池波正太郎のレビュー一覧

  • 戦国と幕末

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    読書子の手にあるのは、1980年に刊行された紙魚も黄変もある文庫。何年ぶりの再読になるのか。
    歴史小説ファンなら最も注目する戦国と幕末。その時代に活躍した歴史上の人物などに焦点を当てた歴史エッセイ。
    「関ヶ原と大坂城」は、重複した記述があり少し興醒め。
    「忠臣蔵と堀部安兵衛」は、脚色された安兵衛とは一味違った実像を解き明かす。
    「新選組異聞」では、新選組隊士のほか、小栗上野介や伊庭八郎、真田幸貫、佐久間象山、陸奥宗光などについての記述がある。
    池波氏は、伊庭八郎に生粋の江戸さむらいとの思い入れがあり、彼を主人公にした小説(幕末遊撃隊がすでにあるが)を書いてみるつもりだと記している。
    真田幸貫は

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    2020年10月26日
  • 剣客商売番外編 黒白(上)

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    剣客商売番外編。

    小兵衛さんと真剣試合をする予定だった波切八郎がメインのストーリー。
    出る人出る人が、謎めいていて、怪しさ満点。
    小兵衛さんとお貞さんの夫婦時代も描かれていて、とても楽しい。
    個人的には、市蔵がお気に入りキャラクターです。

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    2020年10月11日
  • 剣客商売十六 浮沈

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    剣客商売最終巻。

    終わってしまったな。。。
    一巻から一気に読んだわけだが、当初の小兵衛ファミリーと、この最終巻の小兵衛ファミリーは、雰囲気が違う。
    そこには、小兵衛さんが老いていく姿があるせいだろうか。

    池波正太郎さんの作品は、「剣客商売」と「鬼平犯科帳」しか読んでいないが、作品の中で登場人物が確かに生きているなと感じる。
    だからこそ、こんなにもおもしろいと思うのかもしれない。

    最終巻、小兵衛さんが亡くなってしまうのではないか。と、ドキドキしていたが、それは荒唐無稽な心配だった。
    最後の最後、小兵衛さん、おはる夫婦の「老後」をしかと見た気分。

    又六の件は、前作でひょっとして。。。と思っ

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    2020年10月07日
  • 剣客商売十二 十番斬り

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    剣客商売 十二

    「逃げる人」では、大治郎が知り合って仲良くなりつつあった老人が、実は旧友の仇だったことが判明します。板挟み状態で苦悩する大治郎。小兵衛さんは敢えて突き放すような感態度をしていましたが、このような事を乗り越えて精神的にたくましくなっていくのでしょうかね。
    そして、「罪ほろぼし」では、2巻「辻斬り」で辻斬りを犯した永井十太夫の息子・源太郎が登場。大罪を犯した父とは違い、意外にもかなりの好青年でした。今後また登場してほしいキャラですね。

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    2020年10月07日
  • 剣客商売十五 二十番斬り

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    剣客商売15作目。

    小兵衛さんが、身体的にもメンタル的にも老いてきた感じがして、とても寂しくなるスタート。
    次の作品が最終話だと分かっているので、もしや。。。と、心配をしながら読んでいたが、途中から、いつもの小兵衛さんになったので、安心した。
    と言っても、1桁台の作とは違うけど。。
    作を重ねる毎に、侍の時代の終焉が顕著になってくる。
    それに伴い、小兵衛さんの憂いも深まる。

    さあ、次作は最終巻。

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    2020年10月06日
  • 剣客商売十三 波紋

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    剣客商売12作目。

    「消えた女」で思ったのは。。。
    小兵衛さん。。。。昔からだったのね。。。ということ。
    まったく、男というものは。。。(笑)

    今回は、人の縁の不思議さを感じるストーリーが多かったかも。
    袖振り合うも他生の縁。という感じかな。

    消えた女
    波紋
    剣士変貌

    夕紅大川橋

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    2020年09月30日
  • 剣客商売十 春の嵐

