池波正太郎のレビュー一覧
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剣客商売 四
表題作「天魔」で登場した笹目千代太郎は、無茶苦茶強くて、第二巻に登場した“小雨坊”に匹敵する“ヤバイ奴”でした。
秋山父子の強さは重々承知なのですが、彼のようなサイコな強敵が出てくると、ちょいとヒヤヒヤします。
そんな千代太郎に対峙するのは、息子・大治郎。
もう、大治郎の成長ぶりが頼もしくてなりません。剣術だけでなく、小兵衛さんの後妻で自分より若い義理の母・おはるに、箱根細工の裁縫箱をお土産に買ってきてあげたり(「箱根細工」)、優しくて気が利くところも見せてくれます。
大治郎と三冬が仲良くなってきているのも、微笑ましいですね。 -
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剣客商売 二
前巻で自殺をとげた、飯田平助の息子・粂太郎が、大治郎の道場に入門。なかなかの頑張り屋で性格も良い少年という事もあり、早速小兵衛さんに色々こき使われています。
そして、大治郎に右腕を切り落とされたまま逃走中だった伊藤三弥が、“隠し兄”・郁太郎を引き連れて、秋山父子へ復讐しに戻ってきます(「妖怪・小雨坊」)。
三弥も狂気をはらんだ人でしたが、郁太郎はそれを上回る程のクレイジーモンスターです。こんな“どうかしている奴”と小兵衛さんの対決は見ものです。
で、この伊藤兄弟に家を焼かれてしまった小兵衛さんですが、とくに嘆きもせず、馴染みの料亭での仮住まいを、ホテル暮らしよろしく楽しんでい -
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剣客商売 一
「鬼平犯科帳」に続き、こちらのシリーズにも手を出してしまいました。
主人公の秋山小兵衛は、御年60歳。小柄で飄々とした佇まいですが、剣術は滅茶苦茶強いスーパー爺さんです。
息子の大治郎は巌のようにたくましく、超ストイックな若者ですが、こちらも剣の腕は一流。この凄腕父子を中心に話が展開します。
酸いも甘いも嚙み分け、40歳も年下のおはると同居して悠々自適に暮らす小兵衛は、男装の美少女剣士で、老中・田沼意次の妾腹の娘、三冬からも熱い視線を送られるなど、“オヤジドリーム”を体現しまくっているのですが、生真面目な息子・大治郎との対比が面白いですね。
今後秋山父子がどのような事に巻き込ま -
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全11篇の短編集。
江戸市井モノが主ですが、池波さん得意の松代・真田家モノ、赤穂・浅野家モノもあります。昭和の小学校で見かけた銅像でお馴染みの、二宮尊徳(二宮金次郎)を偉人ではなく、人間っぽく描いた「尊徳雲隠れ」も興味深かったです。
“鬼平”ファンとしては“夜兎の角右衛門”が登場する「看板」が良かったですね。女乞食・おこうの存在感が何とも言えない余韻を残しました。
表題作「谷中・首ふり坂」は、茶屋の女との色恋が武家の妻にバレて、その武家の妻が夫に襲いかかる場面があるのですが、男を守る為に茶屋女が武家の妻を持ち上げて川に投げ込むという、シュールすぎる展開に注目です。
他の短編も丁度良い感じに、 -
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ネタバレ鬼平犯科帳 (19)
ここのところ、密偵の方が亡くなってしまう事が続く鬼平シリーズ。
「妙義の團右衛門」では、敵に探っている事がバレてしまい、密偵・馬蕗の利平治が命を落としてしまう事に。
シリーズの内容的に、登場人物が命を落としてしまうのは仕方のない事なのですが、やはりやりきれないですね。
「逃げた妻」「雪の果て」は2話連続して、“木村忠太郎”こと木村忠吾さんの居酒屋でのお知り合いの浪人、藤田彦七の破滅の話。
藤田さんと先妻・おりつの受難は自業自得と言えなくもないです。お気の毒なのは後妻の方と娘さんですよね。頼りない亭主と身勝手な先妻のせいで、いい迷惑だったと思います。 -
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鬼平犯科帳 (16)
木村忠吾さんがついに結婚。まずは、おめでとうございます。というところなのですが、結婚直前に遊女屋へ行こうとしたり、結婚したらしたで惚けすぎて上司に叱られるという、相も変わらずの兎っぷりを見せてくれます。
しかも新婚なのに、探索中と言い訳しながら飯盛宿に泊まってしまったりと、本当、女性に関してはしょうがない人ですよね・・。
そんな忠吾さんが、またまた“さむらい松五郎”に間違われて、勘違いのまま展開する「影法師」は、オチがナイスでした。
そして、鬼平さんが過去に弟のように仲良くしていたのに、失踪してしまった男が登場する「霜夜」。又四郎さんの失踪理由が何ともせつないです。 -
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鬼平犯科帳 (13)
鬼平さんが身分や名を隠すときに使う、「木村忠右衛門」という名乗りは、恐らく“兎忠”こと木村忠吾さんをもじってますよね。本巻でも「熱海みやげの宝物」「墨つぼの孫八」で“木村忠右衛門”を名乗られていました。鬼平さんは、というか池波先生は“忠吾いじり”がお好きなようです。
「殺しの波紋」では坂道を転がるように破滅へ進んでしまう、富田与力が哀しすぎました。鬼平さんは「(富田与力が転落した)そもそもの原因を知ることができぬやも・・」と仰せでしたが、思わず“忠吾さんでしょ”と言いたくなった私でした。(忠吾さんが悪いとまでは言わないけど、事の起こりの原因ではあるかと・・。)
「一本