【感想・ネタバレ】口笛吹いてのレビュー

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Posted by ブクログ 2011年05月16日

解説で嘉門達夫さんが言っていた通り、重松清は弱者を描くのが上手いですね。
五話収録の短編集ですがどれも世間的に言われる「負け組」「しがない中年」がメインテーマです。が、主人公ではありません。
しがない中年の負け組みおっさんたちは淡々と日々を過ごし、それを眺める周りが主人公です。
多分誰もが一度は思う...続きを読むであろう、「このおっさん、定年間近なのに役職なしで生きてて楽しいのかな」とか「この人まじで存在感無い。家族とか大丈夫かな」とか、そんな視点で話は進みます。
代表作、「口笛吹いて」では少年時代のヒーローが暗く卑屈な営業マンに成り下がった様を発見した幼馴染が、「タンタン」は生徒にまで無視される高校教師、「かたつむりの疾走」は子会社に下ろされてなお背広を着て通う親父と息子の葛藤・・・
本当に日常的で、誰もが一度は思うであろう卑屈な見下しとか、他人に対する期待や希望と現実のギャップとか、ウ~ンとうなる、上手い話です。
とくに「タンタン」と「かたつむり」は若いうちに読んでほしい!まだ本当の社会の姿を知らなかった高校生の純粋な気持ちを忘れないうちに、「社会」や「大人」に反発しながらも一方で期待を寄せて甘えていたあの時代を忘れないうちに!!
その気持ちを頭に残して、と情けない大人を見たときの何ともいえないがっかり感が思い描ければ、いっそう楽しめるかと。

残りの二話はそういう人生に詰まってしまった大人が主人公です。
ただ、学生気分が抜けないからでしょうか、人生に躓いたことがまだないからでしょうか、「タンタン」と「かたつむり」が一番印象に残りました。

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Posted by ブクログ 2010年08月08日

ちょうどいいタイミングで読んだからだと思うけど、泣きそうになった。

いわゆる「負け組」を優しく、緩やかに描写した短編作品が5つ。
最終的には結局、何も解決しないんだけど、逆にそこがいいと思う。

当初、短編集には抵抗があったんだけど、すぐ入り込んでしまった。

これ読むと、自分が誰かに勝ったとか負...続きを読むけたとか、深層心理でどれだけ意識しているかよく分かる。

人生、絶対勝ちっぱなしというワケにはいかない。歯ぎしりするほど悔しかったり、一回負けるともう這い上がれなかったりすることがきっとあると思う。

そんなとき、もう一度この本を開きたいと思う。

個人的には誰かに薦めたい。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

この人は、おじさんを書かせたら日本一なんじゃないかと思う。


んで、少年少女を書かせたら、ほんわかするおじさんと子供の交流を書かせたら、もしかして世界一かも。



おとうさんに、いつかおとうさんになる人に、そうしておとうさんの娘だった、息子だったあなたのために。
珠玉の逸品。


重松作品の中で...続きを読むは流星ワゴンの次に、好きかも。

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Posted by ブクログ 2017年01月09日

この本は、題名の1編を含む、全5編からなる短編集です。

重松清さんの作品は、僕が読んだほとんどが、家族、親子、学校・・・と誰にでもある身近なことを題材としていて、現代社会の問題、親子の問題、人の心の問題などを考えさせられてしまいます。しかし、これが難しいかと言えば、全然難しくなく読みやすいんです!...続きを読むほんとうにスラスラ読める文体になっています。

僕は、この短編集の中では特に、リストラされ小さな子会社に通うようになった父親とその高校生の息子の話、「かたつむりの失踪」が心に残りました。

この本、おすすめです。

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Posted by ブクログ 2017年11月08日

どこかのHPで「かっこ悪い中年像」を描く重松さんというような発言を見ました。確かにそうだけど、同世代の私から見れば、格好悪いというより「けなげ」という感じがします。
「かたつむり疾走」の父親にしても、スーツ姿に固執するわけではなく、なんとなく照れくささもあって最初から作業着になれないだけでして。。...続きを読む。。
そんな父親が偶然とはいえ、彼女の危機を救おうとして、逆にボコボコにされるのですが、それも決してかっこ悪くは無くて。。。。
何はともあれ、この作品では高校生の子供が、なんとなく父親を理解してくれてる感じが良くて、とても救われます。
それにしても、子供の視点から見た普通の大人を描くのが美味い作家さんです。

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Posted by ブクログ 2014年07月26日

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家族の葛藤、そこで生きるボク、キミ、アナタの揺れ動く感情表現は著者独特。決して救われないが、なんとなくほっこりする短編集。

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Posted by ブクログ 2012年04月19日

どの物語も上手くいかない日々をリアルに描いている。

その分、登場人物達により感情移入しやすくなっている。

じんわり染み込む作品。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年04月15日

いわゆる「負け組」の話。挫折した少年の頃のヒーロー、挫折した熱血教師、リストラされた父親、哀しみを背負った教師、離婚寸前の夫婦・・・どの話も、年齢的には自分に近いので感情移入しやすいし、自分もどうなることか。読んでるうちに心が沈んでいく。どの話もラストは結局救われないが、希望はある。

