。
Posted by ブクログ
最近映画化もされた作品
映画はまだ見ていないですが、誰が誰をやるのか興味がありますね
作品はやはり池井戸先生という感じの作品
登場人物が多く、誰が主人公なのかよく分からないが、最後は意外な人が主人公だったのではないかと思わせる
構成は短編がいくつかみたいな構成ではありつつ、各章の関わりというか、登場人物の関わりはある
そして、全体で一つの作品になるという感じ
各章を線と考えると、線がすぅっと引かれ、次の線がまた別の位置から引かれる
時折、線同士が交錯しつつ、最後はそれらの線が一つの点にキレイに収まるという感じ
たまに見る作風だが、やはり作家さんというのは天才というのか、、、どうやったらこういうストーリーを紡ぎ出せるのだろう
ある会社、、、典型的な昭和の古い体質の会社が舞台
こういうと昭和が悪い時代だったかのようですが、そうではなく昭和の終わりの一つのステレオタイプ
変化を嫌う、社内政治、そのあたりの表現です
その会社は電化製品を作っている会社のようでしたが、椅子なども作るという何の会社かはよく分からない感じだったですね
ただ、関西のソニックという会社の子会社という位置づけで、親会社はパナソニックさんを意識していそうかな
営業の報告会議から始まる
当初、主人公的に描かれるのは営業2課の課長
1課は花形、2課は日陰という感じで、やはり成績もパッとしない
そのため、報告会議はイヤで仕方ない
一方1課の課長はかなり年下だが仕事がよくできる人間
課長補佐は会議でも寝ているような人間だが、そんな事は気にもせずにしっかりと報告
部長からも「この調子で頼む」の一言
しかしこの会議終了後に異変
1課長が補佐に対して「なんで寝てんだよ」とキレる
1課長は補佐をよく思っていなかったのか、会議後も事あるごとに責め始める
他人からしても目に余るような状況だったが、逆に補佐が1課長をパワハラで社内に報告
パワハラ委員会で状況を確認する事になる
目に余る状態ではあったが、これまでの実績から1課長をどうこうするというのは考えられないというのが皆の印象であったが、なんと1課長は処罰、降格対象となり、更になんと2課長が花形の1課長になるという急転直下
2課長はなにかあると見て、1課長になった後1課補佐、パワハラで前1課長を訴えた人物に確認
知らないほうが良いぞ的な事を言われつつも全体を聞いてしまう
ここでは内容は明らかにされないが、ただのパワハラではなかった事だけが伺えた
ネジ工場に舞台が変わる
零細企業で常に汲々としている
前述の会社の下請けとしてネジを受注して作っていたが、これは前1課長のときの話で、急に「別の会社に頼むから」という事で切られてしまう
下請けの悲哀
逼迫状態は変わらないが、社長はなんとか他の会社からの受注を目指して活動
しばらく時間が経過した後、偶然(を装っただけ?)に新1課長に出会う
これは課長交代直後の事と思われる
そこで「ネジを作ってくれ」と言われる
「前に断られたのに?」という思いや、工場をフル操業させないと間に合わないというのもありつつ、仕事が受注できれば会社の状況も一気に改善される
という事で受注する
この章の最後が印象的だったが、新1課長から受け取ったサンプルネジを強度調査の機械にセットしたところ破壊されてしまう
「このサンプルは強度不足だ」と思いつつ、工場社長は無視して自分たちは正しい強度のネジを作れば良いと
読者としてはここで偽装関連だなというのは見えた
また舞台は昭和会社に戻る
この章はある女性社員目線
不倫の恋をしていたが、別れを切り出され、ヤケになってか会社を辞める
辞める前になんかやろうという唐突な流れで社内に無人ドーナツの仕組みを作る
結論、不倫相手は昭和会社の経理のイヤーな感じの若手社員
そしてこの女性は退社後にドーナツ屋さんと結婚してハッピーエンド
ギスギスしがちな展開の中でここはホッコリ
次は不倫の経理社員目線
甘えた考えの若造というような描かれ方の人物
この人物だけでなくキャラにエッジが効いている
新1課長とトラブル気味という事もあり、1課の状況を確認したときに気付いたコスト高の件を調べ始める
例のネジ屋さんに頼んだ事で以前よりもコストが嵩んでいたのだ
だが、彼は真実にはたどり着かず
その前に転勤を言い渡されてしまう
読者的には、偽装は会社として隠蔽しようとしていて、それを調べているので飛ばされたという印象は感じた
次は苦情係の目線
もとは営業職でそれなりの成績を出していたが、上司に嫌われて飛ばされたクチ
多く来る苦情の中からある椅子の強度不足に気づく
あのネジが使われた製品だ
つまり、流れとしては前1課長がネジ屋に発注を決めたが、その後にもっと安い会社が現れそちらに発注変更
それが社内の一部で判明して前1課長は降格
新1課長は強度不足のネジをもとのネジ屋に戻したという流れ
苦情係はこの事実を会社に報告すると言い出すが、部長からは「社長も知っている」というような事や「判明したら会社がなくなる」と言われ放心状態
もう何もできなくなる
が、強度偽装の怪文書が副社長の目にとまる
副社長は親会社のソニックから出向している人物で、この昭和の会社からすると煩型というか、腹を割って話せる相手ではなかったので、この事実を知らなかったのだ