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    剣客商売 十

    今回は特別長編「春の嵐」です。

    “秋山大治郎”を名乗る連続辻斬りが現われ、全く身に覚えのない大治郎が窮地に陥ります。
    小兵衛さんと、弥七、徳次郎が懸命の追跡を行うのですが、特に徳次郎の執念には胸が熱くなりました。
    さらに八巻「狐雨」に登場した杉本又太郎や、女武芸者・お秀さんも加勢します。
    この事件の裏に、田沼老中と松平定信の対立を深めることで漁夫の利を得ようとする巨悪の存在が浮かび上がりますが、結局闇に葬られる事になり、仕方ないとはいえ、とんだ目にあった大治郎のことを思うとモヤモヤします。
    せめて辻斬りの男を大治郎に退治させてあげたかったと思います。
    そんな中、今回登場して杉

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    2020年09月29日
  • 剣客商売九 待ち伏せ

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    剣客商売 九

    「待ち伏せ」「討たれ庄三郎」は、どちらも仇討ち(果し合い)の話で、共通しているのは、仇とされている人が本当は違うのに自分から“討たれてあげる”事です。
    どちらも清廉な人が理不尽な目に合う哀しい結末です。
    「秘密」も理不尽&哀しい結末という部分では上記2話と繋がる部分を感じます。
    「或る日の小兵衛」は、小兵衛さんが行く先々で災難に遭う“小兵衛受難の巻”です。ラストの“人違い”まで含めてここまで小兵衛さんがトホホな回は珍しいかも。

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    2020年09月28日
  • 食卓の情景

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    オリジナリティ溢れる簡単な料理が書いてあって面白いのはもちろん、東京や古き良き日本の文化や生活の情景が鮮明に浮かび上がり楽しめた。

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    2020年09月26日
  • その男(三)

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    三巻立てで、一巻毎の色合いがこんなに違う小説を他に知らない。一巻目は若き剣豪誕生の物語、二巻目は維新に向う時代に愛と死と復讐の物語、三巻目は桐野利秋をサブに据えて維新の有様から西南戦争にいたる物語。また、一巻ごとに杉虎之助の語り部的な立ち位置が強くなる。このような語り部的書き方は、「天切り松闇がたり」や「壬生義士伝」など浅田次郎の専売特許かと思っていたら、凄い先立がいました。個人的な好みを言えば、一巻、二巻、三巻の順です。池波流の切り口と簡潔で小気味のいい文章はとても好きだが、維新や西南の役なら、やはり司馬遼太郎の「翔ぶが如く」ではないだろうか。

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    2020年09月23日
  • 剣客商売八 狂乱

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    剣客商売 八

    表題作「狂乱 」は身分の低さに比して剣術が強すぎる為、周りから疎まれ続けてきた、石山甚市の悲劇です。
    嫌われすぎてこじらせてしまっている、彼の孤独を読み取った小兵衛さんが、温かい言葉をかけてあげた時は、確かに石山さんの心の扉が開きかけていたのですが・・・その後仕官先の人々の冷淡な態度によって、結局彼を凶行に走らせてしまうという何ともやるせない結末でした。
    「秋の炬燵」では、5巻「手裏剣お秀」で登場した、女武芸者・杉原秀さんが再登場。狙われた男の子を守る為、おはるも頑張っております。

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    2020年09月23日
  • 剣客商売十 春の嵐

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    剣客商売10作目。
    初の長編。

    小兵衛の執念が伝わる作品。
    でも、ラストは、なんとも有耶無耶な結末。
    あれは、小兵衛にとっても、関わったものたちにとっても、もやっとした結末だったろう。
    大人の事情で仕方ないとは言え。。

    剣客商売を読み始めた当初、おはるは、単なる年下女房で、あまちゃん。みたいなイメージだったが、ここにきて、たくましいおっかあのイメージになってきたな。

    除夜の客
    寒頭巾
    善光寺・境内
    頭巾が襲う
    名残りの雪
    一橋控屋敷
    老の鶯

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    2020年09月20日
  • 剣客商売九 待ち伏せ

