あらすじ
わたしの大好きなおじいちゃんは、無口だけど、いつもニコニコ笑っています。今日は、そんなおじいちゃんの、とても大切な一日だっていう。いったい、何の日なんだろう…。すべての人に受け継がれる「明日」。それを、「希望」と呼ぶための物語。
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小学生向け「働く」本を探して。これは良書!
絵本サイズですが、内容は普通の小説短編くらいの字のサイズと分量です。小学校の中・高学年から読めるかな。
挿絵も大きくて工場の機械類に温かみを感じる優しさがあります。
新しいゲーム機を買ってもらうために「ゲーム機が壊れた」と嘘をついたエリカは、両親に言われておじいちゃんが働く工場に行くことになった。
おじいちゃんの働いている工場では機械を作るための機械の「工作機械」を作っているんだって。
エリカは「工場」といったら煙がもくもく…のようなものだと思っていた。でも工場長さんに案内された工場は思っていたものとは違っていた。周囲の環境や、働く人たちの快適を考えて建てられ、繊細な機械のための地震対策、床は完全な水平、温度は一年中23度を保っているって教えてくれた。扱う機械の温度が1度違ったら、サイズが1ミリ違ったら、正しく動かすことができなくなってしまう。
エリカは、工場で働いている人たちが命がないはずの機械に愛情を持って接している姿を見る。
そしておじいちゃんの仕事。
おじいちゃんは、金属の表面を削って平らにする「キサゲ」(キサゲは工具の名前)をしているらしい。
機械が削ってもできてしまう髪の毛よりも細かいデコボコを人間が平らにするの!?驚くエリカに「結局最後の最後は人間なんだよ。人間の手による技術で、おじいちゃんはその技術があるから工場のみんなから尊敬されているんだ。そしておじいちゃんの技術を受け継ごうと毎日励んでいるんだよ」と工場長が言う。
すごい!働くって人の役に立つことなんだ。だからあんなに楽しそうなんだ。みんなでなにかを作る人達は仲間なんだ。
エリカは働く人たちのことも、機械や機械で作られたモノたちのことも身近に感じるのでした。
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定年をむかえるおじいちゃんの最後の勤務日に一緒に工場にいき、おじいちゃんの仕事ぶりをみます。
おじいちゃんのプロの仕事をみて孫が深く感動する様子に心うたれました。
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働く祖父の姿、親父の姿を見るチャンスって少なくなったなぁと感じる。世の中が変わり、機械化、オートメーション化されて、匠の大きな背中に命を感じ,魂を感じ、尊敬を抱く時が…。
物の大切さ、物作りの大変さとやりがいと誇り、それはまた「明日」に受け継がれるべきものであり、未来への「希望」であるのだと、おじいちゃんの大切な一日を通して語ってくれる。
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奇跡の重松さんとはまのゆかさんのコラボ作品!
はかのゆかさんの絵によって
いつも文字だけ読んでいる重松さんの文章に
温もりをかんじるような
そんな気がした。
すばらしい!!
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おじいちゃんが定年退職の日に、エリカちゃんはおじいちゃんの仕事場に連れて行ってもらい仕事をしている姿を見る。おじいちゃんのいつもの優しい姿とは違う真剣でおっかないほどの迫力ある姿を見て、そして心に想うこととは。巻末の刊行にあたってを見てびっくり。本来はある工作機械メーカーの社員さんとその家族さん向けの配布用に作った本であったこと、刊行した理由は3.11の後に何かできないかと考え、この本を刊行することで印税を全て将来にわたって全額あしなが育英会に募金することにしたということでした。この本の絵を描かれたはまのゆかさんの印税も含めてと言うことなので、お二人と私的にこの本を作成された工作機械メーカーさん(メーカー名はあかさないと言う条件で)も素晴らしいと思いました。
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工業、ものづくりの現場がわかる本として秀逸。
重松清の確かな文章に支えられて、ものづくりって良いな!と思わせてくれる。
自分も子供の頃、何でも工場でロボットが簡単に作れると思ってたクチなので、大人になって建設現場や工場で人が行う作業の多さにとても驚いた。
工場作業員、現場作業員、と言うと下に見る人たちがいるが、そんなことないんだぞ。めちゃめちゃすごいんだぞ、誰にでも出来ることじゃないんだぞ、君たちが仕事で使うスマホやパソコンや快適なオフィスだって、全部この人たちがいないとできないんだぞ。
