重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
9月4日のオリックス・バファローズ戦は延長12回に入り、午後5時20分を過ぎていた。突然の豪雨による中断も重なって、当初予定していた新千歳への最終便搭乗を断念することが決まった。新しい行程は翌日、旭川への直接移動だった。
伊丹を発ち、経由地となった羽田。乗り継ぎまでの時間をつぶすために搭乗ゲート付近の売店で何気なく文庫本が並んだ棚を眺めていたとき、一冊の分厚い本が目に入った。手に取った。600ページを超えていた。しかし、直感した。
「これはいま読まないと後悔する」
一気に読んだ。この時代に我々が野球人たりえる理由は何か。モチーフとなった広島球団、そして広島そのものの歴史、また登場人物たちの想い -
Posted by ブクログ
知人が朗読劇で「あじさい、揺れて」を上演すると聞き、興味を持って読み始めた。
途中であとがきを読んでしまったのだが、「四季の中で、夏ほど終わりの似合う季節はない」と著者は書く。なるほど、今まで意識しなかったが、お盆も終戦記念日も、華々しく始まるくせに終わるときには物悲しさを感じさせる高校野球も夏だ。
そのせいか、死や別れテーマにした作品が多い。
電車の中で読むのは控えたい。
「終わりの後の始まりの前に」
高校野球が舞台となっているせいか、ちょっと感情移入しにくかったが、「終わりの後の始まりの前」というタイトルの世界観は秀逸。
あとがきで著者は、意図せず書いたこれらの作品群を、文庫としてまと -
Posted by ブクログ
電車の中で読んじゃダメだった。
涙が滲んで、何度も心を落ち着かせるために本を閉じてた。
短編集。
どの物語も、喉の奥がひゅっと痛い。
友人や身内の死が出てくる話では、父を癌で亡くした自分を重ね合わせてるのかなぁ。
「タカシ丸」は、まさに父親が癌で命を落とそうとしてる物語。
家族を遺して逝ってしまう父の寂しさ、無念さ…を我が父に重ね合わせ。
最期の時間を過ごし、父との記憶を作れた雅也。感情のままに声を上げて泣くことができたことが何よりの幸せかな。
重松さんの物語は心をきゅっとされるけど、「あぁ、私の中のわだかまりってこういうことなんだ」とある意味すっきりする泣き方ができる。
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