重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小学五年生の『少年』の視点で見た様々な出来事を追体験できる短編集です。
主人公は小学五年生の『少年』。途中で名前が判明することもあれば、記載がないこともあるけれど、『少年』たちは彼らなりのルールと感性と感情と行動をもって、その一瞬一瞬を生きている。全十七編の短編は、一作一作は短いものの、どれも濃厚に『少年』の姿を描き出す。時に驚くほど鋭く世界を捉えたかと思えば、くだらないことに悩み、自分ではどうしようもない大人の事情で振り回され、自分の気持ちを持て余す――小学四年生までのような子どもではなく、中学生や高校生やそのもっと先のような大人でもない、等身大の『小学五年生』の彼らが見る世界を、垣間 -
Posted by ブクログ
いじめをテーマにした5編からなる短編集。
いじめの描写があまりにリアルで過酷なため、何度も読むのをやめそうになったが、それでも最後まで目を背けずに読み切るべきだと感じた。
いじめという重く深刻なテーマを扱うにあたっては、安易にぼかすのではなく、このくらいの重さがむしろ適切なのかもしれない。
各短編ごとに視点が変わり、いじめを受ける本人だけでなく、苦しむ父親や見守る幼馴染など、立場の異なる人物たちの目を通してその実態が描かれる。それぞれの視点にリアリティがあり、多面的な痛みと向き合う構成になっている。
すべての物語がスッキリと終わるわけではなく、かすかな希望が見えつつも、根本的な解決には至ら -
Posted by ブクログ
ネタバレ交通事故で足が不自由な恵美とその友だちの生まれつき身体の弱い由香、恵美の弟のブンを中心に、それぞれの周りの「友だち」で悩む人たちに焦点を当てたそれぞれの物語の連作短編集。
最初は小学生から始まり、中学生、大人へと時間が進んでいく形になっており、年齢が進むにつれ、児童小説からティーン小説に変わっていくのが読んでいて面白かった。
視点が恵美の結婚相手となるルポライターとなっているため、子育て日記を読んでいるような少し俯瞰気味な視点となっていた。そのため、感情移入はするものの、どこか昔の遠い話のような雰囲気が常に漂っており、歴史の教科書を読んでいるように感じた。また、恵美のやや冷たいともとれる
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