角田光代のレビュー一覧
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不倫相手の子供である秋山恵里菜を誘拐し育てた希和子の視点と、大学2年生になった恵里菜の視点で描かれた、親子とは?家族とは?を問われる作品。
誘拐という犯罪を犯しながら、薫と名づけた恵里菜に娘として惜しみなく愛情を注いだ希和子。
それに対して、自分たちの行動が招いた結果にも、戻ってきた恵里菜にも目を背け続ける恵里菜の両親を見ていると、罪とは何か?親の資格とは何か?と考えてしまう。
「誘拐された」という体験や、その経験から派生する物事は変えることはできないが、どう捉えるかはその人次第。
どんな体験も、それを糧に生きていくしかない。
未来への決意と共に、過去に向き合う覚悟を決めた恵里菜に、力 -
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ネタバレ「このところ、なんでもないときにふっと思い出すのである。……好きで買って、ある時期よく着ていた服のあれこれが、さーっと頭をかすめていくのである。そして驚くことに、こう思うのだ。『捨てなければよかった』」
その後に続く文から、捨てなければよかったと思う服をまた着て街を歩きたいという実用性を求めているのではなく、思い出を噛みしめて若かった頃の服にまた袖を通してみたいという気持ちだとわかります。
私もその気持ちがわかります。あのキラキラしていた時代の服をまた手に取って眺めたいという気持ちになることがあり、その気持ちがありながらも涙を飲んで処分した服を思うと後悔の気持ちがむくむくと浮かび上がります -
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好きな角田光代さんの新作だと飛びついて読んだが、新しい感じの角田さんというか、いきなりスリランカの神さまの話から始まるから正直面食らった。好みじゃないかも、と思ったが、読みやすい角田さんの引き込まれる文体で、最後まで読み切った。タイトルが気になっていたが、そういうことか!と分かった時は衝撃だったし、今まで自分もいろんなインドネシアとかタイとか世界から、京都など日本の有名なところまで、そういえば神さま的な場所で祈ってきたな、ということを思い出した。
よく考えたら日本人の私が、熱心に信仰してるでもないバリの神様に願って叶うとか変な話なのだが、何かに必死に願いたくなる、祈りたくなる気持ちってあったな -
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いろんなことでバタバタして、
とにかく読み終わるまで時間がかかってる。
角田先生の短編はライトで相変わらず読みやすい。
本作もどこかでありそうすぎる日常の5編。
他人から見たら充分に見えても、
自分なりの不満というのは誰もが抱えているよな。
みんなそれぞれに納得したラストだったけど、
果たして次の日にも同じことが思えるだろうか。
物語のように一度納得したって、
次の日には考えが戻っていることだって、
現実にはさらさらある。
そうやって生活していくことが生きていくということなんだろうけれど。
月が笑う、こともなし、どこかべつのところでが好きだった。
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ネタバレ作中で、智のことを「根無草」と表現した文があった。
それはそうかもしれないけど、そもそも生まれたときから根っこなんてなかった直子・智親子。
正直、「よく生きてこられたなぁ」と思った。随分と「ただれた人生」だったーーー(汗)
感じたことのない感情で胸焼けして、何故か麦茶をガブ飲みしたくなった。
読み進めている最中、直子だけが突出して「モンスター」みたいに錯覚したが、実はこの作品に出てくる女性達、ほぼ全員おかしいと気がついてから、一気にページを捲る手が止まらなくなった。
どこか狂気を孕んでいて、常識という枠なんて最初から知らない・または気付かないふりをしているような気もする。
そして、それぞれの -
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ネタバレ1990年代の話で、少し今とは違うなと思うところがあったけど 根本的には同じで母親達の抱えているものは変わらないと思う。
私は所謂お受験 みたいな環境に身を置いていなかったので実感としてはないけれど、ママさん達の関わりだとか関係性みたいなところは、よくわかる。
学校のクラスメイトだったら、仲良くしてないグループの人でも母親になると 子供達との関わりでグループとして活動しなくてはならない なんて場面はよくあるし合わない人だって、そりゃいる。
いつだって人間関係は心を擦り減らす。
今の人たちはもう少しドライに関係性を築いているんだろうか。