ここから親会社もひっくるめた大騒動に展開していく
当初は親会社も偽装継続でいこうとしたが隠しきれず
処理を行う事になる
このあたりからあのグータラ1課長補佐が主役に
課長補佐も若い頃からグータラだったわけではなく、偽装まがいの事までやって結果を出し昇進していく同期を見て、商品は売っても魂までは売らないと
若い頃に見た偽装まがいが今度は完全な偽装として発生した
若い頃にはそれを見て見ないふり、グータラ社員に堕してしまったが、それは正義感の裏返しというか
ずっと刺さったトゲだったのだと思う
この偽装は正常化しようと
そもそも、怪文書なども明らかにはならないもののおそらくこの課長補佐が流しており、この不正行為を正すために動いていたのだ
この課長補佐が主役なのでしょうね
この問題の後処理をする中でも、偉い人におもねる事もなく、自分だけ得をしてしまうような事には乗らず
多分、この人が野村萬斎さんじゃないかな
やっぱり課題や問題から逃げてはいけない
愚直である事が日本人の美徳なんだと
下町ロケットなどにも通じる池井戸ロジックが感じられて良いですね
映画もみたいすね
Posted by ブクログ
とっても面白かった。
自分は、こんな職種でもないし、いわゆるビジネスマンでもない。池井戸さんのパターンにも食傷気味だったので、ほんとに入り込めるかな? と思っていたのだが、ぐんぐん読みきった。
専門的な内容や言葉を使っていても、関係のない人にも分かりやすく興味が持てるように書いてあるのだと思う。
映画になったときいたので、読み始めたが、あえて、キャストは見ていない。今、読みきったので、これからホームページで確認するのがちょっとした楽しみです❗️
Posted by ブクログ
最初八角が意地の悪い人物だと思っていたが、後半になるにつれ、勘違いだったと気づいた。
映画化もされるとのことなので、映画も是非観に行きたいと思う。
Posted by ブクログ
久しぶりの池井戸潤さん。読み進めるうちに明るみになる事実、先が気になって一気読みしました!
最後に真実が明らかになり、坂戸1人の責任にさせられず良かった。
どんな人でも追い詰められると保身に逃げる。
自分の組織を振り返っても、実際そうなのだろうと思う。
池井戸作品は、その人物の人となり、育ってきた背景から語られるので、感情移入しやすい。
最初はダメ社員という描かれ方の八角さん、読み進めるにつれ暗躍が見られて、社会に必要な存在だと思いました。
スッキリしました!
Posted by ブクログ
「虚飾の繫栄か、真実の清貧か」この一言に尽きる。小説の中に限らず、実社会そのままだと思う。池井戸潤の勧善懲悪のストーリーはいつも痛快に終わるので良い。
Posted by ブクログ
池井戸潤の7つの会議を読みました。
オムニバス形式で書かれていますが、1番の主人公は、過去はモーレツ社員で事件をきっかけに出世舞台からおりた八角です。
読んでいるとサラリーマンの悲哀が感じられます。
ノルマ達成のために、不正に手を出してしまうのは辛いですよね。
そして自己保身からの告発。また隠蔽、そしてまた告発。
私の場合、自営は大変ですが、上から何が言われるわけでもなく、追い詰められることもないので、1人で仕事してるのは気が楽です。
少なくとも自分の夢を追い続けてきたし、仕事にやりがいもあるので、幸せな人生と言える方だと思いました。
Posted by ブクログ
会議が全て7つのストーリーに
繋がって終わる
ソニックの子会社である東京建電
ノルマの達成すべく熾烈な競争
それは昇格にも影響する
親会社からの縛りにさらに
下請け業者をコストを抑えるように
締め付ける
何処かの自動車会社にそっくりな
ストーリー
利益を上げるために強度の満たない
ネジを作って納入する
それもトップの指示で
多くの画策はいずれも出世のため
人間は自分の利益のためには
人を裏切る事も厭わない
仕方ない悲しい存在
ホントに哀しい
Posted by ブクログ
池井戸潤らしい、会社のドロドロな社内政治を書いた一冊。今回は東京建電というメーカーで各部署や上層部が関わった大きな不正が舞台となった。これは本当に面白かったので、オススメする一冊です。
Posted by ブクログ
お金の為でなく人の役に立つ為に仕事をする。万物の真理だと思います。東京建電の面々はその道を外れ迷走します。そこにはただの虚しさしか残りません。下町ロケットのようにスカッとした展開にならず。本筋ではない方のネジ六とコトブキ退社の短編が良かった。大好き度❤️
Posted by ブクログ
虚飾の繁栄か、真実の清貧かーー強度偽装に気づいたとき、八角が選んだのは後者だった。後悔はしていない。どんな道にも将来を開く扉はきっとあるはずだ
会社と言う組織では、知ってしまったら責任が生じる
過大なノルマで営業担当者は、生き残るため不正に手を染めていく、最後には心身ともに壊れていく姿は痛ましい
人にはそれぞれ違った生立ちがあり、歴史がある。著者は、一人一人に焦点を変えて、不正の隠蔽工作を暴いて行き、読者を引きずり込む
Posted by ブクログ
さすが、文章がうまい!
