池波正太郎のレビュー一覧
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この一編だけでは何とも
池波正太郎の代表作 鬼平犯科帳の中の一編。
鬼平犯科帳は典型的な連作短編集なのでその中の一編だけでは正しい評価はできないが、それでも十分な面白みはある。
極悪非道の盗賊の正体が実は というところにひねりが入っていてなかなか読ませる。
池波正太郎なので文章は達者で安心感がある。 -
Posted by ブクログ
人間というものの不思議さ。そして、人生一寸先は闇、ちょっとしたことでどうなるか分からないという、人生の不思議さ。
この、2つの不思議さを、池波は冷徹かつ現実主義的な、悲観的目線で描く。池波の、人間や人生に対する「無常観」のようなものが現れている。
また、ときにはその人の人生を貫き通すひとつの信念であり、ときには訳の分からない動きをし、別のときには様々な顔を持つ―そのような人間の心の不思議を描く。
されど、読み手を考え込ませたり、読み終えてネガティブな気持ちにさせないのは、そのユーモラスな、人間の描き方、また、語り口で、面白く、小説を完成させているからであろう。
池波の描く、不思議な、しかし、人