重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すごい小説だった。
妻を亡くし、子供を立派に育て上げた愛すべき「ザ・昭和の男」ヤス。涙なしに読めない。
個人的に刺さった箇所は2つ。
・保育園で母の写真を友達に破かれたアキラ。それに対して暴力で抗ったアキラ。そして、ケガをした我が子を抱きしめる母親。その姿を見て大泣きしたアキラ。幼い子にとって抱きしめてくれる母がいない苦しさ、悲しさ、寂しさ、虚無感、絶望を突きつけられる瞬間だった。忘れられないシーン。
・海雲和尚の手。母のいないアキラをみんなで支えているのだと、背中を温める海雲和尚。その人柄の温かさと、別れ際に会えないアキラの思春期の葛藤がもどかしい。
読後に見た映画も再現性が高く、また -
Posted by ブクログ
ネタバレ先生目線、生徒目線の話があり、先生もの立場や考え方が違って読みやすかった。
「ドロップスは神様の涙」では厳しいヒデコ先生が女の子を1番想っていてくれてほっこり。
「にんじん」では過去ににんじんを嫌っていたことをずっと忘れられずに辛い思いをしていた先生が「先生」になったにんじんに会うことで前を向くことができてよかったなと。にんじんも6年のときに先生に出会ったことで先生よりも良い先生になれたのだと思った。「泣くな赤鬼」では先生っていつまで私たちの先生なのかなと考えさせられ1番感動した。
私の先生はどんな想いで「先生」をやっているのだろう -
Posted by ブクログ
TVerでドラマをやっていたので、読んでみようとおもって。(ドラマはみていません)
親子の確執と、人生の見つめ直し。
私も父にはあまりよい思いは持っていない。
思い返すなら今では信じられないような言葉も投げられた。
それは考え方の違い、わかりあえることのない考え方に、そしてもう人生の終わりが見えているにもかかわらずおやじの威厳を、マウントを取りたいという気持ちが背景にある。私も子を持つ親として、そのような父にはなりたくない。自分への戒めも含め、改めてそうおもった。
親は自分の命に代えてでも、子を守りたい。そして子の幸せを願う。
だからこそ、勢いをつけて国が、自然が、環境が壊れていく今この日 -
Posted by ブクログ
小説『とんび』は、昭和の時代を背景に、不器用ながらも深い親子の愛を描いた物語である。主人公のヤスは頑固で融通が利かないが、家族を誰よりも大切に思う情の厚い人間だ。そんな父のもとで育ったアキラは、周囲の人々の温かい支えを受けながら、まっすぐに成長していく。
特に心に残ったのは、母の死をめぐる場面である。事故のきっかけは幼いアキラにあったが、息子に罪の意識を背負わせたくないという強い思いから自分のせいだと嘘をついた。そこにヤスの不器用でありながらも深い愛情を感じた。もし自分が同じ立場なら、同じ選択ができただろうかと考えさせられた。
また、アキラが進路や結婚について父に報告する場面も印象的だった -
Posted by ブクログ
ひとを責める言葉には二種類ある。
“ナイフの言葉” と “十字架の言葉”。
“ナイフの言葉”は胸に突き刺さる。刺された時にいちばん痛いのは刺された瞬間。
“十字架の言葉”は背負わなくちゃいけない。それを背負ったまま ずうっと歩く。どんどん重くなってきても降ろすことなんてできないし 足を止めることもできない。生きている限り その言葉を背負いつづけなきゃいけない ─。
中学二年の九月四日 同じクラスの藤井俊介(フジシュン)が自殺した。原因は
いじめだった。 彼は遺書を残した。
そこには四人の名前があった。
親友になってくれてありがとう。と書かれた僕(真田 裕)。いじめたグループの中心にいた三 -
Posted by ブクログ
いじめによって自殺に追い込まれたフジシュンという中学二年生が最後に書いた遺書には、親友として「僕」の名前が書かれていた。しかし実際には「僕」は親友だとは思っていなかった。それどころかいじめを見て見ぬふりをして彼を死なせてしまった傍観者であった。というところから始まる話。フジシュンの遺族と彼の遺書に名前の書かれた者たちが彼の死をめぐってそれぞれに十字架を背負っていく。
とても苦しく考えさせられる話であった。特に遺族の気持ちを考えるとたまらなかった。私も若くして病気で兄を亡くしているから、子を亡くした両親の気持ちを痛いほど想像させられたし、当時の表情もありありと蘇ってくる。重松さんの書く遺族の心
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