重松清のレビュー一覧
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ネタバレ『人は、死にたくなるほど辛い思いをした時、それとも死にたくなるほど辛い思いをした時に誰も助けてもらえない時、どちらで絶望を感じるのか』(省略)
読んだ直後は即後者を選んだ。
あと一歩前に出たら空(くう)、なんなら崖の淵に足半分出ちゃってる様な、少しでも重心をずらしてしまったら終わるそんな状況を想像したから。
でもこの状況の時にはもう既に虚無かとも思い直した。やっぱり分からない。
『寂しさは、両方で分かち合うものではない。自分は寂しがっていても相手も同じように寂しがってるとは限らない片思いみたいに。相手がそばにいないから寂しいのではなく、そばにいない相手が自分が思うほどに自分のことを思ってくれていないんじゃないかと寂しい。その寂しさが寂しい。』(省略)
が1番好き。本当にそうだと思う。しっくりきた。
涙が溢れ出る程の感動というより、じわじわとしんしんと感情が積もる感じでした -
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下巻では上巻よりもよっちゃんの顔見知りやおじいちゃんの親友など、よっちゃんの割と近くで生きる人たちの死が多くあったように感じました。
上巻ではよっちゃんがおじいちゃんおばあちゃんのうどん屋を手伝いながら、斎場を訪れる人たちによって色んなことを学んでいたが、下巻ではそれが遂に身をもって実感しているという感じ。
柿の葉うどんが下巻では物語の主軸を担っていたと思う。おじいちゃんと親友の最後のアメイジング・グレイスの話は特に印象深かった。
「お父さん、俺、医療センターに勤めて十五年だよ。十五年間に何人の患者さんを看取ってきたと思う?百人じゃきかないよ。ぜんぶ立ち会った。俺が聴診器をあてて、脈をとって、散瞳を確認して、家族に頭を下げるんだ。残念でした、よくがんばってくださいました、ご冥福をお祈りします……ウチに来たときにはもう手遅れの状態だったとしても、俺たちが頭を下げるんだ。家族が泣き叫ぶのを、俺たちが見るんだ。町医者のぶんも俺たちが背負うんだよ。そういうのをぜんぶ」(P.96)
この町医者と医者の息子のやりとりの中にあった息子のこの言葉がなぜだかとても心にささった。 -
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久しぶりの重松清さん。
少年少女の悩める心に向き合った作品が多い作家さんだが、今回は現代の家族が抱える問題を描いた作品。
「ひこばえ」とは?
伐った木の切り株などの根元から新たに生える芽のことを「ひこばえ」と呼ぶ。もともとは、太い幹に対して、孫(ひこ)に見立てて孫が生まれる=孫生(ひこばえ)という意味。ひこばえは、眠っていた芽(休眠芽)が起き出したもの。
『ひこばえ』上巻
長谷川洋一郎は小学2年生の時の両親の離婚を機に、父親が2人いて苗字が3度変わる人生を歩んでいた。洋一郎も55歳になり初孫誕生が間近になったある日、母と離婚以来、音信不通となっていた実の父親の訃報が届く。
父は生前「自分史」を作ろうとしていた。
記憶も思い出も朧げな実の父親・・・
空白の48年間父は何を思いどう生きたか・・・
様々な葛藤を抱えながらも、洋一郎はその人生に向き合うことを静かに決意した。
下巻へ続く
※下巻を読み終わってから纏めてレビューします。 -
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大好きな重松さんの作品の中で未読だったため読んでみたのですが、やはり私は重松さんの作品が好きだなと改めて感じました。
2014年と約10年前の作品であったのには驚きました。あらすじなどは見ずに読み始めたのですが、ただのうどん屋の話ではなく斎場の真ん前にあるうどん屋の物語であると分かった時はかなり衝撃でした。
あまり見た事のない設定だったので不思議な感覚でしたが、自分にとってはこの作品を通して良い経験が出来たのではないかと感じました。
重松清にしか書けない人間の様々な感情がありました。
1つ難点あげるとすればこの本を読んでいる間は一生うどんが食べたくなること!!笑 -
