重松清のレビュー一覧
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吃音の「少年」の、飲み込んだ言葉、諦めた言葉、飲み込んだ気持ち、諦めた「伝えたいというコミュニケーション衝動そのもの」、そういった切ない場面が丁寧に温かく描かれて泣けた。
6歳から18歳までの年月を通して、出会い別れたできごとや地域や個性的な人々とのエピソードを通じて、「伝えることを諦めない」少年の成長を感じて、目頭がジーンと熱くなる箇所が何ヶ所もあった。
とくに、「どんぐりのココロ」の酔っ払いのおっちゃん、卒業お別れ会のお芝居の話、鈍感すぎて優しいツッパリのゲルマの話などがどうにも切なく涙がこぼれそうになった。
ちなみに、地の文は少年を「きよしは」と書かずに「少年は」と表現しているのが独 -
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何故人はイジメをするのか?
何故人はイジメられても親に言わないのか?
これは当事者で無いとわからない事なのかなぁ。
ナイフとキャッチボール日和は突如始まる絶望的なゲーム。家庭内に問題は無いのに子供が標的にされ教室の中でゲームは日常化されて参加者達は貪欲だ。そしてどちらも別の場所で起きている事と重ねて合わせる事でエールを送る。彼等や彼女を救う事が出来ずにいる親達もそしてもっともっと傷つき精神的に肉体的に追い詰められていく彼等を浮かび上がらせている点が凄い。
エビスくんは長編小説を読んだ気分になった。私の1番好きな作品である。松重清のあとがきを読んでもわかる様にSに向けた言葉がはみ出た作品だったよ -
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中学生のころ、この短編集の中の「にんじん」という話が国語のテストで出題された。それを機に、読んだ
「にんじん」を初めて読んだのは、高校生のときだが、あのときの嫌な気持ちは覚えているし、最後の工藤の言葉も覚えている。
こんなにも、いじめる側の気持ち、嫌がらせをする人の気持ちを克明に描くのか、しかも短編で。
謎の痛快さを楽しんでいるんだな、という冷静な気持ち。しかし、その代償にいつか罪の意識を背負い続けることになる事実を、「妻の出産」という尊い瞬間に感じるあたり、「嫌だな」と感じた。
そして、これをテストの題材に選んだ先生の意図はあったのだろうかと考えられずにはいられない。 -
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小学五年生の『少年』の視点で見た様々な出来事を追体験できる短編集です。
主人公は小学五年生の『少年』。途中で名前が判明することもあれば、記載がないこともあるけれど、『少年』たちは彼らなりのルールと感性と感情と行動をもって、その一瞬一瞬を生きている。全十七編の短編は、一作一作は短いものの、どれも濃厚に『少年』の姿を描き出す。時に驚くほど鋭く世界を捉えたかと思えば、くだらないことに悩み、自分ではどうしようもない大人の事情で振り回され、自分の気持ちを持て余す――小学四年生までのような子どもではなく、中学生や高校生やそのもっと先のような大人でもない、等身大の『小学五年生』の彼らが見る世界を、垣間 -
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いじめをテーマにした5編からなる短編集。
いじめの描写があまりにリアルで過酷なため、何度も読むのをやめそうになったが、それでも最後まで目を背けずに読み切るべきだと感じた。
いじめという重く深刻なテーマを扱うにあたっては、安易にぼかすのではなく、このくらいの重さがむしろ適切なのかもしれない。
各短編ごとに視点が変わり、いじめを受ける本人だけでなく、苦しむ父親や見守る幼馴染など、立場の異なる人物たちの目を通してその実態が描かれる。それぞれの視点にリアリティがあり、多面的な痛みと向き合う構成になっている。
すべての物語がスッキリと終わるわけではなく、かすかな希望が見えつつも、根本的な解決には至ら
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