あさのあつこのレビュー一覧
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この物語を読み始めて気がついたら巧には絶対的な力があると思い込んでいた、豪や門脇と同じように。門脇が豪快に三振したにも関わらず、瑞垣には打てるのだ。そもそも絶対的な力、誰にも打たれない球ってそうそうないような気がする。誰かにとってとても苦手なことが、他の人にとっては得意なことだたったりする。誰かと比べて何かが秀でている。そういういことじゃないかな。沢口や東谷、吉貞は巧が豪速球を投げれることしか取り柄がないことを知っている。それ以外はまるでダメなのだ。でもこの物語はそんな偏った天才ピッチャー巧を簡単に十三歳の少年にはさせない。楽しい野球を知らない巧は伝説的な選手になるか、ごく平凡な人になるか、ど
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紅白戦で巧は、沢口にホームランがまぐれじゃないことを証明しろって言う。展西たちの暴力の恐怖心よりも、野球をやりたい気持ちの方が強い沢口の肩を抱きしめたい衝動を感じた巧にちょっと期待ができた。豪が言う通り巧の野球は自分のためだけの野球だ。巧の野球は9人対9人ではなくて、ピッチャー対バッターの1人対1人だ。そして豪がいなければそれすらも成立しない。オイラの中でこの物語の巧はヒールだ、いまのところ。洋三が危惧するように巧の成長はここまでなのか、それが気になる。ポテンシャルが高ければ、巧の1人対1人の戦いは勝てるだろう。でも本来の9人対9人の野球では勝てないと思う。スター選手には支えてくれる選手たちが
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縫箔と表紙の紹介文にあって、思わず手にした本。
とはいえ、あさのさんの作品を読むのは、実はもしかしてはじめてかもしれない。
あの名作『バッテリー』も何も、恥ずかしながら、読んじゃいない。
化政期の江戸。
深川の小規模な縫箔屋、丸仙が舞台だ。
その家の一人娘、おちえは、「今かぐや」と言われるほどの美貌の持ち主。
けれど、女性ながら剣道の道場に通う活発な少女だ。
父の仙助は、名人と呼ばれる縫箔の職人。
その技に魅了され、吉澤一居という武士が弟子入り志願に訪れる。
剣の才に恵まれた吉澤がなぜ身分を捨てて、縫箔職人になろうとするのか。
しかし、この話の中心となる謎は、そちらではなく、連続少女殺 -
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ネタバレ【収録作品】この手に抱きしめて/烏城の空/カレシの卒業/フィニッシュ・ゲートから/桃の花は
企業や地方のPR用の作品だからか、比較的あっさりめの短編集。
「この手に抱きしめて」製薬会社のCMとの連動小説。癌の告知を受けた父親と結婚を控えた娘という、いかにもな物語。
「烏城の空」岡山市の『岡山繁茂の語り/吉備の風に吹かれて』という短編集から「父と子と」「石工たちの空」の2編を掲載。
「カレシの卒業」SF恋愛もの。岡山弁が心地よく、カレシの意外な正体を知り、狼狽するカノジョがかわいい。
「フィニッシュ・ゲートから」アシックスの期間限定キャンペーンのために書かれたアスリートものの一作。親友の二人そ -
- カート
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試し読み
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困窮した村でまだ乳児のときに死んでしまった子「ツル」がその怨念をはらそうとしてか、さまざまな形でいろいろな者達をとり殺していく話。話はおとぎ話のようなお妃さまとその侍女の話と、現代にいる老婆と老婆を訪れてきた身に覚えのあるような者達のふたつに別れ、交互に話が進んでいく。
初めて読む作家の作品だったけれど、想像してたのと全然違う!!もっとさわやかなタッチで描かれた優しさのある話かと思ったけど全然。ものすごく暗くて悪意に満ちたお話、でも進み方は私の好きなおとぎ話調。嬉しい誤算、あっという間に読んでしまう。
結局ツルは何がしたかったのか。妃に何をされたわけでもないのに高みへ高みへ押し上げて、まっ -
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オリンピック熱がまだ続いております。
スポーツ青春モノが読みたくなり、あさのあつこさんを。
と思っていたのだが、主人公の少年が元野球部のエースでもう引退していたというだけで、スポーツ感はなかった。
でも、普通に青春小説として楽しく読めた一冊。
舞台は岡山県の美作市。主人公は高校3年の渓哉。野球部のピッチャーであり、引退後は、喪失感と将来の不安に襲われる。
親友である実紀も、同級生の栄美も進路は決まっているよう。そしてひと回り年上で、急逝した父を継いで稼業を盛り上げる立派な兄も、渓哉には眩しい存在。
短い物語で、大きな盛り上がりもないものの、登場人物に魅力があって、また彼らの話の続きを読