もちろん現場作業に伴う危険や労働人口の減少もあり、自動化や無人化が進むことは必然なのだけど、その前段階として人の手による知識や技術の積み重ねがあってこそなのだと、忘れたくないし伝えていきたいと思う。
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おじいちゃんの大切な一日
新しいゲーム機が欲しくて、「いまのゲーム機が壊れた」と、嘘をついたエリカちゃん。お父さんに叱られたあげく、「明日、おじいちゃんとおばあちゃんのところに泊まりに行ってきなさい」と命じられる。どっちみち、あさってはみんなで泊まりに行くはずだったのに、私だけ先になぜ?・・・。着いた翌日、おじいちゃんの働く工場を見せてもらうことになったエリカちゃん。でも、その日は、「おじいちゃんの大切な一日」でした・・・。モノ作りを通して伝わる思い。親と子、人と人の繋がりを感じさせる優しい物語です。
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選書して「この作品、よかった」って言ってもらえると凄く嬉しい。
今日はこの本で2人、泣かせました(笑)。
うちの機械科全員に読ませたい。
まずは先生からかな。
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【おじいちゃんの大切な一日】 重松清さん
新しいゲームが欲しくて、「今もっているゲームが
壊れちゃった」と嘘をついたエリカちゃん。
だけど、そんな嘘お母さんにはすぐにばれる。
こってりと叱られた。
普段は怒るコトのないお父さんにも叱られた。
お父さんは寂しそうに叱った。
お父さんがわたしを叱った理由は嘘をついたこと
だけじゃないんだ。
翌日、お父さんに言われて、わたしはおじいちゃん
の家に泊まりに行った。
おじいちゃんは工場のキサゲ職人だった。
今日で六十歳になるおじいちゃん。
定年を迎えるおじいちゃんの最後の一日、わたしは
おじいちゃんに連れられて一緒に工場に行ったんだ。
「モノ」が造られていく過程を見て、わたしたちが普段
何気なく使っている「モノ」が、職人さんたちがどういう
思いを込めて造っていくかを初めて知った。
おじいちゃんの想い。お父さんの想い。
今まで気づくことも、考えることすらなかった多くの人たち
の「モノ」に対する想いがわたしの心の中にしみ込んできた。
☆
絵本です。元々はある工作機械メーカーの依頼で、
社員とその家族に配られるために作られた物語で、
店頭に並ぶ予定の無い本だったそうです。
「あとがき」にこの本が出版されるコト
になった経緯が書かれてます。
とてもいいお話でした。
重松さんの作られる物語は読みやすくていいです。(^^)/
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元々はマザー・マシンを作る会社(牧野フライス製作所らしい)内で配布するために作られた、物作りの大切さを教えるための絵本だったのですが、この度の震災で被害に遭った子供達の力に少しでもなればと、重松が提案して一般販売される事になった1冊。作者達の印税は全て日本育英会に寄付されるそうです。「コンピュータ万能」と思い込んでいた自分の目の鱗を落としてくれた1冊にもなりました。
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子どもに物を作るということを考えほしいと思った父親が、小学5年生の娘を祖父の働く工場を見学させるお話です
一般に売り出す予定ではなかったこの作品は、印税が全て足なが育英基金に寄附さているそうです
児童書にしては字が小さいかなぁ…
Posted by ブクログ
ある企業の社内向けに描かれたという本。見かけは絵本ですが、そのわりには読み応えもあり、定年を迎えるおじいちゃんの最後の工場で働くところを孫が見学に行くという設定で、心にじんわりと響くいいお話でした。内容は高学年向きなのに、絵本の形なので、紹介しづらい。ただ、塾に行っている子は、問題として良く取り上げられる重松清を読みたがるので、読むかもしれません。
Posted by ブクログ
小学生向けの児童書だが、この3月の東日本大震災がなければ世に出なかったものと聞く。(詳細はあとがきに詳しい、、、)
お話は、小学5年生の女の子・エリカが、父親に言われておじいいちゃんのお家を一人で訪問するところから始まる。父親・母親より一日早く送り出された訳は、翌日早くにおじいちゃんと一緒に会社へ出かけるためだった、、、
その日、定年を迎える工場労働者のおじいちゃんの職場訪問で、エリカが発見するさまざまな気付きがお話のポイント。ロボットやどんな精密機械でも、仕上げの最後の最後の部分では、五感を駆使した人間の研ぎ澄まされた勘に頼らざるを得ないことを知って、エリカは驚く。
そして、その工場の技術者の頂点を極めたおじいちゃんの働く姿、そして尊敬される姿に感動するのだ。
重松さんらしい、盛り上げ方で心憎い演出が涙を誘う。