重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ちょうどいいタイミングで読んだからだと思うけど、泣きそうになった。
いわゆる「負け組」を優しく、緩やかに描写した短編作品が5つ。
最終的には結局、何も解決しないんだけど、逆にそこがいいと思う。
当初、短編集には抵抗があったんだけど、すぐ入り込んでしまった。
これ読むと、自分が誰かに勝ったとか負けたとか、深層心理でどれだけ意識しているかよく分かる。
人生、絶対勝ちっぱなしというワケにはいかない。歯ぎしりするほど悔しかったり、一回負けるともう這い上がれなかったりすることがきっとあると思う。
そんなとき、もう一度この本を開きたいと思う。
個人的には誰かに薦めたい。 -
Posted by ブクログ
重松氏は、重いテーマを「どこにでもある大問題」として描くのが大変に上手い作家さんだと思います。
だから、「うっぜー鬱小説」とか、「あるある日常小説」とか、そう思って自分から切り離すことができない。
感じるのは、一般常識としての痛みでなく、自分の中に確実に存在する痛み。かつて経験したことのある痛み、もしくは予期不安のような痛み。
彼は、かようにして、読み手に大きなストレスを与える、迷惑極まりない作家さんです。
本作は特に、後味のあまりよろしくない作品が詰まっているので(「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」収録)、重松作品初挑戦のかたは、『ビタミンF』か、少なくとも『ナイフ』辺りから読み始め -
Posted by ブクログ
中学2年生の男子中学生、エイジの街(桜ヶ丘ニュータウン)では連続通り魔事件が頻発していた。
バスケ部をやめざるを得なくなったエイジは、誕生日のプレゼントにエレキギターを頼んだ。
親を喜ばせるためにほしくもないけどギターを選んだ。
買ってくれたのはハミングバードというアコースティックギター。
父親の大好きなサザンが似合うギターだ。
子供と大人の狭間の年代。
心身の変化に敏感になる危うい年代。
感性が研ぎ澄まされて感じやすい年代。
そんな中学二年生の「少年」たちの物語です。
日本には
これから中学生になる人と、
今、中学生の人、
昔、中学生だった人の
3種類の人しかいない。
つまり、この -
Posted by ブクログ
すごい小説だった。
妻を亡くし、子供を立派に育て上げた愛すべき「ザ・昭和の男」ヤス。涙なしに読めない。
個人的に刺さった箇所は2つ。
・保育園で母の写真を友達に破かれたアキラ。それに対して暴力で抗ったアキラ。そして、ケガをした我が子を抱きしめる母親。その姿を見て大泣きしたアキラ。幼い子にとって抱きしめてくれる母がいない苦しさ、悲しさ、寂しさ、虚無感、絶望を突きつけられる瞬間だった。忘れられないシーン。
・海雲和尚の手。母のいないアキラをみんなで支えているのだと、背中を温める海雲和尚。その人柄の温かさと、別れ際に会えないアキラの思春期の葛藤がもどかしい。
読後に見た映画も再現性が高く、また
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