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重松清の長篇作品『赤ヘル1975』を読みました。
重松清の作品は、9年前に読んだ『最後の言葉 戦場に遺された二十四万字の届かなかった手紙』以来なので、久し振りですね。
-----story-------------
一九七五年――昭和五十年。
広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。
やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。
カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。
まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
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講談社発行の月刊小説誌『小説現代』で2011年(平成23年)8月号から2013年(平成25年)7月号まで連載され、大幅に加筆修正したうえで2013年(平成25年)刊行された作品です。
■プロローグ
■第一章
■第二章
■第三章
■第四章
■第五章
■第六章
■第七章
■第八章
■第九章
■第十章
■第十一章
■第十二章
■第十三章
■第十四章
■エピローグ
■文庫版のためのあとがき
1975年(昭和50年)、広島市への原爆投下による大空襲被害から30年が経過したこの年、東京から中学1年生の少年・マナブが広島市に引っ越してきた…… この年、広島東洋カープはいわゆる「赤ヘル」と呼ばれるユニフォームにイメージチェンジを図るが、開幕10試合の段階では4勝6敗とわずかに負け越しており、悲願の優勝への軌跡が始まろうとはだれもが気づかなかったときだった、、、
この頃から、「よそモン」マナブは、広島でやんちゃな野球少年のヤスと、新聞記者を目指したユキオ達とふれあい、街に少しずつ馴染んでいく…… そして広島の街は、カープ初優勝フィーバーが巻き起ころうとしていた…… 。
私が9歳だった1975年(昭和50年)の広島の街とカープの初優勝を描いた作品です…… 私はこの年をリアルタイムで体験したので、小説の中に登場する場所や人物、出来事に親しみや懐かしさを感じましたね、、、
主人公である東京から転校してきたマナブという少年が、野球少年のヤスや新聞記者志望のユキオと友達になり、広島の歴史や文化に触れながら成長していく物語…… 彼らの友情や家族の絆、恋愛や夢など、青春の喜びや悩みがリアルに描かれていました。
本作のもうひとつの主役は、赤ヘルと呼ばれるユニフォームに変わった広島カープ…… カープは開幕から低迷していましたが、徐々に勢いをつけて快進撃を続けます、、、
物語の中でカープの試合結果や選手たちの活躍が詳細に書かれており、当時の熱狂的なファンの声や雰囲気も伝わってきましたねー 広島とカープに対する愛着や誇りを再確認できたし、戦争や原爆の影響を受けた広島の人々の苦悩や希望も感じられましたね… 自分自身を振り返るという意味でも価値のある一冊でした。 -
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人は、ある日を境に得るものより失うものが多くなる。それまで与えられ、または自らの意思で得たものの多くが蒸発するかの如く失われてゆく。それら全てが存在を示す証であって、失う度に心には穴があき、心許なさが募る。失ってしまうのは人との繋がり、心の穴は寂しさ、この過程を老いという。あいた穴の埋め方で老いた時の居場所や居心地が変わるのだが、それは人との繋がりを如何に保って行くかということ。最たるものは血の承継。これだけは何事にも揺らぐことのない、逆に言えば決して断つことのできない、理屈抜きの繋がりなのだ。
「おい、息子。わかったようなこと書いてんじゃねーぞ。」
「やっぱり干物ですよ。水分の抜き方が大切ってことです。」
「あんたね、そんなこと書いてる暇あるなら、他にやることあるでしょ。」
「いや、どうでもいいことなんですけどね。うちの息子なら、もう少し気の利いたことが書けますよ。」
「これでいいの。老いるってね、難しいのよ。」
(合掌。念仏・・・)
濃ゆーいキャラクター達の声が聞こえてきます。私もお近づきになりたい。
