重松清のレビュー一覧
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この巻でシュウジのものがたりは『完結』するんですけれど、これを読んで僕はもう6年近くが経つわけですが、いまだに彼のたどった『生』を強く考えている自分がいて、少なからず驚きを感じております。
この本の最初で、アカネによって女を知ったシュウジは自分が生まれ育った街を出て、大阪でアカネの夫であるヤクザの新田に陵辱を受け、アカネが新田を殺して、シュウジは東京に出ます。
そして彼がもぐりこんだのが、(具体的な地名は書いていないがおそらく多摩ニュータウン)の新聞販売店でした。
僕はかつて、新聞の世界、及びあの界隈で仕事をしていたことがあるだけに、所長の人物像や同居人の「トクさん」のことや、シ -
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15歳の少年かがどった過酷な人生です。初めてこの本を読んだときには、あまりのショックで2,3日ほど何も出来なくなりました。
僕の中で、今の今まで消化できていない物語があって、本当はこうして書くだけでも気が重いのだけれども、がんばってキーを叩きます。それがこの重松清の「疾走」です。僕はこの物語を最初に読んだのは、就職が決まって荷物を新しい住所に送って何もなくなった部屋の中でした。
読み終えた直後、そのあまりのショックでしばらくの間、何もすることが出来ませんでした。主人公のシュウジが
「ねぇ、どうしてにんげんは死ぬの?」
という問いがすごく印象的で、
主人公のシュウジに対して「おまえ -
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大好きな小説。重松さんの作品ではもっとも好きな作品。きみの考え方、世界の見え方をもっとよく知りたくて、そして妙に魅力的で、惹かれていきます。恋する気分で読んじゃいました。
面白かったんだけど、なかなか感想が難しい。
かっこいい子もわるい子も、それぞれが主人公になって…。
うーん、そうじゃねぇなぁ。
恵美ちゃんという子が第一章の主人公なんですが、
その彼女とかかわりのある子たちがそのあとの物語を紡いでいきます。
連作長編というスタイル。
恵美ちゃんは足が不自由で、それのきっかけになった交通事故がもとで
それまでの友だちづきあいができなくなるんです。
そこで、友だちというものに対する感覚が一段深 -
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そう、なんだよね。
だけど やっぱりわたしは 城くんは好きになれない。
でも 人はいつでも 死ねる。
じゃあさ どうして自殺がダメなんだって 尋ねても 誰も答えられないんだよね。だけど ダメって言うのは 結局「自分」が嫌だからなんだ
周りで自殺されると迷惑だし 悲しいってのもあるし なんか 報われないから、だから 「ダメ」なんだろうね
迷惑なんだよね、自殺って。いいんじゃないの
そういう利己的な理由で留めて何がいけないの
それが 人間じゃないのかね
でも どうしても死にたいって思って死んでいく人がいてもいいと思う
「生きたくても生きれない人がいる」って言うけど
きっと自殺していく人らも -
Posted by ブクログ
解説で嘉門達夫さんが言っていた通り、重松清は弱者を描くのが上手いですね。
五話収録の短編集ですがどれも世間的に言われる「負け組」「しがない中年」がメインテーマです。が、主人公ではありません。
しがない中年の負け組みおっさんたちは淡々と日々を過ごし、それを眺める周りが主人公です。
多分誰もが一度は思うであろう、「このおっさん、定年間近なのに役職なしで生きてて楽しいのかな」とか「この人まじで存在感無い。家族とか大丈夫かな」とか、そんな視点で話は進みます。
代表作、「口笛吹いて」では少年時代のヒーローが暗く卑屈な営業マンに成り下がった様を発見した幼馴染が、「タンタン」は生徒にまで無視される高校教師、
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