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    剣客商売9作目。

    「待ち伏せ」は、おりくさんのその後が読みたいなー。。

    「或る日の小兵衛」は、行く先々で騒動にぶちあたる小兵衛さん。
    男性は、過去のことに拘るのですね。
    女性は、そんなことないかも。。

    「秘密」「討たれ庄三郎」「冬木立」は、なんとも言えぬ人間模様。
    複雑な中に悲しい結末。

    待ち伏せ
    小さな茄子二つ
    或る日の小兵衛
    秘密
    討たれ庄三郎
    冬木立
    剣の命脈

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    2020年09月20日
  • 真田騒動―恩田木工―

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    『真田太平記』の元になった作品。
    真田家と言ったら、池波正太郎というくらいに、自分のものにしてしまっている感がある。
    五編、収録されているのだが、どの作品も骨太で読み応え充分。

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    2020年09月17日
  • 剣客商売番外編 黒白(下)

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    岡本、伊之吉が魅力的で、この人たちの会話のシーンが楽しい。
    ずっとあまり好きじゃなかった波切も、最後の方で好きになれた。
    ただ、話が尻切れトンボというか、モヤモヤが残る。
    そして最後まで、若い小兵衛が想像できなかった。

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    2024年04月11日
  • 剣客商売番外編 黒白(上)

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    若い道場主がちょっとした事からどんどん人生を狂わせていく。秘密のある登場人物が多く、常に振り回されている。
    アラサーの小兵衛もちょこちょこ出る。

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    2024年04月11日
  • 剣客商売十六 浮沈

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    深川十万坪
    暗夜襲撃
    浪人・伊丹又十郎
    霜夜の雨

    霞の剣

    長編。シリーズ最後。登場人物が何歳まで生きるか、ということがなぜか何度も出てくる。
    敵討ちのようなものに巻き込まれたり、金貸しが理不尽にあったり。シリーズ最初の頃のすっきりばっさりはなく、どことなく暗くもやっとする。

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    2024年04月11日
  • 剣客商売五 白い鬼

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    剣客商売 五

    今回の“サイコ”は(定期?)、表題作「白い鬼」に登場する、金子伊太郎。彼は涼やかなルックスですが実は猟奇殺人を繰り返す恐ろしい奴です。そんな金子伊太郎に昔可愛がっていた弟子を殺されて、小兵衛さんの怒りの剣が炸裂します。
    そして「三冬の縁談」では、大治郎が三冬への想いを意識することに・・。三冬が大治郎ラブなのはわかっているので、これは相思相愛ということになりますね。あとは初心な二人の恋がどう発展するのか、じっくり見守る所存です。

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    2020年09月09日
  • 剣客商売四 天魔

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    剣客商売 四

    表題作「天魔」で登場した笹目千代太郎は、無茶苦茶強くて、第二巻に登場した“小雨坊”に匹敵する“ヤバイ奴”でした。
    秋山父子の強さは重々承知なのですが、彼のようなサイコな強敵が出てくると、ちょいとヒヤヒヤします。
    そんな千代太郎に対峙するのは、息子・大治郎。
    もう、大治郎の成長ぶりが頼もしくてなりません。剣術だけでなく、小兵衛さんの後妻で自分より若い義理の母・おはるに、箱根細工の裁縫箱をお土産に買ってきてあげたり(「箱根細工」)、優しくて気が利くところも見せてくれます。
    大治郎と三冬が仲良くなってきているのも、微笑ましいですね。

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    2020年09月06日
  • むかしの味

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    述懐しているのは味だけではなく、その店が持ち合わせ、守り続けてきた店構え。矜持を持った、料理人、店主、店員、客、人も含めた店構え。
    味以上に語りたいのは、そちらなのかも。

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    2020年09月05日