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Posted by ブクログ 2011年11月28日

なんだろう、こんなこと僕の人生の中でなかったことなのになにか懐かしい重松作品。解説で嘉門達夫がいいこと言ってたなぁ~。
重松作品は自分が歩んできたことの確認作業だ、的なこと。まさにその通りで僕もそう、必ずしもハッピーエンドじゃ終わらないどころか終わった後もかなりの余韻が残る。
僕も今まで起こった...続きを読むこととこれから起こり得ることを一つ一つこれからも確認していこうと思う。重松清を読んで。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年09月30日

巻末の言葉を引用すると

家庭に職場に重荷を抱え、もう若くない日々を必死に生きる人々を描く五篇を収録。さりげない日常の中に人生の苦さをにじませる著者会心の作品集。
とのことです。

重松氏の本は対象の年齢がはっきりとしています。
特に小学生や中年を対象にした作品に惹かれます。
志水辰男氏のような叙情...続きを読む的な表現ではないのですが、文章がとても基本に忠実で素直に読めます。
短編集なので少し物足りなさも感じますが、とても共感が持てる本でした。

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Posted by ブクログ 2011年07月14日

5作品からなる、中編集。

今回は、絶対これがお気に入り!!
みたいなのはなかったけど。。

やっぱり、読んでよかったなぁ。
心が落ち着いたなぁ。
何か勉強になったなぁ。

と必ず思わせてくれる、重松さんの作品。


『タンタン』『かたつむり疾走』に出てくる、高校生。
ほんとにいい子...続きを読むだなぁ。

悩みながら、
それでもボーダーラインはわかってる。

そんな若者が増えればいいよね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年06月25日

重松清の本は、ほろ苦い小さな日常が詰め込まれてる。
不器用なひと、家族、中年のオジサン、そこに小さな希望がのぞいたりする。

振り返ってみると、救いようがないようなラストはほとんどない。そこが作者の優しさなのか、ねらいなのか・・。

そんな物語を期待して、また一冊手にとってしまう。この一冊も期待を裏...続きを読む切らない。

「春になれば」・・・ちょっとなきそうになる。非常勤教師に復帰した主婦と問題児?のおはなし。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

少年時代ヒーローだったサラリーマン、熱血教師だった先生、落ちていく父親、問題を抱える生徒、離婚寸前の夫婦…。どれも読んでいて痛かったです。自分をまっすぐに保つのは難しい。自分に置き換えてみる。私は何もしていないじゃないか。環境に関わらず、読む人全てが自分に問いかけたくなるような内容ではないかと思う。

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Posted by ブクログ 2022年06月12日

読んでいて分からなかったけどなにかに負けたことについて書かれた本だったのか。
子供はみんな負けることに関して、かなり否定的だけど大人になったら負けることが必ずしも悪いことではないのだと思うよね。勝ち続ける人生なんてないんだから。

たち悪い小学生と先生の話は重いけど印象的だった。

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Posted by ブクログ 2021年11月16日

【読み終わって感じたこと】
人生の何かに「負け」た人達を描いた短編集。みんな悩みや問題を抱えていて、何が正解かはわからないけれど、一筋の光に希望を抱いて、懸命に生きていくしかない。そんな風に思わせてくれる本。

【印象に残ったシーン】
『春になれば』で、先生が笑ってレオくんに抱きつく場面。どんなに酷...続きを読むいことをされても、不安定なコドモを全力で受け入れ、愛していきたいと決意する姿に、私はとても感動した。

【好きなセリフ】
「高見沢レオって、ぜーったいにカッコいいからね」
先生がレオくんに「新しい環境でも必ず前を向いて生きていけるよ」と伝えるこのセリフは、私の心に大きく響いた。レオくんはきっとこのセリフをいつになっても思い出して、心の支えにするんだろうなと思った。

【こういう人におすすめ】
・重松清の作品が好きな人
・人生のどこかでつまづいた経験がある人
・前向きな気持ちになりたい人

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Posted by ブクログ 2017年01月31日

人生の何かに「負け」た人達を描く短編集。

読むほどに切なくなるおハナシたちなのだが、何故か読むのをやめたくない…。

決して、いや、全く、、、、最後にナニか救いがあるわけでもなんでもないのに、でもなんとなくじんわりと、前向きになれる、そんな作品たち。

「カタツムリ失踪」のお父さん、格好良いでしょ...続きを読む

「春になれば」は、テレビドラマにでもできそう。

★3つ、7ポイント。
2017.01.30.図。

※重松清が好んで描く主人公たちが、いつのまにか同世代になっていた。間もなく追い抜いてしまうくらいに。。。

自分じゃまだまだ若いつもりなのだけれど、世間一般から見たらやっぱり“中年”の域に入ってしまったのだなぁと、哀しい現実を再認識(苦笑)。

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Posted by ブクログ 2015年08月06日

日常のちょっとした苦難。
解決方法に正解があるわけじゃなくて、でも乗り越えなけらばならない事ってある。
そんな短編集。

あんまりスッキリしなくてちょっと疲れちゃった。
今の私には上手く流せなくて、胃が痛くなっちゃう。

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ひとは誰だって昔と同じとい...続きを読むうわけにはいかない。
だが、百パーセント変わってしまえるわけでもない。
残しておきたいところが消えうせて、変えたいところがどうしても残ってしまう、きっとそういうものなのだろう。