長編ではありますが、とても読みやすく、残りの人生についてあれこれ考えさせられます。心に残るフレーズが沢山出てきます。老若男女、全ての人に読んでいただきたい作品です。老いたら迷惑じゃなく面倒かける。いいなこれ。
週末は墓参りに行ってこよう。 -
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人は、ある日を境に得るものより失うものが多くなる。それまで与えられ、または自らの意思で得たものの多くが蒸発するかの如く失われてゆく。それら全てが存在を示す証であって、失う度に心には穴があき、心許なさが募る。失ってしまうのは人との繋がり、心の穴は寂しさ、この過程を老いという。あいた穴の埋め方で老いた時の居場所や居心地が変わるのだが、それは人との繋がりを如何に保って行くかということ。最たるものは血の承継。これだけは何事にも揺らぐことのない、逆に言えば決して断つことのできない、理屈抜きの繋がりなのだ。
「おい、息子。わかったようなこと書いてんじゃねーぞ。」
「やっぱり干物ですよ。水分の抜き方が大切ってことです。」
「あんたね、そんなこと書いてる暇あるなら、他にやることあるでしょ。」
「いや、どうでもいいことなんですけどね。うちの息子なら、もう少し気の利いたことが書けますよ。」
「これでいいの。老いるってね、難しいのよ。」
(合掌。念仏・・・)
濃ゆーいキャラクター達の声が聞こえてきます。私もお近づきになりたい。
長編ではありますが、とても読みやすく、残りの人生についてあれこれ考えさせられます。心に残るフレーズが沢山出てきます。老若男女、全ての人に読んでいただきたい作品です。老いたら迷惑じゃなく面倒かける。いいなこれ。
週末は墓参りに行ってこよう。 -
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とても心が温まるお話だった。ぜひ色んな方に勧めたい作品。
何度も目頭が熱くなって、会社のデスクで泣きながら読んだ小説は初めてかもしれない。
ここからはレビューではなくただの1人語りです。
私の両親は私が小1の頃に離婚している。離婚してからは母親の実家で暮らしていたので、離婚後の父のことは何一つ知らない。養育費すら入れてなかったらしいので、消息不明。生きてるとは思う。今何歳なのかも知らない。あまり父の記憶もない。
いい別れ方をしなかったようで、離婚して25年以上経つがいまだに母の前では父の話はタブーだ。
母からは嫌と言うほど父の悪口を聞かされた。何かと「ここが似ている」と嫌味ぽく言われた子供時代。それがとても嫌だった。
子供の頃からそうやって刷り込まれていたので、父の記憶は無いはずなのに、悪い印象しかない。
父に対する良い印象がない点は、主人公や姉と一緒だなぁと思いながら読んでいた。
フィクションのように結末は丸くおさまらないのはわかってるし、この現状を変えたいとも、変えようとも思わない。
でも、わたしもいつか父を受け入れられるようになるのだろうか。今まで考えたこともなかったことが頭に浮かんだ。
無理してならなくてもいい。でもあの人は私の父親だと言うことはまごうことなき事実なんだよな。そんな当たり前なことを、この作品を読んで初めて気付かされた。
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Posted by ブクログ
工業、ものづくりの現場がわかる本として秀逸。
重松清の確かな文章に支えられて、ものづくりって良いな!と思わせてくれる。
自分も子供の頃、何でも工場でロボットが簡単に作れると思ってたクチなので、大人になって建設現場や工場で人が行う作業の多さにとても驚いた。
工場作業員、現場作業員、と言うと下に見る人たちがいるが、そんなことないんだぞ。めちゃめちゃすごいんだぞ、誰にでも出来ることじゃないんだぞ、君たちが仕事で使うスマホやパソコンや快適なオフィスだって、全部この人たちがいないとできないんだぞ。
もちろん現場作業に伴う危険や労働人口の減少もあり、自動化や無人化が進むことは必然なのだけど、その前段階として人の手による知識や技術の積み重ねがあってこそなのだと、忘れたくないし伝えていきたいと思う。
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