内容や引き込むような展開はいつものワールドなので、新鮮さはないが、安定して面白いという感じ。
内容については、なんて言ったらいいか分からん。
正義について改めて考えさせられた…というアホっぽいクソ感想のみ残しておく。
Posted by ブクログ
映像化されるということで購入。
連続ドラマの前に読んだので、ドラマを見たときには、こんな暗い感じ、シリアスに仕上がるんだなという印象でした。小説で読むと、女子社員の章やエンディングなどでは明るい仕上がりだったなと記憶していました。どっちかというと、映画版の方が自分が読んだ印象に近いなと思いました。ただ、映画版は、よりエンターテイメント性が強い印象でした。
本の話に戻りますが、七つの会議ということもあり、七つの章に分かれていて、短編かなと思いきや、それぞれの話が一つになっていき、読み進めるごとに様々なことがわかっていく様はグイグイ引き込まれ、読みやすく面白かったです。
メディアでは、リコール問題を表面的にしか報じられません。しかし小説では、フィクションなんだけれどもこうして読むことで、リコールまでに至った経緯、背景を知ることができ、人物の行動や心情を読むと、他人事ではないなと実感させられました。臨場感があり、半沢直樹のような痛快とまではいきませんが、リアリティがあって、深みのある作品でした。
Posted by ブクログ
組織の一員であること、働くこと、生きていくこと、夢、希望、野望、挫折、家族を守ること、現実の自分、苦しい時に出てくる本当の自分…さすが池井戸さんだなあ。一気に読まされた。空飛ぶタイヤ同様、映画までは多分見られないけど、観たいなあ。それにしてもこの物語、初めは八角さんが主役だと全く気がつきませんでした。
Posted by ブクログ
星3.8。
ちょうど映画化して話題だし、池井戸潤先生の他の作品も読んでみたいと思ったので購入。
先が気になって気になって止まらず読んだ。
章ごとに主人公が異なり、なぜ営業一課のエリート課長が突然パワハラで訴えられたのかがわかっていく構成が面白かった。
ただ、なんとなく最後に近づくにつれて突然話が急激に進みすぎていたような?
それまで主人公を変えながらかなり細かく話が進んでいただけあって、クライマックスが「あれ?終わった?」とちょっと思ってしまった。
映画ではどんな風に話が進んでいくのか気になるので、劇場で観る予定。
Posted by ブクログ
たくさんの登場人物がいて、色んな角度から物語が進むからごちゃごちゃするけど面白い。
営業って大変なんだな、、、
どんな仕事も大変だけども。
「仕事っちゅうのは金儲けじゃない。人の助けになることじゃ」って登場人物の誰かが言ってた。それって当たり前のようですごく難しい。
Posted by ブクログ
次から次へと嫌な奴が出てくるな〜
上がひどいとどんどん捻じ曲げられてしまうのかな
自分が好きな池井戸作品に必ずある爽快感が全くなかったので…評価低めです
Posted by ブクログ
信頼の上に何事も成り立つのだなと思った。
利益ばかり追求する企業というものにあまりいい印象がなく、前半はほらな、やっぱりそうしてみんな生き抜いてんだよなと思っていた。しかしとてもちいさなほころび、しかも小さなネジという部品を発端に仕事へのあり方が問われる。どんな小さな仕事でも、高い役柄でも持つべきものは誠実さと信頼を守るという気概。それが守られる社会であったらいいと思った。
Posted by ブクログ
これを読んでスッキリしたり、面白いと感じる勤め人たちが多くいるから人気があるのだろうけれど…
それに恐ろしさを感じずにはいられない。
多くの隠蔽や揉み消し、不祥事。
スジを通すための組織との戦い。
それが美徳のように書かれていることが既に恐ろしい。