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Posted by ブクログ 2014年02月09日

嘉門達夫が解説を書いてたのでビックリした!

父親がリストラされたらどうかなあ〜息子だったら、自分の将来を考えて仕事を続けて欲しいと思うんじゃないかな〜
何か納得できない…

夫婦の話は、まあ実際そんなもんなんだろうと思う。
お互い何を考えてるか実は分からないけど…

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Posted by ブクログ 2013年02月24日

悲しくも寂しくもあるけど
最後にはほやっとさせてくれる家族の話達。

ウチは普通って思ってても、
ふつうにもいろいろあるな。
離婚も再婚もふつうな時代だし。

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Posted by ブクログ 2012年12月22日

今作も重松さんらしい作品だった。登場 人物たちは誰も劇的な変化はしない。気 持ちや考え方の切り替えひとつで現状は かわらないのに登場人物たちと一緒に前 向きになる作品。

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Posted by ブクログ 2012年05月01日

過去の英雄、過去の栄光。変哲もない今を生きる上で、それらのものがどう影響するのか・・・同じような年代を生きている自分と重ね合わせてしまう。結論をつけるのを急ぐのはよくないことと分かってはいるものの、どうやって生きていけばいいのか、よくは見えないのかも。

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Posted by ブクログ 2012年03月07日

何か大事なものを喪失した時、人は動揺し不器用にごまかしながらも歩んでいく。切ないねぇ。
「春になれば」に涙。

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Posted by ブクログ 2009年10月12日

「口笛吹いて」高校野球で挫折を体験した晋一の物語。
「タンタン」 熱血教師を挫折した先生の物語。
「かたつむり疾走」リストラされた親父を見守る高校生の息子         が親父の行動を追跡する。
「春になれば」産休代理教師とレオ君の物語。
「グッドラック」 大学の同級生夫婦の共稼ぎでの様々な問題 ...続きを読む        を含んだ作品。

 確かにどの作品も重松作品の真骨頂でいわゆる負け組にスポットを当てている。でも負け組・勝ち組ってことばに反応しやすくなってしまっていることが自分の生を評価しているんでしょう。50すぎるとそんなことばかり気になってしまい、中味を問わなくなってしまう。おーー嘆かわし。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

重松清の小説はどれもダークだなぁ。リストラ、いじめ、離婚が決まり事のようにたくさん出てくる。でもこういったものは現代において特に多発しなおかつ深刻になっている問題でもあるんだろうなぁ。だからこそ読みながら何回も「…リアルやぁ。」って思っちゃう。「重松清=ダーク」こんな方程式が僕の中で出来上がりつつあ...続きを読むる。

最近は小説ばっか読んでるんでそろそろ専門書に着手するとしますかー!!

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Posted by ブクログ 2011年09月25日

30代後半〜40ぐらいの男女が主役の短編集。久々の重松作品。最近警察ものばかり乱読していたので、ちょっとギャップが・・・。解説の嘉門さんが、いい味出してます。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

久々に重松清の本が読みたくなって読んだ本。
望郷もの(ってか少年時代の憧れの人との再会)1編、家族もの2.5編、教師もの1.5編と、
作者らしいラインナップ。こんなジャンル分けをするのが馬鹿らしくなるほど「重松清もの」というジャンルが確立しているような気がしたりしなかったり。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

短編が5つほど入っています。。
すべて違う話なんですが、そこに登場してくる人はみんなどこか似ていて、
今の日本にどれだけこーゆー人がいるだろうと感じました。。

読み終わると心がすっきりと洗われた気分もなるので、もやもやしてるときに読み返したくなる本です♪

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

【内 容】
この苦さを知ることが大人になることなのか……
子供のころのヒーローに二十六年ぶりに会ってみたら……。
切なくほろ苦い大人の邂逅を描いた表題作他、現代を見事に活写する四篇

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

「タンタン」

私のファーストキスはなんて投げやりで、なんてあっけないものだっただろう。
こんなに気まずくなるならキスなんてしなければ良かったんだ。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

偶然再会した少年の頃のヒーローは、その後、負けつづけの人生を歩んでいた。もう一度、口笛の吹き方を教えてくれたあの頃のように胸を張って笑って欲しい―。
現実の厳しさを噛み締めながら、それでも前向きに生きてみようと思える本。

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